日本語の「綺麗」に対する訳語としては beautiful があまりにも有名ですね。しかし、一括りに綺麗といっても、それらがすべて「美しさ」を表すとは限りません。中には beautiful が適切でない綺麗さも存在します。

また、beautiful が適切な場合であっても、いつも同じ表現ばかりでは飽きてしまいます。感性を保つには新鮮さも重要なので、できればニュアンスの異なる類語表現を身に着けておきたいところですよね。

ということで、今回のテーマは「綺麗」です。

日本語の綺麗という言葉の意味をパターンに分け、それぞれに適切な英語表現の意味やニュアンスを解説していきます。また、風景や人物を描写する際に使える beautiful の類語についても触れているので、beautiful ばかり言っていて食傷気味な人はぜひ参考にしてみてください。

それでは、早速始めていきましょう!

そもそも、日本語の「綺麗」ってどういう意味?

日本語の「綺麗」はもともと中国語由来の言葉、いわゆる漢語です。

綺麗に含まれる「綺」の字が意味するのは、綾に織られた絹。綾織の絹は光沢が美しく、木綿などに比べて汚れにくいことから、古来より美しく滑らかで穢れの無いものとして尊ばれてきました。

また、「麗」の字は「麗(うるわ)しい」とも読む通り、「形が整っている様」「美しい様」を表します。

「綺麗」の表す意味は3種類!

以上のことから、綺麗には「美しい」という意味だけでなく、「滑らかで不純なものが無い様子」「形が整っている様子」なども含意されていることがわかります。その結果、現在使われている「綺麗」という言葉は主に以下の3種類の使い方がなされています。

  • 美しい様子

例:山からの綺麗な眺めを楽しむ(風景などの美しさ)。

例:あの女優さんは綺麗だ(人物の美しさ)。

  • 汚れがなく清潔な様子

例:このタオルは洗ったばかりなので綺麗です。

  • 乱れがなく整っている様子

例:散らかった部屋を綺麗にする。

ということで、これらの「綺麗」の意味にふさわしい英語が何なのか、それぞれ詳しく確認していきましょう。

風景などが美しい様子を表す「綺麗」

Grand Canyon

beautiful

景色の美しさを表す際は、やはり beautiful が最も使い勝手の良い表現です。

しかし、だからといって猫も杓子も beautiful と言っていたのでは自分も周囲も飽きてしまいます。感じている美しさを毎回新鮮に表現するためにも、以下の表現と組み合わせて使っていくようにしましょう。

Aさん
Autumn leaves are beautiful.
訳)秋の紅葉は美しいです。

breathtaking

「息(breath)を呑む(take)ような美しさ」を表す場合は “breathtaking(ブレステイキング)” が最適です。あまりの美しさに呼吸を忘れて見入ってしまうようなイメージですね。

風景に用いることが多いですが、絵画やショー、人工物の美しさなど、幅広い対象を描写する際に使用可能です。ただし、人物相手に用いるのは少々大げさというか不自然なので注意しましょう。

Aさん
I saw a breathtaking view from top of the mountain.
訳)私はその山の頂上から、息を呑むように美しい景色を見ました。

stunning

“stunning(スタニング)” が表すのは「卒倒(stun)してしまうような美しさ」です。イメージは breathtaking と似ていますが、こちらはスラング的な、少しカジュアルな表現です。

詳しくは後述しますが、風景や物の美しさだけでなく人物の美しさにも使用可能です。

Aさん
Come on! You can see a stunning sight from here.
訳)来て来て! ここからめっちゃ綺麗な景色が見えるよ。

spectacular

「目を見張るような美しさ」を表すのが “spectacular(スペクタキュラー)” です。同じ語源を持つ spectator は「観客」という意味なので、観客を動員してもいいくらいの完成された美しさというイメージでしょう。景色の美しさを表すうえでは最上級と言っても良い表現です。

Aさん
I’ll never forget the spectacular sceneries in the island.
訳)その島の壮麗な景色は、決して忘れることはないでしょう。

beyond description

spectacular が最上級の美しさなら、”beyond description(ビヨンド ディスクリプション)” はそれでも表せないくらいの「描写(description)の力を超えた(beyond)美しさ」を表します。日本語の「筆舌に尽くしがたい」に相当する表現ですね。

Aさん
How was your trip to Grand Canyon?
訳)グランドキャニオンへの旅行はどうだった?
Bさん
It was beyond description.
訳)言葉では表せない(くらい美しかった)よ。

 

人物が美しい様子を表す「綺麗」

人物が美しい様子を表す「綺麗」

beautiful

風景の場合だけでなく、beautiful は人物の美しさを表す際にも基本となる表現です。

しかし、風景の場合と同様、乱用し過ぎると価値が落ちてしまうので、ここぞというときに絞って使うようにしましょう。

Aさん
Hey, the girl is beautiful!
訳)ねえ、あの子めっちゃ綺麗!
Bさん
You say the same word at least 10 times a day.
訳)それ、日に10回は言ってるよね。

 

pretty

“pretty” というと「かわいい」というイメージが根強いと思いますが、「美しい」に近い意味合いでもよく使われます。イメージとしては「pretty < beautiful」です。

とはいえ、やはり幼い女の子や若い女性に対して使うことが多いので、大人の女性に対しては使わない方が無難です。

Aさん
I still get “you are pretty” a lot from people I just met.
訳)未だに初対面の人から「綺麗だね」って言われるんだよねー。
Bさん
(Probably she looks like a child…)
訳)(たぶん子どもっぽいと思われてるんだろうな…。)

 

good-looking

見た目が美しい様を表したい場合は “good-looking” が適切です。男女ともに使えるので、女性に使えば「美人」、男性に使えば「イケメン」という意味になります。

とはいえ、good-looking が表すのは見た目の美しさのみなので、使いどころを間違えると外見だけを気にする「面食い」だと思われてしまいかねません。ご注意を。

Aさん
I wanna make friends with that man. He is good-looking.
訳)あの人と友達になりたいな。めっちゃイケメン。

Bさん
You really go for only good-looking guys.
訳)ほんと面食いだよね。

 

attractive

異性として魅力的な美しさを表す場合は “attractive(アトラクティブ)” が使われます。

attract という動詞は「(興味・関心を)引き寄せる」という意味で、遊園地などの attraction も同じ語源です。そのため、attractive な人は多くの人を引き寄せる、いわゆる「モテる人」というニュアンスがあります。

Aさん
I think you’re so attractive.
訳)あなたってとても魅力的よね。
Bさん
Oh?
訳)お?

 

stunning

“stunning” は風景同様、人物の美しさを表すことができます。卒倒してしまうというイメージはそのままなので、「クラクラするくらい魅力的」というニュアンスです。

風景の場合と同様、スラング的なカジュアルな表現なので、親しい間柄以外では使わないようにしましょう。

Aさん
I wanna meet a stunning knight on a white horse.
訳)白馬に乗ったイケメン王子様いないかなー。

汚れがなく清潔な様子を表す「綺麗」

汚れがなく清潔な様子を表す「綺麗」

clean

日本語の「綺麗」には汚れがなく清潔な様子を表す意味がありましたが、それを英語で表現するなら “clean(クリーン)” で間違いありません。特に、「綺麗好き(清潔好き)な人」を表したい場合は “cleanly person” と言います。

とはいえ、度を越した綺麗好きの場合は “clean-freak(潔癖症)” になってしまうのでご注意を。

Aさん
I wash my hands at least 50 times a day.
訳)最低でも1日に50回は手を洗うよ。
Bさん
Are you a clean-freak?
訳)潔癖症なの?

 

乱れがなく整っている様子を表す「綺麗」

乱れがなく整っている様子を表す「綺麗」

neat

乱れがなく整っているという意味の「綺麗」に相当するのは、 “neat(ニート)” です。

場所・物・人のそれぞれに対し、以下のような綺麗さを表すことができます。

  • 場所 ⇒ 「ものが整理整頓されている様」
  • 物 ⇒ 「余分がなく、綺麗にまとまっている様」
  • 人 ⇒ 「身だしなみが綺麗な様」あるいは「綺麗(整理整頓)好き」
Aさん
My sister always keeps her room neat.
訳)私の姉はいつも自室を(整理整頓された)綺麗な状態に保っています。

ちなみに、日本でよく言う「ニート」は “NEET(Not in Education, Employment or Training)” であり、今回紹介した neat とは関係ありません。とはいえ、発音上は非常に似通っているので、誤解が生まれないように気を付けましょう。

Aさん
You are always neat.
訳)君はいつもきちんとしてるね。
Bさん
I’m not NEET!
訳)僕はニートじゃない!

 

まとめ

今回は、「綺麗」をテーマにお話してきました。

綺麗と一括りに言っても、そこには「美しい綺麗さ」「清潔な綺麗さ」「整理された綺麗さ」の3種類の意味があり、英語で表す際はそれぞれを見極める必要があります。

今回ご紹介したことを参考に、ぜひいろいろな綺麗さを英語で表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!