「バイリンガル」と聞くと、日本語と英語のどちらも流ちょうに話せる人をイメージする方が多いのではないでしょうか。もっと簡単に表現するなら「英語が話せる日本人」という印象があるでしょう。

また、最近ではバイリンガル教育といった言葉を聞くようになり、バイリンガルという存在に注目されているのがわかります。

では、「バイリンガル」の本来の意味や、基準は存在するのでしょうか。
海外の人の考えるバイリンガルと日本との差も気になるところですね。

そこで今回は、「バイリンガル」について解説します。
英語表現や複数の言語が話せる人を英語でどのように表現するのかについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「バイリンガル」は英語で?

「バイリンガル」は英語で?

「バイリンガル」は日本でもよく聞くようになった言葉ですね。英語では「bilingual」と言い、英語がそのままカタカナ英語として使われているのがわかります。

bilingualは「二か国語を自由に話す」「二か国語併用の」という意味なので、日本人の思う「バイリンガル:日本語と英語のどちらも流ちょうに話せる人」は当てはまっているといえます。

語原と発音

英単語を覚える際、単語の成り立ちを知ると簡単に忘れなくなりますよね。

bilingualの語源はラテン語に由来しており、ラテン語で「2つ」という意味のbiと、「言語」「舌」とを意味するlinguaを組み合わせてできた言葉です。
つまり、ラテン語で「bilingua:2つの言語」がもとになり、英語では「bilingual:二か国語を自由に話す」となったのです。

なお、bilingualの発音記号は「bàilíŋgwəl」であり、カタカナで発音を表現するなら「バイリングゥェル」です。gualの部分の発音に注意しましょう。

名詞と形容詞の使い分け

bilingualは名詞と形容詞という2つの品詞があります。

名詞・形容詞どちらで使っても意味は同じですが名詞は「二か国語を自由に話す人」、形容詞は「二か国語を自由に話す」「二か国語併用の」という訳になります。また、「バイリンガル」とそのまま訳されるケースも多いですよ。

【名詞のbilingual】

Aさん
She is bilingual in Japanese and English.
彼女は日本語と英語のバイリンガルです。

Aさん
She is bilingual and comes from Japan.
彼女は日本出身のバイリンガルです。

【形容詞のbilingual】

Aさん
She is a bilingual speaker.
彼女は2か国語を話します。

Aさん
I want to raise my daughter as a bilingual speaker.
わたしは娘をバイリンガルとして育てたいです。

「バイリンガル」の定義

「バイリンガル」の定義

bilingualは「二か国語を自由に話す人」と訳されますが、どのくらいのレベルからbilingual(バイリンガル)と呼べるのでしょうか。

というのも、言語レベルにははっきりとした基準がなく、bilingualといっても言語レベルは人によって異なるといえます。
ただ、bilingualの定義は大きく分けて3つ存在します。

early bilingualism

「early bilingualism」は「早期バイリンガル能力」という意味の言葉で、生まれてから早い段階で2言語を話せるようになった人ことを指します。

ただ、「early bilingualism」はさらに細かく2種類に分けられます。

・simultaneous bilingualism:幼いころに2つの言語を取得し、どちらの言語でも同レベルで話せる人
simultaneousは「同時に起こる」という意味で、「simultaneous bilingualism=同時バイリンガル能力」となります。

・successive bilingualism:幼少期に第一言語を取得し、その後第二言語を取得した人
たとえば、幼少期をアメリカで育ったため英語が第一言語となり、その後日本に移住して日本語が話せるようになった人などのことを指します。
successiveは「連続する」「同時に起こる」という意味で、「successive bilingualism=継続バイリンガル能力」となります。

late bilingualism

late bilingualismは名前の通り、「後期バイリンガル能力」という意味です。

幼少期ではなく、6~7歳以降で青年期~成人になってから第二言語を取得した人のことを指します。

late bilingualismの場合、すでに習得している第一言語をベースに、第二言語の取得を行うことが特徴です。同時にふたつの言語を取得しない点がearly bilingualismとの違いですよ。

passive bilingualism

また、bilingualの中でも「passive bilingualism」は少し特殊な存在といえます。

「passive bilingualism」は第二言語が第一言語ほど自由には話せないものの、会話を聞いて理解できる人のことを指します。

passiveとは「受け身の」「受動性の」「消極的な」という意味があり、「passive bilingualism=消極的バイリンガル能力」と言います。聞く能力はあるという受け身の様子を表現しているのでしょう。

たとえば、英語で話しかけられた人がきちんと意味を理解し、日本語で回答できる場合は「passive bilingualism」となりますよ。

「3か国語」「4か国語」など多言語が話せる人は英語で?

「3か国語」「4か国語」など多言語が話せる人は英語で?

bilingualの語源はラテン語で、「2つ」という意味のbiと、「言語」「舌」とを意味するlinguaを組み合わせてできた言葉であると解説しました。

つまり、頭辞にあたる「bi:2つの」の部分を、ほかの数を表現する接頭辞に置き換えれば「〇か国語を話せる」と表現できるのです。

接頭辞 日本語 英語
一つの:mono 1言語を話す人 monolingual
二つの:bi 2言語を話す人 bilingual
三つの:tri 3言語を話す人 trilingual
四つの:quad 4言語を話す人 quadrilingual
多言語の:multi 多言語を話す人 multilingual

接頭辞さえ覚えておけば、一気に表現できる幅が広がりますよね。

「多言語を話す人」という意味の「multilingual」ですが、5か国以上話せる人に対して使うこともあれば、3か国語以上話せる人に対して使われることもあり、明確な数は決まっていません。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は「バイリンガル」に関する英語について解説しました。
グルーバル化が進んでいる昨今では、日本語だけが話せる人材ではなく、英語や中国語などの言語も話せる人材が求められています。

言語の基準は明確に表現する言葉むずかしいため、bilingualと呼べるかどうかの基準は人によって異なるといえます。ただ、いずれにしてもビジネスシーンとなると、ハイレベルな言語力が求められるでしょう。

また、バイリンガルは大人になってからも目指せます。幼少期や学生時代に英語の勉強をしてこなかったからと諦める方が多いかもしれませんが、やる気次第ではバイリンガルになれるのです。