ザリガニは用水路や池などで見られる生き物です。小さい頃に、ザリガニ釣りをした経験がある!という人も多いのではないでしょうか?ザリガニの名前には「カニ」が含まれていますが見た目は「エビ」に近いですよね。それでは、英語ではどのように表現されるのでしょうか。
今回はザリガニに焦点を当てて、その意外な英語表記について詳しく解説していきます。
ザリガニは英語で何?
日本語では、「カニ」が含まれていますが、見た目は「エビ」ですよね。英語表記を見ればザリガニの分類がはっきりするかもしれません。早速、英語表記を確認してみましょう。
基本は”crayfish”
ザリガニの英語表記は”crayfish”です。・・・今度は”fish(魚)”がでてきてしまいました。余計に混乱してしまいましたね。しかし、この”crayfish”はあくまでも基本とされる表記で、地域や方言によってその呼ばれ方は様々です。次は地域ごとの英語表記を見てみましょう。なにかヒントは隠されているでしょうか?
地域・方言によってさまざま
日本語にも方言があるように、英語にも方言があります。ザリガニの方言を確認してみましょう。
crawfish
アメリカのメキシコ湾に近い地域では、”crawfish”と呼ばれます。”crayfish”と”crawfish”なので、ほぼ同じですね。カタカナ表記すると、「クレイフィッシュ」と「クローフィッシュ」と言った発音の違いがあります。
crawdad
アメリカの内陸部では”crawdad”です。今度は”dad(お父さん)”が出てきました。
mudbugs
アメリカ南部では、”mudbugs”とも呼ばれます。今度は”bugs(虫)”ですね。一体、ザリガニは何に分類されるのでしょうか。結局英語表記だけでは、分からないようですね。
なぜ”crayfish(泥の魚)”?
話を基本の英単語”crayfish”に戻しましょう。”crayfish”を分解すると「泥の魚」となりますが、この由来は何でしょうか?”crayfish”の由来は、中世フランス語の”creviece(クレヴィース)”とされています。
この中世フランス語の音に当てはめて英語表記の”crayfish”が生まれたというのが一説です。これは、民間語源とよばれ明確な語源がないものとされています。つまり”fish(魚)”とは直接的には関係ありません。
英語でマロンは栗ではない
話は飛びますが、「マロン」と聞くと何を想像するでしょうか?おそらく多くの人が栗やマロン味のデザートを想像するでしょう。しかし、この「マロン」、実は英語ではなくフランス語であるということをご存知でしょうか。
栗は英語で”chestnut”
栗は英語で”chestnut”と言います。よく耳にする「モンブラン」も実はフランス語です。日本同様、「モンブラン」でスイーツを想像する外国人もいますが、英語圏では通じないかもしれません。英語では、”chestnut cake”と表現するとよいでしょう。
英語でマロンはザリガニ
なぜ「マロン」の話を出したかと言うと、実は英語で”marron”はザリガニを意味するからです。これも方言の1つで、オーストラリア英語でよく使われる表現です。
オーストラリアでモンブランを伝えたくて”marron cake”と言ってしまうと、「ザリガニのケーキ」という意味になってしまうかもしれません。
マロンはフランス語で栗ではない
マロンはフランス語に由来する、と書きましたが、実はこのマロンはフランス語でも栗の意味ではありません。フランス語で栗は”châtaignes(シャテーニュ)”と言います。それでは、なぜマロン=栗となったのでしょうか?それは、フランスのあるデザートが日本に伝来した時の日本の作物の状況に由来しています。
そのデザートの名前は「マロングラッセ」です。本来は「マロン」という木の実を使うのですが、このデザートが日本に伝来した時、日本ではマロンが少なかったため栗で代用し、そこから「マロン=栗」という誤解が生まれたとされています。
ザリガニとロブスターの違いは?
最後に、よく似ているザリガニとロブスターの違いについてみてみましょう。どちらも日本でよく耳にする言葉ですし、見た目も似ていますよね。それではどのような違いがあるのでしょうか?
生物学的には同じ分類
ザリガニもロブスターもエビ目エビ亜目ザリガニ下目に分類されます。つまり非常に近い種類であることが分かりますね。ちなみにザリガニ下目は、エビでもカニでもありません。
ザリガニはエビにもカニにも近い特徴を持っていますが、詳しく見るとどちらにも属さない生物とされます。しかし、エビという分類は非常に広範囲であるため、広く捉えればザリガニもカニもエビの仲間と捉えることもできるようです。
生物学的には同じ分類ですが、ロブスターは内臓ごと脱皮するため、寿命がない生き物と言われています。実際には、いずれ息絶えてしまうと思いますが、かなりの長寿命な生物と言えますね。一方、ザリガニの寿命は5~8年と比較的短命です。
生息地の違い
冒頭でも書いたようにザリガニは、用水路や池で見つけることができます。つまり、淡水に生息しているのです。一方でロブスターは「海ザリガニ」とも呼ばれ、比較的温かい海水に生息しています。
カナダやアメリカ北大西洋、フランスが主な産地です。日本でよく見かけるザリガニはアメリカザリガニで、本来は日本に生息していませんでした。食用カエルの餌として、持ち込まれましたが、放流されその繁殖力で日本各地に広がり、現在では飼育はできるものの、販売、譲渡、放流を禁止するという規制が設けられています。
食用にできる?
ロブスターは広く食用として流通していますよね。値段も少し高めですが、とても美味しい食材です。ちなみにオマール海老とロブスターは呼び方が違うだけで同じものとされています。
一方、ザリガニは小学生の頃にとても臭いというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?ザリガニを釣って飼っていたけれど、死んでしまって異臭を放っていた…という経験がある人もいるかと思います。しかし、実はこのザリガニを好んで食べる国もあります。それは、北欧、フランス、中国、アメリカ。食の国フランスでは高級食材とされることもあります。
日本ではイメージが先行して好まれませんが、日本でもザリガニを提供しているレストランはあるので、興味がある方は一度調べてみてください。
まとめ
今回は身近な生き物のザリガニについて解説してきました。方言によって、さまざまな呼び方があることが分かりましたね。英語は全世界で話される言語のため、今回のように同じものを表現するのにも、英語表記が異なったり、そもそも対応する表現を持っていなかったりします。これが、英語の面白いところであり、難しいところです。
すべての方言を理解するのは、不可能に近いので(ネイティブでも他の方言をすべては理解していません)まずは基本となる単語を覚えましょう。ご自身がよく話す相手がいれば、その方の方言を聞いてみるのも面白いです。何にでも言えることですが、最初からすべてを覚えようとせず、少しずつ実用性のあるものを覚えていくことで、より効率よく勉強を進めることができますよ。