英語の本や文書、メールなどを読んでいると必ず目にする「ー(ハイフン)」。
普段はたいして気に留めることなく、読み進めている人も多いかと思います。
そんな文章の脇役的存在のハイフンですが、じつは規則やルールに沿って使われていることを知っていますか?
今回は、意外と知らない記号「ハイフン」について、英語の読み方と役割、正しい使い方とともに、英語の文章でよく登場するさまざまな記号をまとめて紹介します。
ハイフンは英語で”hyphen”
ハイフンは英語で”hyphen”と書き、日本語と同じく「ハイフン」と読みます。
“hyphen”は、文章や単語の混乱や曖昧さを防ぐ役割があり、通常2つの単語をつなぐときに使われます。
母音が重なったり、接頭辞や接尾辞がついたり、また数字や家族関係を表したりするときに、ハイフンを使うことでわかりやすくなり、明瞭さを保つことができます。
【例文1】
Please put a hyphen between A and B.
訳)AとBの間には、ハイフンを入れてね。
Okay. I’ll rewrite it right away.
訳)わかった。今書き直しておくよ。
【例文2】
Your name has a hyphen in it, so it looks like I can’t put it in this web form.
訳)名前にハイフンがあるから、このウェブフォームに名前が入らないみたい。
Oh, man. What should I do?
訳)えぇっ、困ったな。どうしよう。
【例文3】
She said to insert your phone number without hyphens.
訳)ハイフンなしの電話番号を記入してだって。
Alright. Well, my phone number is 090xxx…
訳)了解。えっと、僕の電話番号は、090xxx…
ハイフンの役割と使い方
ハイフンの基本的な役割は、2つの単語をつなげて文の意味をはっきりさせることです。
単語と単語をつなげて複合語を作ったり、接頭辞や接尾辞をつないだりするほかにも、数字や家族関係を明確に表すときによく使われます。
ハイフンには使い方のルールとして、下記のような決まりがあるので覚えておきましょう。
- ハイフンの前後にスペースは入れない
- 固有名詞やよく知られた表現には使わない
- 修飾する名詞の後には使わない
- “-ly”で終わる副詞(分詞)や複合修飾語、veryと一緒には使わない
【正誤例】
○ a dog-friendly restaurant
× a dog friendly restaurant
○ The hotel is dog friendly.
× The hotel is dog-friendly.
○ a very elegant dress
× a very-elegant dress
○ a highly respected researcher
× a highly-respected researcher
○ United States
× United-States
○ high school student
× high-school student
時間の経過とともに、ハイフンをつけずに使われるようになった単語もあります。
【ハイフンを使わなくなった単語例】
- e-mail / E-mail ⇒ email / Email
- e-commerce ⇒ ecommerce / eCommerce
- e-business ⇒ ebusiness / eBusiness
- baby-sitter ⇒ babysitter
ハイフンは複合語を作る
ハイフンの役割のひとつ目が、2つ以上の名詞や前置詞をつなげて複合語を作ることです。
2語をハイフンでつなぐことで、それぞれの単語と違った意味の複合名詞や句動詞の働きをします。
【ハイフンを使った複合語の例】
- customer-oriented mindset 顧客志向
- state-of-the-art design 最新のデザイン
- three-year-old boy 3歳の男の子
- full-time student 全日制の学生
- part-time job アルバイト
- passer-by 通行人
- T-shirt Tシャツ
- double-check 再確認
- set-up 設定
- dry-cleaning ドライクリーニング
- up-to-date 最新式
- heart-breaking 胸が張り裂けるような
- man-made 人工の
ハイフンの有無によって意味を混同してしまいそうな単語には、ハイフンを付けてわかりやすい文章を心がけましょう。
【例文1】
I’m not sure exactly what this “American football player” means.
訳)「アメリカ人のサッカー選手」なのか「アメフトの選手」なのかはっきりわからない。
Sorry, this means “American football-player.”
訳)ごめん、これは「アメリカンフットボール選手」という意味だよ。
ハイフンは接頭辞、接尾辞をつなぐ
“all-” “ex-” “self-“などの接頭辞と、”-free” “-based” “-style”といった接尾辞には、必ずハイフンが付きます。
ただし、接頭辞と接尾辞すべてに該当するわけではありません。ハイフンが付くかどうかを判断する厳密なルールはないため、迷ったときはその都度辞書で確かめるようにしましょう。
【接頭辞と接尾辞の例】
- self-esteem 自尊心
- self-control 自制心
- ex-boyfriend 元彼
- ex-president 前大統領
- all-inclusive 全て込みの
- all-purpose 万能の
- ill-prepared 準備不足の
- re-entry 再入場
- anti-intellectual 独りよがりな
- sugar-free 無糖の
- cream-based クリームベースの
- Japanese-style 和風の
ハイフンは数字を表す
21から99までの数字と分数は、ハイフンでつないで表記されるのが一般的です。
“twenty-one”から”ninety-nine”は、基本的に必ず間にハイフンを入れて書かれています。
【数字の例】
- forty-six 46
- twenty-four 24
- ninety-nine 99
- fifty-one 51
- eighty-seven 87
- thirty-three 33
- sixty-five 65
- twenty-two 22
分数を表すときには、分子と分母の間にハイフンを入れて表現します。
分子が2以上の場合は、分母が複数形になっていることに注意しましょう。
【分数の例】
- two-fifths 5分の2
- one-third 3分の1
- three-tenths 10分の3
- one-half 2分の1
- two-thirds 3分の2
- three-fourths 4分の3
ハイフンは家族や親族を表す
家族や親族の関係を表すときにもハイフンを使います。
“grandson”(孫)、と”granduncle”(大叔父)のように、家族関係を示す”grand”にはハイフンがつかないので気をつけましょう。
【家族・親族の例】
- mother-in-law 義母
- father-in-law 義父
- great-grandmother 曾祖母
- great-grandfather 曾祖父
- great-aunt 大叔母
- great-uncle 大叔父
ハイフンとダッシュの違い
ハイフンとしばしば混同されがちなのが、「ー(ダッシュ)」です。
見た目がよく似ているので、深く理解せずに使っている人も多いのではないでしょうか。
英文のライティングにおいて、ハイフンとダッシュは意味が異なるため、正しく使い分けることで文章の構造と内容が明確になります。
ハイフンは、2つ以上の言葉をつないで別の意味を持つ記号です。
一方で、ダッシュは、直前の単語やフレーズを強調したり、導入部や結論であることを示したりするときに使われます。
ハイフンにはスペースが付かないのに対して、ダッシュの両端にはスペースが必要なことも忘れないようにしましょう。
【ダッシュの使用例】
You may think Kate is a liar – she isn’t.
訳)あなたはケイトが嘘つきだと思うかもしれないけど、そんなことはないのよ。
Kelly might come to the party – you never know.
訳)ケリーはパーティにくるかもしれない。どうなるかわからないけどね。
英語で使われる記号あれこれ
英語の文章には、ハイフンやダッシュだけでなくいろいろな記号が使われています。
いざ英文を書くとなったとき、読み方も意味も知らずに使っている人もいるかもしれません。
代表的な記号の読み方と意味を一覧にまとめたので、文書やメールを書くときの参考にしてみてください。
記号 | 読み方 | 意味 |
‐ | hyphen / dash | 2語をつないで別の意味を持たせる |
‐ | en dash | 日本語の「~」と同じ意味 |
- | em dash | 強調、引用を示す |
1, 2, 3…(numbers) | one, two, three | 数字 |
, | comma | 日本語の読点「、」と同じ意味 |
. | period | 文末、省略語を示す |
; | semicolon | 2文をつなぐ、接続詞の役割を持つ |
: | colon | 例示、説明、強調、引用を示す |
“ ” | quotation marks | 引用を示す |
‘ ‘ | single quote | 引用を示す |
( ) | parentheses | 補足説明 |
* | asterisk | 注釈、補足説明 |
_ | underscore / underline | 強調、下線 |
英語でよく使われる記号について、以下の記事でも詳しく解説しているので合わせて読んでみてください。
まとめ
意外と知らない記号「ハイフン」について、英語の読み方と役割、正しい使い方とともに、英語の文章でよく登場するさまざまな記号を紹介しました。
「ハイフン」には、2語をつなげて別の意味の言葉を作ったり、曖昧な表現を明確にしたりする役割があります。
混同しがちな「ハイフン」と「ダッシュ」の見分けるには、前後にスペースがあるかないかをチェックするとわかりやすいです。
また実際のライティングで使い方に迷ったときは、必ず辞書を引き、正しい表記で書くことを心がけましょう。