最近、「プロコン」という言葉をよく耳にしますが、意味がよく分からず、どんなシーンでどんなふうに使っていいのかも分からない方が多いのではないでしょうか。中には、「メリット・デメリットと似たような意味でしょ」と思っている方もおられるかもしれません。
そこで、この記事では、「プロコン」の意味やどんなシーンでどんなふうに使うのか、「メリット・デメリット」との違いについても詳しく解説していきます。
プロコンの意味
プロコンとは、Pros and Consの略で、「賛成意見と反対意見」という意味です。 ”Pro”と”Con”は共にその語源はラテン語で、”Pro”には「賛成、肯定の」という意味が、”Con”には「反対、否定の」という意味があり、それが複数になると “Pros and Cons”となります。プロコンを「賛否両論」と訳すこともあります。
訳)在宅で働くことには、賛否両論があります。
訳)うちの会社はもっと在宅勤務を採り入れるべきだと思うので、それを会社に提案するつもりです。
訳)その提案のプラス面とマイナス面を話し合いましょう。
プロコンのビジネスでの活用
プロコンはビジネスでよく活用されていると聞きますが、具体的にどんなシーンでどのように活用されるのでしょうか。
戦略的コンサルティングで活用
プロコンはさまざまなビジネスシーンで有効に活用できますが、その一例として戦略的コンサルティングでも活用できます。「戦略的コンサルティング」は、英語で”Strategic consulting”と言います。
何か提案がある場合に、その提案にはプラス面とマイナス面が考えられます。コンサルティング会社では、そういったプラス面とマイナス面を列挙してクライアントに提示する場合、「プロコン」を活用します。具体的には、次のようなプロセスになります。
<プロコンのプロセス>
1. まず、提案をする。First, make a proposal.
2. 次にその提案への「プロコン」を書き出す。Next, write down pros and cons to the proposal.
3. 「プロコン」を秤にかけて慎重に検討する。Then, weigh the pros and cons and consider carefully.
4. 最後に結論を示す。Finally, present the conclusion.
訳)プロコンの活用は、戦略的コンサルティングにとても有効です。
ファシリテーションのツールとして活用
ファシリテーションとは、会議やミーティングを円滑に進めるための技法です。近年、働き方改革により、生産性や効率性の向上が強く求められています。そんな中、ファシリテーションにおいても、より効率的な技法が必要になってきて、プロコンを積極的にファシリテーションに使おうとする動きがあります。
ミーティングで、誰かが一方的にプレゼンやスピーチをしても、なかなか腹落ちしませんが、プロコンを使って、賛成意見と反対意見を明確にしてディスカッションをすることで、参加メンバー全員が納得して、意思決定や問題解決ができます。
訳)プロコンは、ファシリテーションのツールとしても活用できます。
プロコンを活用するメリット
プロコンがビジネスのどんなシーンで活用されるか解説しましたが、プロコンを活用するメリットは何なのでしょうか。プロコンを使うメリットについて解説します。
ビジネスの意思決定に活用できる
プロコンは、先ほど紹介したコンサルティング会社など、業種や職種にかかわらず、さまざまなビジネスの意思決定に活用できます。
例えば、製造業では「高品質で低コストの実現」が求められます。両立が難しい二律背反と呼べるような状況を成立させるために、さまざまな関係者がそれぞれの意見のプラス面・マイナス面、賛成・反対意見など、対立する意見を出し合って議論を行い、最終的な意思決定につなげます。
物事のプラス面・マイナス面が明確になる
プロコンでは、議論に参加している人達が、ある議題について、そのメリットとデメリットを書き出していきます。メリットをデメリットを書き出すことによって、物事のプラス面とマイナス面が明確になります。
プラス面とマイナス面が明確になれば、議題について本質的な課題も見えてきて、意思決定に役立つ有益な意見を出すこともできます。
さまざまな意見を整理しやすい
プロコンには、さまざまな意見を整理しやすいというメリットもあります。
プロコンでは、賛成意見と反対意見に分かれて、メリット・デメリットを出し合っていくので、自然と意見が整理しやすくなります。
例えば、あるシステムを導入するかどうか迷ってる場合、そのシステム導入についてメリット・デメリットを文字で書き出していった方が、考えや意見が整理できるので、導入すべきか冷静に判断できます。
プロコンの図の作成と進め方
プロコンでは、図を作成して、賛成意見と反対意見を記入していくやり方があります。
例えば、ある企業で、業務に生成AIを導入すべきかを検討したい場合、その議題に関するプロコンを図に書き出します。
<作成例>
議題:業務に生成AIを導入すべきか
Pros(賛成意見) |
Cons(反対意見) |
・コスト削減:特定の分野における人間の労働力の必要性を減らせる
・効率性と自動化の向上:企業や個人の時間とリソースを大幅に節約できる ・創造性の強化:人間の創造性を高めたりすることで、創造的なプロセスを支援し得る ・データに基づく洞察:ビックデータに基づいて分析してレポートや予測を生成し、さまざまな洞察を提供できる ・カスタマイズされたコンテンツを提供できる |
・雇用の喪失:作業の自動化が可能な分野での雇用の喪失につながる
・品質と正確性に関する懸念:品質と正確性が必ずしも担保できない ・人間の創造性の喪失: AIへの過度の依存は、人間の創造性や問題解決能力を抑制・低下させる ・著作権と知的財産の侵害の可能性 ・倫理的懸念:フェイクニュース、その他の欺瞞的なコンテンツを作成するために使用される可能性がある
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プロコンを書き出して、図にまとめることで、物事のプラス面とマイナス面が明確になり、家氏決定や問題解決がしやすくなります。
プロコンとメリット・デメリットの違い
次に、プロコンとメリット・デメリットの違いについて見ていきましょう。
プロコンとメリット・デメリットは意味が似ていますが、少し違いがあります。前述の説明のとおり、プロコンは「賛成意見」と「反対意見」で、メリット・デメリットは「長所」と「短所」という意味になります。
「メリット・デメリット」は英語にすると、”Advantage”と”Disadvantage”と訳されます。
”Pros” が「長所」につながり、”Cons”が「短所」につながりますが、「プロコン」=「長所・短所」ではないので、「プロコン」と「メリット・デメリット」の意味の違いについてしっかり認識しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「プロコン」はPros and Consの略で、戦略的コンサルティングなど様々なビジネスシーンで活用されることについて解説しました。プロコンを活用するメリットやプロコンを使うプロセスについても説明しましたので、機会があれば、プロコンを表に書き出して、ビジネスの意思決定や問題解決に役立ててください。
英検の準1級や1級の英作文で、”Pros and Cons”について取り上げている問題を見たことがありますし、ビジネス問題をたくさん取り扱うTOEICなどにも”Pros and Cons”が登場するかもしれません。「賛成意見」と「反対意見」を述べる練習をすることは、英語学習でもビジネスの実践でも役立ちますので、ぜひ取り組んでみてください。
Keep learning English!
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