今回のテーマは「審査」です。

ひとくちに審査といっても、何を審査するのか、どうやって審査するのかなど、その詳細によって意味合いが異なります。この記事では、英語で「審査」を表す表現を複数紹介し、それらの意味合いやニュアンスの違いを詳しく解説していきます。

また、「書類審査」や「入国審査」、ちょっとマニアックな「特許審査」など、具体的な「〇〇審査」の表し方もご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

それでは、早速始めていきましょう!

「審査する」は英語で何て言う?

「審査する」は英語で何て言う?

英語で「審査する」を表す単語は “examine”、”inspect”、”screen”、”review”、”audit”、”check” の6種類です。

それぞれに行われる審査の詳細や、表すニュアンスが異なるので、1つずつ詳しく確認していきましょう。

「審査する」①:examine

対象となる人や物事を念入りに調べる、そんな審査は “examine” で表します。発音記号は「ɪgzˈæmɪn」、カタカナだと「イグザミン」です。

もともと examine は、対象がどんなものなのか知るために、重さや長さなどの特徴を詳しく確認することを表します。科学者が試験管などを使っているイメージです。

そこから、基準をしっかり満たしているか、誤っている部分が無いかなど、対象を詳細に審査するという意味合いでも使われるようになりました。

Aさん
Could you examine these documents?
訳)これらの書類を審査していただけますか?

ちなみに、examine の名詞形である “examination” は、審査の他に「定期試験、入学試験」という意味もあります。その場合は “exam(イグザム)” という短縮形でもよく使われます。

Aさん
I took the entrance exam last week.
訳)先週、入学試験を受けました。

「審査する」②:inspect

正しい状態を基準として、何か間違いなどが無いかを審査する場合は “inspect” が適切です。発音記号は「ɪnspékt」、カタカナだと「インスペクト」となります。

inspect の語源は「中を(in-)見ること(-spect)」。表面上はわからないことを、中の隅々まで確認することを表します。医者が聴診器で患者の病気を探るようなイメージです。

たとえば、機械の審査をする場合、見た目だけでは正常か否かはわかりません。中を分解するなどの作業が必要となる場合は、inspect が適切でしょう。

inspect と examine は似たニュアンスの言葉ですが、inspect の方がフォーマルな印象があり、より専門的な審査を表すことが多いです。

Aさん
We need this machine inspected every year.
訳)この機械は毎年審査してもらう必要があります。

「審査する」③:screen

何らかの基準で人や物事をふるいにかける審査には “screen” を使います。発音記号は「skríːn」、カタカナだと「スクリーン」です。

スクリーンと聞くと、パソコンやテレビなどの画面が思い浮かびますよね。しかし、もともとは何かを遮る「仕切りや衝立(ついたて)」のことを表す単語でした。そこから、基準を満たすものと満たさないもので仕分ける審査を表すようになりました。物を金属探知に通すようなイメージです。

ただ、screen が表すのは限られた基準による審査です。対象をより詳しく知るためには screen だけでは足りないことも往々にしてあります。そのため、screen に続いて examine や inspect を行うことも十分に考えられます。

Aさん
We screened the applicants. And then, we will examine them more deeply.
訳)応募者の選別をしたので、より詳細に審査します。

「審査する」④:review

「レビュー」というカタカナ語で有名な “review” も、「審査する」という意味で使われることがあります。発音記号は「rɪvjúː」、カタカナで表すと「レビュー」より「リビュー」が近いです。

review の語源は「再び(re-)見ること(-view)」。文字通り「再確認する」ことに加えて、「批評」や「論評」といった意味を表します。私たちが普段使う「レビュー」は、批評の意味で使われることが多いですね。

review が「審査する」の意味合いで使われる場合、たいていは「専門家による意見を求める」というニュアンスになります。「審査する」という動詞、「審査」という名詞いずれの場合も review でOKです。

Aさん
I want my manga draft reviewed by a professional.
訳)マンガの原稿をプロに審査してもらいたいです。

「審査する」⑤:audit

対面が伴う審査の場合は “audit” が使われます。発音記号は「ˈɔːdɪt」、カタカナだと「オーディット」です。

audit は “audio(オーディオ)” や “audience(オーディエンス、聴衆)” と同じく、「聴くこと(audi-)」を語源に持つ単語です。そのため、audit の表す審査は主に聞き取りによる審査、特に人と人が対面することが必要な審査を表します。会社の「監査」が代表的です。動詞と名詞いずれの場合も audit の形で使われます。

Aさん
He will audit our books.
訳)彼が我々の帳簿を審査(監査)します。

「審査する」⑥:check

以上見てきた4つの審査は、それぞれニュアンスが異なっているだけでなく、少し専門的な響きを伴う表現です。そのため、日常生活で使うには少し硬いイメージになることがあります。

そんなときに便利なのが “check” です。日常会話のカジュアルなものからビジネスシーンまで、幅広い「審査」を表すことができます。check の発音記号は「tʃék」、カタカナだと「チェック」です。

check はもともとチェスで「王手」を表す言葉でした。王手された場合、自分の王の逃げ筋を確認する必要があります。そこから、今回ご紹介する「審査」を含めて、幅広く何かを確認する行為を表すようになりました。

Aさん
I will check whether the man is suitable for you.
訳)その人があなたにふさわしい男かどうか審査してあげる。

「書類審査」「入国審査」など、「〇〇審査」を英語で言ってみよう!

「書類審査」「入国審査」など、「〇〇審査」を英語で言ってみよう!

最後に、普段の生活で見かける「〇〇審査」の英語表現をご紹介します。ニュアンスに応じて上述の「審査する」を表す単語が使い分けられているので、ぜひクイズ感覚で確認してみてください。

「書類審査」in  English

就職活動などにおける「書類審査」は、”screening of documents” と言います。審査基準に照らし合わせて選別するので、screen がイメージとしてピッタリですね。

また、書類審査は審査全体における「過程(process)」であることを踏まえて ”screening process” と呼ばれることもあります。

「出入国審査」in English

空港などで行われる「出入国審査」は “immigration inspection” と呼ばれます。immigration(イミグレーション)は「移住」という意味。対象者の素性などをじっくり審査するため、inspect のイメージが活きた表現です。

日本語では「出国審査」「入国審査」と呼び分けますが、国を移動するという点では同じなので、英語ではどちらも同じ immigration inspection でOKです。

「オーディション審査」in English

アイドルなどの芸能関係を目指す人が受ける「オーディション審査」、これは英語でもそのまま “audition” が使われます。

audition は、対面での審査を表す audit の名詞形。audit のままでも名詞で使えますが、「会社などの審査(監査)=audit」「芸能関係のオーディション=audition」という使い分けがされています。

「与信審査」in  English

クレジットカードを作る際などに行われる「与信審査」は英語で “credit examination” と言います。

credit は「信用」という意味。対象者が信頼できる人物なのかどうか、あらゆる観点から調査を行うため examine が使われています。

「特許審査」in English

独創的な発明をした際などに取得する「特許」。その選定時に行われる「特許審査」は “patent examination” と呼ばれます。特許は前例がないものに与える資格であるため、念入りな審査を表す examine が使われます。

patent(パテント)はラテン語由来で「開かれた(公開された)もの」を表す言葉。同じものを指す言葉でも、日本語の「別な可を受けたもの」とはイメージが異なりますね。

まとめ

今回は「審査」というテーマでお話ししてきました。

「審査する」に相当する英語表現は “examine”、”inspect”、”screen”、”review”、”audit”、”check” と複数ありますが、それぞれにニュアンスが異なります。表したい審査の特徴に合わせて、これらを適宜使い分けていきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!