組織に属していると、さまざまな場面で「権限」を求められます。いちいち細かく設定されていて日本語でも煩雑ですが、それが英語となれば猶更ですよね。
ということで、今回のテーマは「権限」です。権限を表す英単語についてだけでなく、「〇〇権限」といったよく使われる表現についても取り上げているので、ビジネスなどで英語を使う人にはとても有益な内容だと思います。
それでは、早速始めていきましょう!
「権限」は英語で何て言う?
日本語の「権限」に相当する言葉は、”authority”、”power”、”privilege” の3種類です。それぞれに表す意味・ニュアンスが異なるので、1つずつ詳しく確認していきましょう。
権限①:authority
“authority” が表すのは権威に裏付けられた権限、つまり偉い人の力です。
たとえば、社長というのは会社を運営するためのさまざまな権限を持っていますが、その理由は社長が偉いからです。一般的に会社内での権限は「社長>専務>部長>課長>係長>平社員」という順で少しずつ少なくなっていきます。
このように、立場に比例して増減する権限の場合は authority で表すのが適切です。
The president has the authority to fire the employees.
訳)社長は従業員を解雇する権限を持っています。
ちなみに、authority と同語源の言葉に author(著者・作家)というものがあります。小説などで登場人物がどう動くかを決める権限はすべて著者にあることを思うと、authority との繋がりも見えてきますね。
An author can decide all things that happen in a novel.
訳)著者というのは、小説で起こるあらゆることを決めることができます。
権限②:power
“power” が表すのは実力に裏打ちされた権限、つまり強者の力です。
たとえば、猿山のボス猿は周囲の猿に命令したり好きな餌を食べたりする権限がありますが、これは彼が他の猿よりも強いからです。もし彼が怪我をするなどして力を失えば、その権限はより強い他の猿へと移っていくことでしょう。
このように、具体的な能力に伴って得られる権限の場合は power で表すのが適切です。
The boss monkey has the power to get anything on the hill.
訳)そのボス猿は、猿山にあるものは何でも手に入れられる権限があります。
とはいえ、猿山と違って私たちの生きる社会で暴力はご法度ですよね。その結果、社会での能力は腕力でなく経歴や権威という形で表れるため、 power とauthority は実質同じ意味を表します。偉い人が力を持ち、力のある人が偉くなるという構図です。
権限③:privilege
“privilege” が表すのは特権、つまり偉かろうと強かろうと許可やチャンスが無ければ得られない権限のことです。
たとえば、ある定食屋さんでは、定食を頼んだお客さんに限りごはんを何度でもおかわりできるという特権が与えられています。しかし、どんなに偉い社長でも、どんなに強いボス猿でも、定食を頼まない限りはごはんをおかわりすることはできません。
このように、地位や能力に関係なく得られる特別な権限の場合は privilege が適切です。
The all guests have the privilege of free refills for the rice.
訳)お客さんは全員、無料でごはんをおかわりする権限を持っています。
「権限がある」「権限がない」は英語で何?
「権限がある」と言いたい場合は “have the 権限” の形で表せばOKです。具体的には以下のようになります。
- have the authority to do ⇒ 「~する権限を(地位があるから)持っている」
- have the power to do ⇒ 「~する権限を(力があるから)持っている」
- have the privilege to do ⇒ 「~する権限を(許可やチャンスを得たから)持っている」
反対に「権限がない」と言いたい場合は、”don’t have the 権限”、または “have no 権限” とすればOKです。
- don’t have the authority = have no authority ⇒ (地位が足りないから)権限がない
- don’t have the power = have no power ⇒ (力が足りないから)権限がない
- don’t have the privilege = have no privilege ⇒ (許可やチャンスがないから)権限がない
アクセス権など、〇〇権の言い方
権限とひとくちに言っても、何をするための権限なのかは千差万別です。ここでは、日常生活、特にスマホやPCなどのIT機器関連でよく出てくる「〇〇権」を英語で何と言うのかを詳しく確認していきましょう。
アクセス権 in English
アクセス権は英語で “access privilege” と言います。ただし、「アクセス権」とだけ言う場合は別ですが、「アクセス権を持っている」「アクセス権を付与する」といった文脈で使う場合は、わざわざ権限(privilege)という単語を使わず access だけで済ませる方が一般的です。
「アクセス権を持っている」
「~するためのアクセス権を持っている」という場合は “have access to do” と表現します。
I have access to the website.
訳)私はそのウェブサイトへのアクセス権を持っています。
「アクセス権を付与する」
「~するためのアクセス権を付与する」と言いたい場合は、”give 人 access to do”、もしくは “grant 人 access to do” と表現します。grant の方が give よりも丁寧でフォーマルな言い方なので、お願いする相手が目上の人の場合は grant を選ぶとよいでしょう。
Please grant me access to the file.
訳)そのファイルへのアクセス権を付与してください。
管理者権限 in English
「管理者権限」は英語で “administrator privilege” と言います。読み方は「アドミニストレイター プリヴィレッジ」です。
administrator はそのまま「管理者」という意味なので、管理者が許可された権限という意味合いですね。”administrative privilege” と呼ぶこともあります。
This program requires administrator privileges.
訳)このプログラムは管理者権限を必要とします。
閲覧権限 in English
データなどを閲覧する権限は “viewing authority” 、”browsing authority” と言います。会社などのデータは機密事項であることが多く、地位や役職の高い人に権限が付与されるため authority が適切です。
とはいえ、閲覧権限が地位に関係なく許可によって得られるシステムならば privilege でもOKです。「これは絶対こう言う」という先入観を持たず、状況に応じて適切だと思うものを考えて使うようにしましょう。
しかし、さすがに power は少し不自然なのでご注意を。力技で無理やり閲覧するようなイメージです。
Data viewing authority is given to only executives.
訳)データ閲覧権限は役員にだけ与えられます。
まとめ
今回は「権限」というテーマでお話してきました。
権限を表すのは authority、power、privilege の3種類。それぞれに表す意味やニュアンスが異なるので、状況に応じて使い分けていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!