動物園は定番のデートコースであり、また、お子さんがいる方は連れて行く機会も多いでしょう。春や秋には、学校などの遠足でも度々訪れる場所です。
そんな身近なレジャースポットの動物園ですが、そもそもどうやって現在のかたちに落ち着いたのでしょうか?意外と知らない動物園のなりたちを、英語とともにご紹介していきます。
はじまりは、個人のコレクション
歴史をひもとくと、動物園は、古代の王や貴族たちが、国内・海外からの貢物として送られた珍獣や、戦利品として各地で集めた動物を、庭園で飼い出したことから始まるようです。この私的な施設は、古代エジプトやメソポタミア、地中海、中国、インド、アステカ、中世ヨーロッパなど、世界各地で作られました。
18世紀半ばになると、オーストリアのウィーンにあるシェーンブルン宮殿に動物園が作られました。当時の皇后のマリア・テレジア(マリー・アントワネットのお母さん)は、朝食を取りながら、ゾウ「elephant」、ラクダ「camel」、シマウマ「zebra」などのコレクションを見るのが好きだったとか。
この私設の動物園は、後ほど市民に公開されることとなり、フランス革命後に公開されたパリ動物園とともに、近代動物園につながる施設とされています。
このような動物園は、メナジェリー「menagerie」と呼ばれ、見世物のような色合いが濃く、現在のような研究・教育施設のような役割はありませんでした。英語の「menagerie」は、サーカスなどの動物園、動物園などの動物、という意味があります。
「zoo」は「ロンドン動物園」から始まった。
「zoo」という言葉はいつから使われるようになったのでしょうか。
19世紀半ば、イギリスに、動物学を基礎としたロンドン動物園が開園します。この動物園は、研究のために世界各地から集められた動物を飼育・展示するという、現在の動物園の基礎となりました。近代動物園の始まりです。
ロンドン動物園は「zoological garden」という名前で、「zoological」は「動物学の、動物に関する」という意味です。「zoo」はこの「zoological garden」の愛称で、いつしか「動物園」という意味になりました。こうして、植民地を多くもつヨーロッパの国々を中心に、「zoo」は世界へ広がっていったのです。
20世紀に入ると、ドイツでハーゲンベック動物園が開園します。この動物園は、動物商のハーゲンベック氏によるもので、動物を檻に閉じ込めるのではなく、動物と人を深い堀で隔てたパノラマ展示で大成功し、ハーゲンベック式(無柵式展示)として知られていきます。
20世紀半ばには、スイス動物園が、同じ地域の動植物をまとめて展示し、より自然に近いかたちで見せる「生態展示」を始めます。その地域を旅する感覚で動物たちを眺めることにより、環境が抱える課題をも浮き彫りにすることがねらいでした。
こうして、その時代により変化してきた動物園。いまも、動物本来の習性を見せる展示や、動物たちがなるべくストレスを感じずに過ごすためのさまざまな取り組みがなされています。
それでは、「zoo」の元になった単語「zoological」の立場から、それぞれの動物の分類を英語でみてみましょう。
ほにゅう類、鳥類、は虫類…。それぞれ、英語で何て言う?
- 動物「animals」
ちなみに、アニメーション・活気・正気を意味する「animation」も、この「anima」から派生しています。
「animal」と似た言葉で「beauty and beast(美女と野獣)」の「beast」という単語があります。「animal」は、人間以外の動物をさす一般的な単語ですが、「beast」は、人間以外の高等で比較的大きい「哺乳動物(mammal)」をさす言葉のようです。
ほにゅう類の定義の一つが、「子どもにお乳をあげる」ことから、乳腺「mamary gland」にちなんで「mammalia」と名付けられ、これが「mammal」の語源となっています。
ちなみに、「mammalia」と命名したのは、スウェーデンの博物学者で「分類学の父」とされるリンネ博士です。18世紀半ば、彼は「高貴な女性でも、自分の子どもにお乳をあげることを誇りに思うべき」として、当時は当然の習慣だった乳母について反対運動を行なっています。リンネ博士は、それまでに知られていた動植物を整理して、それぞれの特徴や違いを明らかにし、近代分類学の基礎を築きました。
まとめ
日本に「zoo」を紹介したのは福沢諭吉で、1866年のことでした。「動物園」という名前を作ったのも、彼だとされています。
それから15年後の1881年、日本初の動物園が開園します。パンダの赤ちゃんで話題になった上野動物園です。
最後に、現在の上野動物園の人気ランキングをご紹介します。
1位 | Giant Panda ジャイアントパンダ |
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2位 | Asian Elephant アジアゾウ |
3位 | Polar Bear ホッキョクグマ |
4位 | Western Gorilla ニシゴリラ |
5位 | Sumatran tiger スマトラトラ |
6位 | ケープペンギン Cape Penguin |
7位 | Caribbean Flamingo ベニイロフラミンゴ |
8位 | Shoebill ハシビロコウ |
9位 | Japanese Macaque ニホンザル |
10位 | Giraffe キリン |
引用文献:アンカー大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 株式会社学研プラス