カナダは日本人の留学先として最も人気のある国として有名です。
そんなカナダでは、どんな英語が話されているかは英語を学ぶ多くの日本人が関心を寄せるところです。
日本人が学ぶ学校での英語はアメリカ英語がベースになっていますから、アメリカ英語を学びたい人もいますし、ヨーロッパに関心を寄せる人はヨーロッパで話されるイギリス英語を学びたい人もいます。
また、カナダは英語だけでなく公用語が2つある国としても有名です。
この記事では、そんなカナダの英語についてわかりやすくお伝えします。
この記事を読み終わる頃には、カナダで話されている英語について十分な知識を持ち、あなた自身が目指す英語とどれくらい合致しているかを掴めるだけでなく、カナダで話されている公用語やその背景についても理解を深めることができるので、ぜひ最後まで読んでください。
カナダの公用語は2つある?
カナダ連邦国の公用語は、英語とフランス語の2種類です。
筆者が大学生の時に、バンクーバーの近くの州へ語学留学していたのですが、ショッピングモールなどで見かける商品の説明部分が英語とフランス語どちらも書かれていたことが今でも印象に残っています。
↑のように思われるかもしれませんが、実は「そうとは限らない」と言えます。
というのも、英語とフランス語のどちらが話されているのかは、「州による」からです。
カナダに住む総人口のうち、約25%(4分の1くらい)がフランス語系の人々なのですが、そのうちの80%くらいが一つの州に集まっています。(詳しくは後述しますね。)
感覚的に言えば、カナダで話されている言語は「英語、ときどきフランス語」というイメージです。
フランス語が話されているカナダの州
フランス語が話されているカナダの州で、有名なのが「ケベック州」です。
ケベック州は、カナダの中でも大都市である「モントリオール」がある州です。(フランス語を学んでいる方は、「モントリオール」という名前の響きが「フランス語っぽい」と感じて納得するかもしれませんね。)
ケベック州では、人口の約80%がフランス語を話す人々なので、「カナダで話されるフランス語のほとんどは、ケベック州で話されている」とも言えますね。
カナダで英語とフランス語が話されている理由(ワケ)
カナダの公用語が英語とフランス語が話されている理由は、その背景を知ると強い納得感を得て深く理解できます。
カナダは歴史的に17世紀から18世紀にかけて、イギリスとフランスの領土だった事があります。
その後イギリスがカナダの領土を獲得してイギリス系(英語系)の人々が多くを占めるようになったのですが、元々フランス人が多い地域だったケベック州にはフランス人が多く残りました。
要するに、カナダがかつてフランスの領地だった名残で、フランス人とフランス語がケベック州に残ったわけですね。
カナダで話されるフランス語は、フランス語とは違う?
前述した理由でフランス語も話されているカナダという国ですが、カナダの中で独自にフランス語が発達して、フランス本国とは「方言の違い」のようなギャップが生じています。
英語で例えるなら、イギリス英語とオーストラリアやニュージーランドの英語のようだと言えるでしょう。
ベースは正真正銘フランス語なのですが、カナダで発音されるフランス語はアクセントやイントネーションが異なり、フランス語を話す人は「フランス本国で話されるフランス語」と「カナダで話されるフランス語」とで明確に区別しているくらいです。
さらに発音だけでなく、カナダ国内で英語の影響を受けて生まれたフランス語もあるので、フランス本国にはないけどカナダでは使われているフランス語の単語などもあります。
特に、カナダのフランス語スピーカーの80%が集まるケベック州のフランス語は「ケベックワ」と呼ばれて明確に区別されています。
カナダ人の英語は何なまり?
カナダで話される英語は、わかりやすくザックリと言えば「アメリカ英語に近い」と認識したらイメージしやすいです。
前項で「カナダは歴史的にイギリス領だったことがある」とお伝えしたので、カナダの英語が「アメリカ英語に近い」と言われると意外に思われるかもしれません。
確かにカナダ人の話す英語はイギリス領だった影響も強いですが、地理的にアメリカと隣りあっているので、アメリカからの影響を言語的に強く受けていると考えると納得しやすいですね。
カナダ人の英語の発音は?
カナダ人の英語の発音は「アメリカ英語にかなり近い」と言って良いでしょう。
日本の学校英語ではアメリカ英語がベースになっているので、カナダ人の英語を「聞き取りやすい」と感じる人も多いはずです。
逆に、イギリス英語の方が聞き取りやすいという人は、「あぁアメリカ英語に近い発音だなあ」と感じるでしょう。
Rの発音はイギリス英語のようにハッキリとした発音ではありませんし、TやDの発音が「L」に近い発音になるのもアメリカ英語らしい発音だと言えます。
一方で、Zを「ゼッド」と発音したり(アメリカ英語では「ズィー」)、Dot(ドット柄のドット)やHotなどの「o」の発音が、日本語の「オ」に近いなど、イギリス英語に近い側面もあります。
とはいえ、日本人英語学習者の目線からは「ほとんどアメリカ英語の発音」という認識で問題ないでしょう。
英語の綴り(スペル)はイギリス寄り
カナダ人の使う英語の綴り(スペル)に関してはイギリス英語の影響が強いと言えるでしょう。
Colorの綴りは「Colour」と書きますし、Theater(シアター)は「Theatre」と書きます。
ただし、「Recognize(〜だとわかる)」や「Itemize(箇条書きにする)」など、「〜ize」で終わる英単語はアメリカ英語での綴りだと言えます。(イギリス英語の綴りはRecogniseやItemise)
以上のように、カナダ人の使う英語は、日本人から見れば「発音はアメリカ英語にとても近い。ただしイギリス領だった名残も、特に書き言葉の英語に根強く残っている。」と言えます。
カナダ人だけが使う英語もある
「カナダ人が使う英語は、日本人が学校で学んできたアメリカ英語に近いながら、書き言葉ではイギリス英語も色濃く引き継いでいる。」と前項でお伝えしました。
加えてカナダでは、カナダ人だけが使うカナダならではの英語もいくつか話されています。
代表的なものを紹介しますね。
Eh?
「カナダ人だけが使う英語」と聞いて、カナダ人や他の英語圏の人が真っ先に挙げるのが「Eh?」です。
「Eh?」は、「It’s a nice day, eh?(いい天気だね、ね?)」のように、文章の後ろにつける形で使われます。
ニュアンス的に近いのは「Right?」ですね。「It’s a nice day, right?」のような感覚です。
「Eh?」は発音的には日本語の「えっ?」にとても近いですが、聞き返しているわけではなく「でしょ?」とか「だよね?」といった意味で使われるのを覚えておくと、カナダ人の英語をスムーズに理解できますよ。
Klick
Klickもカナダでのみ使われる英語表現で、1キロメートルを表す距離の単位として使われます。
元はカナダ軍が距離の単位としてKlickを使っていたのが元になっています。
Pop
アメリカやイギリスでは、「Pop」と言われたら「Popular」を思い浮かべます(Pop MusicはPopular Musicの意味)。
しかしカナダでは、Popと言われたらPopularの略語として以外にも「炭酸ドリンク」の意味でも使われます。
炭酸ドリンクを指すので、アメリカでは「Soda」と呼ばれるものをカナダでは「Pop」と呼んでいるイメージです。
まとめ
この記事では、カナダで話されている2つの公用語と、2つの公用語が話されるようになった背景、そして英語ではアメリカ英語寄りで話され、書き言葉ではイギリス英語が引き継がれていること、カナダ人だけが使う英語もあることをお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、カナダで話されている英語について十分な知識を持ち、あなた自身が目指す英語とどれくらい合致しているかを十分に掴んでいるだけでなく、カナダで話されている公用語やその背景についても十分な知識が身についているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。