セリフは漢字だと「台詞(科白)」と書きますが、これらはどちらも中国語由来の当て字なんだそうです。
本来の「セリフ」という日本語は「世流布(せるふ)」、あるいは「競り言ふ(せりいふ)」が転じたものだと言われています。字面の雰囲気からしても、これらの方がしっくり来ますね。
はてさて、いきなり脱線気味ですが、このブログのテーマはあくまで英語。ということで、今回のテーマは「セリフ」を英語で何と言うかです。
セリフを表す表現についてはもちろん、各表現の表す意味の違い、セリフを文で書く際の注意点、そして偉人達が遺した「名言」についてまで詳しく語っていきます。
これを読めば、英語でのセリフが何たるかが分かるのはもちろん、なんだか自分で名言の1つでも残したくなってくることでしょう。
それでは、早速始めていきましょう!
「セリフ」は英語で何て言う?
セリフは英語で “quote”、あるいは “line” と言います。
quote(クオート)は「引用」という意味でも有名です。先ほどから私が使っている「””」という記号は、英語のカギカッコにあたるもので「クオーテーションマーク(quotation mark)」と呼ばれています。セリフや引用を示したり、私が使っているように “特定の語句を強調したり” する機能があります。まさにカギカッコと同じ役割ですね。
また、line(ライン)は「線」という意味が有名でしょう。そこから、本に書かれている文字の線である「行」を表すようになり、脚本に書かれる行である「セリフ」を表すようになったと考えられます。
ちなみに、もはや国民的SNSであるLINEも同じ綴りですが、これは「人と人を結ぶ縁」という思いから名づけられたそう。とはいえ、ログを見てみるとセリフ(line)の応酬にも見え、なかなかに言い得て妙なネーミングだと感嘆させられますね。
quote と line は何が違う?
quote と line の使い分けは難しいところですが、自分を含めた個々人のリアルなセリフは line、有名人のセリフや他人からの受け売りのセリフなどは quote と捉えて概ね間違いありません。
また、line は台本の行のようなイメージなので、セリフの前後関係があります。その一方、quote は一言だけ引き抜いてきたものなので、前後のセリフと関係せず浮いていることがほとんどです。同じセリフでも、他人のセリフと自分のセリフ、しっかり住み分けていくことが大切ですね。
Leave it to me!
訳)ワタシニマカセテ!
Your line always sounds like a quote.
訳)君のセリフってなんだか借り物っぽいんだよな。
英語でのセリフの書き方
英語で他人が言ったセリフを表現する際は、クオーテーションマーク(“”)を使うのがルールです。クオーテーションマークは日本語で「引用符」。これを付けずに他人のセリフを勝手に使ってしまった場合、場合によっては「剽窃(ひょうせつ)」と呼ばれる、文章の万引き的な罪に問われることになってしまいます。
また、セリフを書く際は、クオーテーションマークを使うことに加えて、以下のような細かい規則もあります。この機会にぜひ覚えておきましょう。
- クオーテーションマークの直前にカンマ(,)を入れる。
- 文末のピリオド(.)などの記号は、クオーテーションマークの内側に入れる。
- セリフの中に更にセリフを引用する場合はシングルクオーテーションマーク(’’)を使う。
ちなみに、シングルクオーテーションマーク(’’)と差別化する場合、クオーテーションマーク(””)は「ダブルクオーテーションマーク」と呼ぶこともあります。
ということで、以上の3点を守って書くと、以下のような例文が仕上がります。
My mother said to me, “You said just now, ‘I’m awake.’ Get up right now!”
訳)「つい今しがた『目覚めてる』って言ったわよね。さっさと起きなさい!」と母は私に言いました。
「名言(名セリフ)」in English
誰か有名人が遺した「名言(名セリフ)」は “famous quote” と言うのが自然です。名言と言っている時点で自分たちの発言ではないので、famous line だと不自然になります。
もし会話の中で「これって名言じゃない?」と名言候補に出会った場合は、以下のように表現してみましょう。
His story is “history”, then my story is “mystery”.
訳)誰かの物語が「歴史」なら、自分の物語は「謎だらけ」ってな。
Oh, your line can be a famous quote.
訳)おお、それ名言じゃね?
ちなみに、名言と格言(ことわざ)は似て非なるものなので要注意。
名言は具体的に言った人が決まっていますが、格言(ことわざ)は昔から言い伝えられている言葉であり、誰が言ったかは不明という違いがあります。英語で格言(ことわざ)は “proverb”、あるいは “saying” と言います。
As the proverb says, “Haste makes waste.”
訳)格言にもある通り、「急がば回れ」だね。
「こっちのセリフ」in English
「こっちのセリフ」は英語で “That’s my line.” と言います。「こっち(自分)のセリフ」と生の発言を念頭に置いているので、借り物の言葉である quote は不適切ですね。
AさんとBさんのセリフ(line)の応酬を想像してください。その中で、Aさんのある発言に対してBさんが言おうと思ったことを、Aさんが言ってしまったとします。その場合、Bさんにとってそのセリフは「本来自分のセリフ(my line)だったはずのもの」と感じられますよね。そのため、相手の言ったこと(that)を指して “That’s my line.” という表現が成り立ちます。
What is the flower on our face?
訳)私たちの顔にある花ってな~んだ?
On our face? I’m not sure.
訳)顔にある花? わからん。
It’s a “tulip”! Ha-ha!
訳)それはチューリップ(two lip)さ!はは!
…
訳)…。
That’s so lame.
訳)つまんなっ。
Nononono! That’s my line!
訳)いやいやいや、それはこっちのセリフだわ!
おしゃれな、かっこいい名言3選
最後に、せっかくなので個人的におしゃれ、あるいはかっこいいと思う名言を3つピックアップしてご紹介します。
どれも非常に考えさせられる名文なので、何かの機会にサラッと引用できると周囲に一目置かれますよ。
※各名言の和訳は筆者が作成したものです。
ココ・シャネル(Coco Chanel)の名言
My life didn’t please me, so I created my life.
和訳:私の人生は私を楽しませてはくれなかった。だから、私は自分で人生を作ったの。
有名ブランド「シャネル」の生みの親として知られる、フランスのファッションデザイナー「ココ・シャネル(Coco Chanel)」の名言です。
普通の人なら、自分の人生がきっと自分を楽しませてくれる、そうどこか受け身になってしまうでしょう。しかし、シャネルは「ダメなら自分で作ればいいじゃん」とばかりに能動的に生きていきました。
言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのは尋常でなく難しいでしょう。けれど、いや、だからこそ、非常に励みになる言葉です。
自分の人生に「生かされている」のか、それともそれを「生きている」のか、あなたは胸を張って答えられますか?
アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)の名言
Life is like riding a bicycle. To keep your balance, you must keep moving.
人生は自転車に乗っているようなものだ。倒れないためには、動き続けなければならない。
『相対性理論』の発見などで知られる、人類史上最大の天才の1人「アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)」の名言です。
move には「進む」という意味があるので、「進み続けなければならない」と訳すのが本道でしょうが、個人的には「動き続けなければならない」の方がしっくり来ます。
前に進まなくても、左右のバランスを保つためにフラフラと動いたり、時には後退したり、そんな move を繰り返すことが人生だ、そんな意味にも取れる気がします。
何はともあれ、今自分が乗っている人生という自転車のバランスだけは見失わないようにしたいものです。
エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の名言
The government of the people, by the people, for the people
和訳:人民から生まれ、人民に支えられ、そして人民のためを思う政治
アメリカの歴代大統領の中でも一二を争う有名人「エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)」が演説で遺した名言です。
「人民の人民による人民のための政治」という、あまりにも有名過ぎる定訳がありますが、個人的に敢えて意訳してみました。
of は「全体と部分」を表すので、政治は人民という全体から生まれ出るべきものだという意味。
by は隣にいる様子を表すので、常に人民が傍にいて支えている体制を表している。
そして for は目的を表すので、政治の主眼があくまで人民自身だということ。
以上のことがこの短い言葉の中に込められていると思うと、これ以上の名言は無いのではないかと思ってしまいます。
果たして、当時リンカーンが語った政治像は現在実現できているのでしょうか。あらためて考えさせられます。
まとめ
今回は、「セリフ」というテーマでお話ししてきました。
セリフは英語で line、または quote です。私たちが普段口にしているセリフも、過去の偉人や有名人が遺したセリフも、すべて1人の生きた人間から発せられたもの。私たちの口から出るものが famous quote になることも十分考えられます。
今回ご紹介したことを参考に、英語でもいろいろなセリフを表現していきましょう。もしかしたら、あなたの放った一言が世界を大きく変える「名言」になるかもしれませんよ。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!