「ストイックな人」「あれほどストイックってすごい」などと言うことがあります。ストイックは日本語では禁欲的で自分に厳しいという捉え方をして使われていますね。

ところで、英語のstoic、実は異なる意味で使われていることを知っていますか?もしかしたら、stoicを説明できる人はそれほどいないかもしれません。

そこでこの記事では、日本語と英語のストイックについて解説します。
間違った英語を避け、この機会に正しく使えるようにしていきましょう。

ストイック(stoic)とは?

まずは「ストイックに○○する」「ストイックな人」など、日本語のストイックがどのように使われているのか確認してみましょう。真っ先に浮かぶのが「定めた目標に向かって、禁欲的に行動する」というもので、自分自身を厳しく管理し忍耐強く努力する、こんな状態をストイックという言葉で表現しています。

目先の欲望に流されず、自分に厳しくするというのはなかなか大変ですね。
俳優が役になりきるためにストイックになる、トップアスリートやボクサーが大きな大会・試合に出場するために体調はもちろん栄養管理を怠らない。このように選ばれた人でなくても、私たちも何かの目標に向かって突き進む際にストイックになることがあります。
ストイックの逆は、自分に甘く目標をすぐに断念してしまう、今だけここだけと誘惑に負け物事を後回しにしてしまう、、、耳が痛いと思われた人は私だけではないかもしれません(汗)

ストイックは英語でstoic「何事にも動じない」の意味

冒頭に英語のstoicは日本語のストイックとは異なる意味を持つと述べましたが、どんな違いがあるのでしょう。正しく理解せずに日本語のストイックを英語にして使うと、外国人には?と思われてしまいます。

ここで、stoic(ストイック)の由来に触れましょう。

古代ギリシャに現実の世界に生きる私たちのために作られたとも言える哲学があります。その哲学とはゼノンによるStoicism(ストイシズム・ストア哲学)。ストイシズムは私たちがより強く、より幸福に、より高潔に、より賢くなるように設計された哲学です。 もともと哲学とは役にたつ実践的なものであり、ストイシズムを実践するためには勇気、忍耐、正義そして知恵という4つの美徳があります。自分の目の前で起こる様々なことに対して動じることなく、感情を表に出さないようにするのです。

参考:
Daily Stoic What is Stoicism?
ウィキペディア ストア派

そこで、stoicの定義を辞書で調べてみましょう。

“Not affected by or showing passion or feeling”

参考:Merriam-Webster stoic

この意味は、情熱や感情に左右されない、または感じさせないというものです。stoicがストイシズムからきていることに納得ですね。

ということで、「自分を厳しく律する」という日本語のストイックに対して、英語stoicは「物事に動じない」という意味であり、その違いが理解できました。

英語の例文も一つ紹介しておきましょう。

I knew that my friend must be in pain, despite his stoic attitude.
動じない態度とは裏腹に、その友達は痛みに苦しんでいるに違いないと分かっていたんだ。

痛みがあるにもかかわらず、それを顔に出さない=物事に動じないのがstoicなのです。

日本語のストイックに近い意味で使われる英語表現

日本語のストイックに近い意味で使われる英語表現

日本語のストイックは本来の英語とは違うことが分かりましたが、それでは「自分に厳しい」や「忍耐強く努力する」などは英語でどう表現するのでしょう。

be disciplined

動詞discipline(ディサプリン)には以下のような意味があります。
(人に)自制心を持たせる
(人が)自己管理できるようにする
(人・動物などを)しつける
(人に)規則を守らせる

このため、海外では特に小さな子どもが武道などを学ぶときにその子の親が「Kendo is good for discipline.」(剣道はしつけにいいですね)などと言うことがよくあります。
このdisciplineを受け身の形に変えて、自分を律するというストイックに近い意味で使うことができます。例文で確認しましょう。

Aさん
His student is very disciplined, training hard for the marathon event this month.
訳)彼の教え子はとてもストイックで、今月のマラソン大会に向けてとても厳しい練習を積んでいる。

この教え子はきっと走る練習に加えて、体調管理、体重管理なども厳しく管理し、自己達成に向かっているでしょう。

strict

strictは形容詞で「厳しい・厳格な」の意味を持ちます。自分に厳しいのが日本語のストイックであることからこの英単語で表現できます。strictの後ろにwith (oneself)にして厳しくする人をもってきます。その人自身に厳しいことからmyself, herselfなどになります。以下、例文でみた方が分かり易いでしょう。

Aさん
You’re being strict with yourself.
訳)自分に厳しいですね。
Aさん
He is very strict with himself, spending one hour to study English every day, even when he comes back home late after work.
訳)彼は自分にとても厳しい人、仕事が終わって遅く帰ってきても毎日1時間は英語の勉強をしているよ。

「ネガティブ」と「ストイック」は違う

現状に満足していないという意味から、ネガティブとストイックを並べて連ねることがあります。

ところが、2つの言葉にはまったく異なるニュアンスがあります。

ネガティブのほうは否定的・消極的で負の側面を表します。

一方ストイックは、目標を持ちそこに向かって前向きでいることから、むしろネガティブの対義語ポジティブな態度と言ってよいほどです。

2つの言葉を混同しないよう気をつけましょう。

「ストイックな性格」の人の特徴とは?

「ストイックな性格」の人の特徴とは?

ストイックな人の特徴、そしてその英語表現もみていきましょう。

根気強い人perseverance

名詞perseveranceは「忍耐力・粘り強さ・根気強さ」の意味をもちます。

Aさん
People tend to be relaxed, but we sometimes should show perseverance towards a goal.
訳)人はついゆったりしてしまいがちだが、目標に向かって粘り強く行動することも必要だ。

自制心がある人self-discipline

前出be disciplinedに使われていたdisciplineを使い、自身の自制心self-disciplineとして表現します。また、self-controlに置き換えることもできます。

Aさん
Lucy has self-discipline and doesn’t give-in to temptation.
訳)ルーシーは自制心があって誘惑に負けない。

give-in to temptationで「誘惑に負ける・魔がさす」になります。ストイックな人はこれら誘惑に負けない人ですね。

「ストイック」の類義語とは?

ストイックの類語語を知って、さらに理解、応用して使えるようにしていきましょう。

没頭する・専念する

一生懸命に何かに没頭することでストイックを表します。全力で取組み、目標達成することをapply oneself toで表現できます。

Aさん
I’ve been applying myself, trying to achieve my goal to win the kendo competition.
訳)剣道大会で優勝するという目標を達成するため専念してきた。

誘惑に打ち勝つ・負けない

様々な誘惑に打ち勝ちことで自分に厳しく目標に向かいます。克己心(こっきしん)とも呼びます。overcome(打ち勝つ)とtemptation(誘惑・衝動)を使うことができます。

Aさん
I try hard to overcome the temptation of smoking.
訳)タバコの誘惑に勝つよう頑張ってるよ。

「ストイック」の対義語とは?

「ストイック」の対義語とは?

最後に、ストイックの対義語も紹介しましょう。対義語を知ることでストイックをさらに理解することができます。

欲張り

欲が多くて強欲、ストイックとは反対ですね。greedy(欲張り)がぴったりです。

Aさん
She is so greedy and selfish.
訳)彼女ってとても欲張りでわがままなんだ。

お気楽でのんびり

厳しさとは反対にのんびり、気楽な場合はストイックとかけ離れていますね。この場合はeasy, relaxed, carefreeなどで表現しましょう。

Aさん
My sister has a carefree life, what’s her plan for the future?
訳)のんびりお気楽な生活を送る妹、将来どうするんだろう?

まとめ

日本語で「自分を厳しく律する」というストイックに対し、英語stoicは「物事に動じない」になります。

英語学習に関してはストイックな面、そして英語を使うことを楽しむところ、そんなバランスがとれたときにさらに上達するのかもしれませんね!