みなさんは、「キャリア」と聞いたらどのようなイメージを思い浮かべますか?
「キャリア」は、一般的には、仕事や職業に関する言葉として使われていることが多い言葉です。
特に就活中の大学生や転職を考えている社会人の方には、なじみのある言葉かもしれません。
ビジネス用語と認識されがちな「キャリア」ですが、じつは、日常のいろいろな場面で使用されており、わたしたちにとって非常に身近な言葉でもあります。
今回は、よく耳にする身近な存在であるカタカナ言葉「キャリア」について、関連する日本語表現をはじめ、英語”career”の意味と用法を紹介していきます。
「キャリア」とは?
「キャリア」は、英語の”career”に由来したカタカナ言葉です。
一般的に「キャリア」は、人が生涯の仕事で経験し、発展させていく職業やその内容を表します。
厚生労働省による「キャリア」の定義は、以下のように説明されています。
過去から将来の長期にわたる職務経験やこれにともなう計画的な能力開発の連鎖のこと
参考:厚生労働省
経歴や経験といった意味を持つ「キャリア」は、自分自身の過去〜将来を考えるうえで欠かせない重要な要素です。
職業や仕事を含めた人生の過程を指した言葉であり、個人の生き方や価値観と深く結びついているといえるでしょう。
「キャリア」を含む日本語表現
経歴や職歴を意味する「キャリア」は、さまざまなシーンで使用されています。
よく聞く「キャリア〇〇」の表現を紹介しましょう。
キャリアアップ
「キャリアアップ」は、特定の分野において、今よりもさらに専門的な知識や能力を身に付け、職歴や経歴を向上させることです。
具体的には、転職によって現職より収入が多い仕事へ転職したり、スキルを高めて資格を取ったりすることが挙げられます。
キャリアプラン
「キャリアプラン」とは、自分が思い描く理想的な働き方、そして仕事における将来の目標やそのための具体的な行動計画のことです。
社内での昇進や昇格に限らず、転職や起業・独立など、今後どのような人生を歩んでいきたいのか、さまざまな可能性を踏まえて目標を設定します。
キャリアデザイン
「キャリアデザイン」とは、自分が理想とする姿、将来のなりたいイメージ、人生のゴールを設計していくことです。
仕事面だけではなく、プライベートでの叶えたい目標、たとえば結婚や出産といったライフイベントも含めたうえで、自己実現のための設計図を作成します。
キャリアパス
「キャリアパス」とは、一つの会社の人材育成制度の中における具体的な道筋のことです。
今の会社で、この先どのような職務に就くのか、そのためにはどのような経験や能力を身につけるのかなどを明確にするための順序や進路計画を意味します。
”career”の意味
”career”は、個人の職業や仕事における経験や努力の過程、成果を意味する英語です。
辞書では以下のように定義されています。
- the job or series of jobs that you do during your working life, especially if you continue to get better jobs and earn more money
特に、より良い仕事に就き続け、より多くの収入を得る場合において現役時代に行う仕事または一連の仕事- having a job or position as part of the career that you are trained for and are normally paid to do
職歴の一部として、そのために訓練され、通常給与が支払われる仕事や地位を持つ
”career”は、名詞として使われるのが一般的ですが、形容詞や動詞としての用法もあるので、文脈によって正しく判断する必要があります。
”career”の発音は、わたしたちが普段使っているような「キャリア」とは読みません。
【イギリス英語】 /kəˈrɪər/「カリァ」
【アメリカ英語】 /kəˈrɪr/「カゥリァ」
イギリス英語もアメリカ英語もアクセントは「リ」の部分におかれます。
また、「キャ」ではなく「カ」もしくは「カゥ」のように読むと本来の発音に近くなります。
”career”を使った例文
”career”を使った例文を用法に分けて紹介します。
それぞれの用法に応じた意味と訳し方を参考にしてくださいね。
名詞:「生涯」「経歴」「職業」
「仕事」や「職業」を意味する場合は、以下のように表現できます。
訳)彼女は現在、ファッションデザイナーとしてのキャリアに専念しています。
訳)彼の両親は、科学者としてのキャリアを選んだ彼を応援しました。
これまでの「経歴」や「職歴」は、以下のような表現を使います。
訳)彼女の女優としてのキャリアは50年以上続きました。
訳)音楽でプロのキャリアを積むには、傑出した才能が必要です。
形容詞:「仕事としての」「専門の」「生え抜きの」
訳)その候補者の本職はビジネスマンで、政治経験はほとんどありません。
訳)彼はすでに選挙戦を始めているにもかかわらず、自分の本業が政治家ではないと主張しています。
動詞:「疾走する」
”career”には、動詞としてのはたらきもあるので覚えておきましょう。
特に、速く、制御不能な状態で移動する乗り物を指して使われることが多いですよ。
訳)彼の車はコースを外れて突っ走っていきました。
訳)バスは坂道を猛スピードで下っていき、電柱に激突しました。
複数の意味を持つ「キャリア」
同じカタカナの「キャリア」でも、”career”ではなく”carrier”に由来した全く違う意味を表す「キャリア」を紹介します。
”carrier”は、カタカナ表記は先述したと同じ「キャリア」ですが、スペルも発音も異なるので注意が必要です。
”carrier”由来の「キャリア」
- 物を運搬する器具、台車、荷台
- 担体(電子、イオン)
- 保菌者、体内に病原体を保有しているが、まだ発症していない者
- 電話やデータ通信のサービスを提供する電気通信事業者
- 情報を伝送するための電波や光による信号波
携帯電話やIP電話などの通信回線会社であるNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクを「三大キャリア」と呼びますが、この「キャリア」の英語が、”carrier”です。
ほかにも、国を代表する運輸会社を「フラッグキャリア」、感染しても発症していない人を「キャリア」と呼ぶなど、”carrier”に由来した「キャリア」はさまざまなところで使われています。
まとめ
さまざまな場面で耳にする身近なカタカナ言葉「キャリア」について、関連する日本語表現をはじめ、英語”career”の意味と用法を紹介しました。
「キャリア」は、英語の”career”に由来したカタカナ言葉で、人が生涯の仕事で経験し、発展させていく職業やその過程を意味します。
「キャリア」を含む表現は多く、なかには別の英単語を語源とするものもあります。
カタカナ表記の「キャリア」の解釈に迷ったときは、英語の意味と用法を調べ直して、正しく理解しておくことが大切です。
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