「英語で何て言う?」コーナー、今回は「引く」についてです。
「引く」は、日本語でもたくさんの意味がある言葉ですが、英語では目的や状況に応じて使う単語が違います。また、日常会話で意外と言えない「引く」に関連する英語表現もあると思います。
早速、掘り下げていきましょう!
「引く」に関する英単語まとめ
動詞の「引く」は、英語で言うと「pull」が一般的ですが、その他にも文脈によって、様々な単語を使い分けます。まず、「引く」を意味する英単語を紹介します。その後、例文を用いながら、それぞれの単語の使い方を解説します。
- 引っ張る pull, draw
- 数・値を引く take, discount
- 辞書を引く use, check
- 風邪を引く catch
- 引きつける attract
- 線を引く draw
- 手を引いて連れて行く lead
初めに、「push」(押す)の反対語にあたる「pull」(引く、引っ張る)は、お店などの手動の扉で目にすることも多いですね。自分の方に向かって、比較的強い力で「引く」場合に「pull」を使う傾向があります。「Don’t pull my arm like that.」は、「そんな風に腕を引っ張らないでよ」となります。一方、「draw」は、「pull」に比べ、軽い力で特定の方向に「引く」場合に使われることが多いです。「Would you draw the curtain?」は、「カーテンを引いてくださいますか」という意味になります。
数を「引く」場合は「take」、値段を「引く」場合は「discount」を使います。「If you take 3 from 10, 7 is left.」は、「10から3を引くと7が残ります」です。「10 minus 3 is 7.」と「3 from 10 is 7.」も同様の意味です。また、値段交渉などの場面では、「discount」を使って、「Can I get a discount on this?」(この値段を少し引いてくれませんか)と聞きます。それに対しては、「give」を使って答えます。「OK. I’ll give you a 20% discount.」で、「分かりました。2割引きましょう」という意味です。
辞書を「引く」場合は、「use」や「check」を使います。「辞書はよく引きますか」は、「Do you often use [check/ consult] your dictionary?」です。また「辞書で言葉を引く」と言う場合は、「look up」や「check」を使って、「Look up [check] words you don’t know in your dictionary.」(わからない単語は辞書で引きなさい)と言うことができます。
「私はよく風邪を引く」と言いたい時は、「catch」を使って、「I often catch (a) cold.」と表現します。「catch a cold」(風邪を引く)は、日常会話でもよく使う決まり文句ですので、覚えておきましょう。
「注意や興味を引く」という意味合いでは、「attract」 を使います。「彼女の優しさに引かれた」は、受動態で「I was attracted by her kindness.」と表現します。「Her kindness attracted me.」も同じ意味になります。
「線を引く」や「図 / 絵を描く」は、「draw」を使います。「ページの下欄に直線を書きなさい」は、「Draw a straight line at the bottom of the page.」です。
「手を引いて連れて行く」は、「lead」を使います。「彼はその子供を寝かせるために上の部屋まで連れて行った」は、「He led the child upstairs to bed.」と言います。「led」は「lead」の過去形です。「by the hand」を補って、「lead the child by the hand」でも「その子供の手を引く」という意味になります。
「引く」を使った日常会話表現
前章でも紹介したように、「引く」を使った表現はたくさんあります。この章では、日常会話でも使える表現を4つ紹介します。
まず、「手を引く」は、今までしてきたことをやめることを言いますが、英語では「pull out」を使います。「その取引から手を引くことにした」は、「I decided to pull out of the deal.」と言います。また、「身を引く」という意味でも使われます。「My teammate had to pull out with a severe injury.」で、「チームメイトは重症で出場を辞退しなくてはならなかった」となります。
次に、日本語で、未練や心残りがある時に使う「後ろ髪を引かれる」気持ちは、文字通り「pulled by the hair from behind」を使って表現できます。「I felt myself pulled by the hair from behind.」と言えば、「後ろ髪を引かれる思いがした」と伝えられます。
逆に、「足を引っ張る」は、文字通り英語に置き換えると「pulling someone’s leg」ですが、違う意味になりますので注意しましょう。「Don’t pull my leg.」で、「冗談を言わないで」という意味になります。「足を引っ張らないで」は、「Don’t stand in my way」と表現できます。
最後に、「注意を引く」は、「attract attention」で表現します。「彼女はスタッフを呼ぶために手を振った」は、「She waved to attract the attention of the staff.」となります。また、「attract public [international] attention」は「世間の [国際的な] 注目を集める」という意味になります。
「引く」を使った応用的な英語表現
この章では、さらに「引く」を使った応用表現を2つ紹介します。
「引く」を使った慣用句の一つに、「引く手数多(あまた)」があります。あちらこちらで必要とされているという意味ですが、英語では、「be in great demand」と表現します。「彼女は歌手として引く手数多だ」は、「She is in great demand as a singer.」と言えます。
また、「誰にも引けを取らない」という表現も日本語特有のように思われますが、英語でも表現できます。「誰にも負けない」、「誰も及ばない」という意味で、英語では、「be second to none」になります。「He is second to none as a dancer.」で、「彼はダンサーとして誰にも引けを取らない」という意味になります。
Pull / Draw / Lead を使った英語表現
最初の章で、「引く」を意味する基本的な英単語「pull」、「draw」、「lead」を紹介しました。
この章では、その3つの単語を使った表現を紹介します。どれも日常会話でもよく耳にする表現ですので、ぜひ使ってみてください。
「draw a line」は、「線を引く」という意味になることはすでに紹介しましたが、「区別する」という意味でもよく使われます。「It’s important to draw a line between public and personal matters.」は、「公私を区別することは大切です」となります。
「lead the world」は、直訳すると「世界を引っ張る」となりますが、「世界一である」という定型句です。「The scientists lead the world in the nutrition research.」で、「その科学者たちは栄養学研究で世界一です」という意味です。
最後に、「Pull your socks up!」は、直訳で「靴下を引き上げなさい」になりますが、「頑張れ」という意味でよく使われます。この場合の「頑張れ」は、奮起してほしい時に使う掛け声です。
まとめ
今回は「引く」を意味する英単語や表現をたくさん紹介しました。
日常会話で使える表現がたくさんあったと思います。同じ「引く」でも、シチュエーションに応じて使う単語が違うことに気をつけながら、ぜひ会話の中に取り入れてみてくださいね。
では、次回をお楽しみに!
引用文献:アンカー大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 株式会社学研プラス