「色のコントラスト」「光と影のコントラスト」など、「コントラスト」という言葉を聞いたことはありませんか?
画像の明暗の差や色の対比を表現するときに用いられる言葉で、デザインや写真業界ではおなじみのワードとなっています。
最近では、スマートフォンやタブレット端末で、誰でも簡単に画像や映像編集ができるようになってきているため、日常会話で耳にすることも多くなってきました。
「コントラスト」は、英語”contrast”をそのままカタカナで表記した言葉です。
日本語では「コントラストが強い」「コントラストがきれい」のように名詞として使うことがほとんどですが、英語ではどのように使用すれば良いのでしょうか。
今回は、日本語でもなじみ深いカタカナ言葉「コントラスト」について、英語”contrast”の正しい意味と用法、言い換え表現を紹介していきます。
「コントラスト」の意味
「コントラスト」は、英語”contrast”をカタカナで表記した「対比」や「対照」を意味する印刷用語です。
画像編集や映像編集の分野において、写真や動画、絵など、視覚情報での明暗や色彩の対比を表します。
対照、対比
写真・テレビ画像などで、明るい部分と暗い部分との明暗の差、明暗比参考:goo辞書
明るさを調整したり、色の差を強調したりすることを「コントラスト調整」と呼び、コントラストの程度は、「強い/弱い」「高い/低い」「上げる/下げる」と表現されることが多いです。
「コントラスト」を強くすると、明るい部分は一層明るく、暗い部分はより暗くなります。輪郭がくっきりと際立ち、シャープで鮮やかな印象が増す一方で、中間色の滑らかさはおろそかになり、繊細さが欠けた雑な画像になりがちです。
「コントラスト」を弱めると、暗い部分と明るい部分との境目は穏やかになります。
全体的に滑らかで、落ち着いた柔らかい印象が増しますが、メリハリに乏しく不鮮明な画像になってしまう場合もあります。
使用例
・明暗のコントラストが際立っていて美しい。 ・シャープでコントラストの強い写真が撮れるフィルム。 ・コントラストに欠けた広告はパッとしない。 ・メリハリのない写真のコントラストを上げる。 ・コントラストが強いと彩度が高すぎるため、暗色に白抜きにする。 ・電子インクは、明るくてコントラストをはっきりさせる効果がある。 |
”contrast”の意味
”contrast”は、「対照」「対比」「差異」「正反対のもの」などを意味する英語です。
名詞と動詞の2つの用法があり、互いに異なる特徴や性質を持っている複数の要素を比較すること、またはその違いを強調することを表します。
具体的には、画像や映像の明るさや色彩、形状、質感、音量などが例に挙げられます。
辞書では以下のように定義されており、名詞と動詞どちらも、異なる要素の対比や差異に関して表現するときに用いられる英語です。
noun
- an obvious difference between two or more things
2つ以上のものの間の明らかな違い- an easily noticed or understood difference between two or more things
2つ以上のものの間にある、簡単に気づいたり理解できる違い
verb
- to compare two people or things in order to show the differences between them
2人または2つの物を比較して、それらの違いを示すこと- If one thing contrasts with another, it is very different from it
あるものが別のものと対照的である場合、両者は非常に異なっていること
”contrast”は、アメリカ英語とイギリス英語で発音に若干違いがあります。
アメリカ英語 /ˈkɑːn.træst/「カァントゥラアストゥ」
イギリス英語 /ˈkɒn.trɑːst/ 「コントゥラアストゥ」
いずれもカタカナの「コントラスト」とは異なるため、英語で話すときは正しい発音を心がけておきましょう。
”contrast”を使った例文
”contrast”は、「対比」や「差異」を表現するときに使われる英語です。
名詞と動詞の2つの用法があるので、それぞれの正しい使い方を例文で確認していきましょう。
名詞として使われる”contrast”
訳)わたしは、彼の後期の写真におけるコントラストの使い方が好きです。
訳)期待と現実の間にはいつだって違いがあるものです。
訳)コントラストはリモコンで調整できます。
動詞として使われる”contrast”
訳)雪に覆われた山頂と鮮やかな青い空は、美しいコントラストをなしていました。
訳)デザイナーは、地味な壁紙とは対照的な明るい色のカーテンを選びました。
訳)二人の映画監督の作風は、非常に対照的です。
”contrast”の言い換え
名詞と動の2つの用法を持つ”contrast”は、いろいろな英語と言い換えが可能です。
”contrast”と似た意味を持っている名詞と動詞を紹介します。
difference / differentiate
”difference”は、物事や状況の「違い」を意味する代表的な名詞です。
2つ以上のものがどのように異なるかを示すときに用いられます。
見解の違いや意見の不一致、数学用語としては「差」「引き算の結果」などを表現する場合にも使われます。
訳)グループ間の最大の違いは年齢でした。
”differentiate”は、「2つ以上のものの違いを見つける」という意味を持つ動詞です。
複数の要素を比較し、互いの明確な違いを見つけ区別することを表します。
訳)サンプル同士は、識別し難いこともあります。
opposition / oppose
”opposition”は、「反対」や「対立」を意味する名詞です。
異なる立場や意見を持つグループや個人に対して、反対することや対立することを表します。
スポーツや競技において、ライバルチームや敵対するプレイヤーとの競争や対戦を指すこともあります。
訳)幅広い反対にもかかわらず、法案は成立しました。
”oppose”は、「反対する」や「対抗する」といった意味を表す動詞です。
相手の意見や主張を支持しないとき、何かに異議を唱えるときに使われます。
訳)彼は、2人の対立候補と争っています。
comparison / compare
”comparison”は、「比較」という意味を持つ名詞です。
2つ以上の物事や状況において、互いの相違点や類似点を比較することを指します。
訳)彼の初期の映画との比較は避けられないと思われます。
”compare”は、「比べる」や「比較する」という意味の動詞です。
2つ以上の人や物事を比較し、共通点と相違点を探すときに用いられます。
訳)彼女は、偽のダイヤと本物のダイヤを念入りに比べました。
distinction
”distinction”は、「分離する」「区別する」という意味を表す名詞です。
二つ以上のものを区別し見分けることや、比較したうえでどちらかの優れた点や両者間の違いを示すときに使われます。
訳)彼は、相手との違いを鮮明にしました。
distinguish
”distinguish”は、「区別する」「違いを明確にする」という意味を持つ動詞です。
特定のものや人物を他と比べて、違いを見分けることや、特徴を明確にして区別することを指します。
訳)子どもは、すぐに善悪の判断ができるようになります。
まとめ
日本語としてもなじみ深いカタカナ言葉「コントラスト」について、英語”contrast”の正しい意味と2つの用法、言い換え表現を紹介しました。
「コントラスト」は、英語由来のカタカナ言葉で、画像や映像における「明暗の対比」「色彩の差異」を表す印刷用語でもあります。
日本語では名詞として使われることがほとんどですが、英語”contrast”には名詞と動詞の2つの用法があるので注意が必要です。
「対比」「比較」「違い」「区別」などは、”contrast”以外にもいろいろな言い回しができます。
今回紹介した言い換え表現をいかして、語彙のバリエーションを増やしていきましょう。
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