海外旅行や留学をしたら、病気になった際に英語で症状を説明できることが必要です。身体の具合が悪くなったときに使う英語の表現は多岐にわたりますが、シチュエーションに応じて適切な表現を使えるよう、勉強しておかなければなりません。本記事では、illとsickの違いに加え、既往症や症状など病気に関係する用語・フレーズについて紹介しましょう。

「花粉症」ってどう言えばいい?

毎年2月頃から悩まされる「花粉症」。日本特有のものではなく、世界の都市でも花粉症に悩む人は多いです。
英語では「hay fever」「pollen allergy」と言います。「hay」は「干し草」の意味ですが、これが原因でくしゃみや鼻水が出るということから、「hay fever」と言われるようになったようです。「pollen」は「花粉」という意味なので、「pollen allergy」は文字通り「花粉アレルギー」です。日常会話では、「hay fever」のほうがよく使われるようです。

Aさん

I have hay fever. / I have a pollen allergy.
「花粉症なんです」
※I have got hay fever.

「got」を使うと、「最近花粉症になりました」というニュアンスになります。
アレルギーを意味する「allergy(名詞)」や「allergic(形容詞)」は、「〜アレルギーなんです」と言いたいときに使えます。
日本でポピュラーなスギ花粉「Japanese cedar pollen」を使ってみましょう。

Aさん

I’m allergic to Japanese cedar pollen.
I have an allergy to Japanese cedar pollen.

「スギ花粉のアレルギーがあります」

「Japanese cedar pollen」のかわりに、アレルギーのある食品などを入れてみましょう。

Aさん

I’m allergic to wheat.
「小麦アレルギーです」

Aさん

I have an allergy to eggs.
「卵アレルギーです」

ちなみに、イギリスが世界で初めて「花粉症」を認識した国と言われ、オークやプラタナスなど都市の街路樹に植えられている植物で発症することが多いようです。
アメリカも花粉症に悩まされている国。とくに、ブタクサ(ragweed)アレルギーの罹患率が、日本のスギアレルギーと同程度と言われています。
ほかに、カナダやオーストラリア、フランス、スペイン、イタリア、ロシア、南アフリカ共和国などでも国民病となっているようです。花粉症は先進国特有の症状で、とくに大都市で発症者が多いようですね。旅行先でも花粉症対策をお忘れなく!

「sickness」・「illness」・「disease」はどう違う?

「病気」と言われて思い浮かぶ英単語は何ですか?と聞かれると、「sickness」、「illness」、「disease」のいずれかが浮かぶと思います。
それぞれの単語について考えてみましょう。
病気の重さで言えば、「sickness」が一番軽く、「illness」はその中間、「disease」が一番重いイメージです。
「sickness」は、ほかの2つの単語より比較的症状が軽く、病気の期間も「illness」より短いようです。吐き気や気分の悪さなどのニュアンスがある言葉です。

motion sickness
「乗り物酔い」
mountain sickness 
「高山病」
morning sickness
「つわり」

「illness」は、健康を失った状態、長い期間の体調不良を意味します。イギリス英語では、病気を意味する最も普通の単語です。アメリカ英語では、「illness」は比較的重い病気のイメージのようです。

Aさん

Ken has suffered through a long period of illness.
「ケンは長いこと患っています」

「disease」は病名のはっきりしている病気、重篤な病気のときに使われます。

heart disease (trouble)
「心臓病」
infectious disease
「伝染病」

比較的重い病気や感染症の単語もみておきましょう。

pneumonia
「肺炎」
tonsillitis
「へんとうせん炎」
German measles
「風疹」
measles 
「はしか」
appendicitis 
「虫垂炎」
cancer
「がん」
AIDS
「エイズ」

では、形容詞の「sick」・「ill」、「disease」を使った表現をみてみましょう。

be(feel) sick, be(feel) ill, be a disease
「病気である」
get(become)sick, get(become) ill, get(become)a disease
「病気になる、かかる」
get over, recover from
「病気が治る」

それぞれの単語のニュアンスを感じ取りながら、次の例文を読んでみてください。ただの「病気」とは違って、相手の状態がより深く感じられるのではないでしょうか。

Aさん

My brother is sick.
「弟は病気です」
※My brother is sickness.とは言わないので、注意です。

Aさん

I want to help sick people.
「私は病気の人の手助けをしたい」

※「病気の〜」という意味で後ろに名詞が続く場合、「sick」のみが使われます。「 ill people」とは言いません。

Aさん

My aunt is seriously(very)ill.
「おばは重い病気です」

Aさん

My mother is sick in bed.
「母は病気で寝ています」

Aさん

I didn’t go to school because I was(got)sick yesterday.
「ぼくは昨日病気で学校を休みました」

Aさん

My sister has been sick for a week (since last week).
「姉は1週間前から病気です」

Aさん

He got sick and lost weight.
「彼は病気になって体重が減りました」

Aさん

Rio has gotten over her sickness.
Rio has gotten over (recovered from) her disease.

「リオは病気が治りました」

日本語で「病気が治りました」と言っても、単語の微妙なニュアンスから、下の「Rio has gotten over her disease.」の方が、「重い病気から回復した」ということが感じられますね。

「総合病院」、「救急病院」は? 症状はどのように伝える?

次に、実際に病気になってしまった場合について考えてみましょう。
その前に、病院「a hospital」の種類について単語を見てみます。診察科がいくつかある大きな病院ではなく、小さな診療所は「a clinic」です。

a general hospital
「総合病院」
an emergency hospital
「救急病院」
a university hospital
「大学病院」

症状「symptoms」を伝えるときは、

Aさん

I have a cold.
「風邪をひきました」

のように、「I have a(an)+症状」という言い方でOKです。いくつか代表的な症状をみてみましょう。

cold
「かぜ」
toothache
「歯痛」
stomachache
「腹痛」
headache
「頭痛」
nettle rash, hives
「じんましん」
asthma
「ぜんそく」
anemia 
「貧血症」

「病院に通う(入院する)」は、「go to  (the) hospital」です。入院・退院や通院という意味のとき、アメリカ英語では「the」をつけますが、イギリス英語では普通「the」をつけません。

Aさん

My father is in (the) hospital, but he’ll soon be able to leave.
「父は病院に入院中ですが、もうすぐ退院できます」

「お見舞いに行く」は、「visit(see)someone  in the hospital」

Aさん

We visited (saw)Yui in the hospital. 
ユイを見舞いに病院に行った。

病気を表す「ill」と「sick」について

「sick」「sickness」

アメリカ英語のsickは軽い症状の病気を表す形容詞で、名詞がsicknessになります。the sickは「病人」という意味です。「病気になる」と言いたいときは、get sickと表現することが多いでしょう。

be sick with coldという言い方も可能で、「風邪にかかる」という意味になります。一般的に、「ちょっと気分がすぐれない」・「微熱がある」・「吐き気がする」などと言いたい時にsickは使いやすいワードだと言えるでしょう。また、airsick(飛行機酔い)・seasick(船酔い)・carsick(車酔い)といったように、sickが乗り物酔いを意味することもあります。

一般的な病気を示すことも多く、sick leaveと言えば病欠のことで、be sick in bedは「病床に臥す」という意味です。I am sickと言ったら「風邪気味で気分が悪い」という意味の場合が多いのですが、「精神的に病む」という意味もあるので注意しましょう。それから、名詞形のsicknessについては、morning sicknessで「つわり」を表すこともあります。

なお、be sick of「にうんざりする」や、be sick for「にあこがれる」という場合は、病気や乗り物酔いと関係ありません。

「ill」「illness」

アメリカ英語のillはsickに比べて、心臓病や白血病など入院を必要とするような重い病気の場合に使います。重篤であることを強調したい際には、He is seriously illやThey are critically illと言います。illは形容詞で、illnessは名詞です。ただし、英国では軽い病気や吐き気をillと言うこともあるので、気を付けなければなりません。

また、mental illnessといったように、精神的疾患に多用される言葉だと言えるでしょう。「病気になる」と言いたい時は、getを使わず、beやbecomeを用いてI am illやI became illという風に表現します。

因みに、illにはill news「不吉なお知らせ」やill deed「悪い素行」といったように、病気と関係ない意味もあるので注意しなければなりません。

病院で使えるフレーズ

診察してもらう

「診察してもらう」と言う場合には、see a doctorという表現が一般的です。または、consult a doctorとも言います。この場合「医者に会う」や「医者に相談する」という意味で使われていない点に注意しましょう。

このほか、be examined・have a medical examination・have a check-upという表現もあります。have a check-upはクリニック等で検査を受けるという意味合いが強いでしょう。need a consultationとは、「医者に診てもらう必要がある(ほど具合が悪い)」という意味になります。

~と診断される

診断はdiagnosisで、「~と診断される」と表現する場合は、be diagnosed with malignant tumor「悪性腫瘍と診断される」と言う風にdiagnoseを用います。または、receive a diagnosis of benign tumor「良性腫瘍と診断される」という表現も可能です。

治療を受ける

「治療を受ける」と言いたい場合は、「治療する」という動詞のtreatやcureを基に、have /receive a medical treatmentと言ったり、be cured of pneumonia「肺炎の治療を受ける」などと表現したりします。「私は結核の治療中だ」という場合は、I’m having a medical treatment for tuberculosisと言います。

受動態を使わずに医師を主語にすれば、My doctor is treating/curing me of leukemia「白血病の治療をしている」という表現も可能です。そして、My doctor is working on my cerebral infarction「脳梗塞の治療に取り組んでいる」といった口語的な言い方も使えるでしょう。

~を処方してもらう

処方箋はprescriptionと言いますが、この動詞形を用いて、「処方してもらう」はbe prescribedと言います。be prescribed cold medicineと言えば、「風邪薬を処方してもらう」という意味になるのです。「処方箋を書いてもらう」というときは、I have a doctor write out a prescriptionと言います。

症状はどのように伝える?

気分がすぐれない場合は、先述のillやsickを用いて表現できますが、そのほかにも、in a bad condition「体がだるい」やunder the weather「体調不良の」をはじめ、not feeling well「具合がよくない」など様々な表現を使えるでしょう。

吐き気があるときは、vomitやthrow upといった語句を使い、I’m ready to throw upと言えば「今にも吐きそうだ」という意味になります。食欲がない場合は、I have less appetiteというフレーズを使えます。

痛みを表す語句としては、hurtやsoreが使えるでしょう。hurtは動詞で、痛い部位を主語にして、My fingers hurt「指が痛い」やMy neck hurts「首が痛い」といった言い方をします。soreは形容詞で、I have a sore throat「のどが痛い」というように表現します。

acheという名詞もよく使われ、I have a headache「頭痛がする」などと体の部位と繋げて用いるので、stomachache「腹痛」やbackache「背中痛」といったように使いやすいでしょう。体が痒いときは、itchyを使ってmy feet are itchyと言います。

風邪に関する表現としては、I seem to have a cold「風邪を引いたみたい」というフレーズのほか、症状を表す際にI’m coughing「咳が出る」やI have a runny nose「鼻水が出る」からI have fever「熱がある」まで様々な言い方を覚えておくと便利です。「寒気がする」や「悪寒がする」というときは、I feel a chillと言います。

血はbloodですが、出血していたら。I’m bleedingと言えば通じます。吐血や喀血はhematemesisという難しい単語を使わずに、I’m vomiting bloodと言えば良いでしょう。

視力が低下したら、My eyesight is getting weakerという表現を使います。かすんで見えにくければ、It’s difficult to seeと表現し、物が二重に見えるときは、I see doubleというだけで通じるでしょう。めまいがしたらI feel dizzyと言います。発作を起こしたら、I have a fitと表現し、I feel faintと言うと、「気絶する」・「意識を失う」という意味になります。

耳が聞こえない時は、hard of hearingやI’m deafというフレーズを使いましょう。耳鳴りがあれば、My ears are ringingと言うだけで十分です。

本来の機能通りに身体が動かない場合は、My hands don’t work well「手が上手く動かない」と表現します。前日古い食品を口にしたときなど、食中毒の疑いがあればI get food poisoningと言うと通じます。アルコール中毒などの依存症の場合は、be addicted to alcoholというように表現が異なるので注意しましょう。

因みに、「二日酔い」はhangover(残り物)と言います。二日酔いは宿酔いと言われるように、一晩またいでも残る酔いだからです。

アレルギー反応がある人は、be allergic to peanut「落花生アレルギーがある」という表現を使います。花粉症はhay feverと言い、I have hay fever「私は花粉症です」と言えば通じます。日本の罹患者が多いアトピー性皮膚炎は、英語でatopic dermatitisになりますが、I have an atopic problemと言えば通じるでしょう。

高血圧の既往症がある人は、I have high blood pressureと伝えなければなりません。糖尿病患者はdiabeticと呼ばれるため、I’m a diabeticと言えばわかってもらえます。

手足がしびれる場合、形容詞のnumbを使い、My fingers are numb「指がしびれる」といったように表現します。震戦と呼ばれる症状のように、震えが起きた際には、shake・shiver・trembleという動詞を用いて、My hand trembled「手が震えた」などと言えばよいでしょう。

「総合病院」、「救急病院」は英語でなんて言う?

病院がhospitalということは知られていますが、内科や外科から小児科や泌尿器科までそろえた総合病院はgeneral hospital、24時間急患を運び込む救急病院は、emergency hospitalやfirst-ade hospitalと呼ぶことも知っておきましょう。救急外来は、emergency visitです。総合病院に備えられたICUは、Intensive Care Unit「集中治療室」を表します。

病気に関する英語を学ぶときは、基本的な語句を用いた表現方法を学習しよう!

病名や症状を英語で表現する場合、様々な言い方があります。医学用語から派生する専門用語だけでなく、日常的な語句を用いた表現も多いので、頻繁に使う基本的な語句を使って表現できるフレーズを覚えておきましょう。病気に関する基本的な用語や熟語を習得しておけば、外国の病院で診察を受ける際にも、困ることがありません。学研オンライン英会話の総合英語のコースでは、こうしたボキャブラリーについても自宅で学べます。

参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 (株式会社学研プラス)