シャドーイングとは、英語の音声を再生して、自分も後から影のように追いかけて発音していく勉強法です。
英語を上達させるのにとても有効で効果的な勉強方法なので、英語初心者から上級者まで幅広く人気が高い勉強法でもあります。
この記事では、シャドーイングが持つ驚きの効果やメリット、そして初心者でも取り入れやすいシャドーイングの具体的な方法をお伝えしていきます。
目次
今さら聞けない？シャドーイングのやり方
シャドーイングとは、音声を用意して、再生される音声の後を「影のように追いかけて発音していく」勉強法を指します。
後で正しく英語音声を聞き取れていたかを確認できるスクリプト（台本）があると、なお効果的に実践できますよ。
シャドーイングが持つ驚きの効果とは？
シャドーイングには主に以下の効果があります。
リスニング力（聴解力）の改善
シャドーイングを実践することでリスニング力（聴解力）を大幅に改善することが期待できます。
なぜなら、「聞きながら、発音していく」ので、高い集中力を持って音声を聞いて理解し、聞いた音を自分で発音していくことで「自分がどれくらい音声を正確に聞き取れていたか」をつかめるからです。
シャドーイングを実践する人の多くがこの「リスニング力の改善」を目的に行うのは、この「高い集中力で音声を理解する」ことと「自分の英語の聞き取りを確認できる」ためです。
さらに、シャドーイングでは自分も音声にならって発音していきます。
自分で発音することで、細かい発音の違いや音声の連結（リエゾン）も意識できるようになります。
例えば、日本語では「ラ行」でとらえられがちなLとRの発音の違いも、自分で発音できるようになれば、聞き取るときにも「この音はLだ、こっちの音はRだ」と瞬時に理解しやすくなります。
このように、「音声を聞き取るときに高い集中力を発揮しやすい」ことと「自分で発音することで、聞き取りの正確さが改善される」ことから、「シャドーイングはリスニング力（聴解力）を改善する」といえます。
スピーキング力（会話力）の改善
シャドーイングを行うことでスピーキング力（会話力）の改善も期待できます。
なぜなら、「発音力」と「英語の構文を英語の語順で考える力」を養うことができるからです。
発音については「リスニング力の改善」で先述したとおり、シャドーイングでは高い集中力で英語の音声を聞きながら正確に発音していきます。
そのため英語らしい発音を高い集中力で真似することで、効果的に英語らしい発音が身につくことが期待できます。
さらに発音だけでなく、「英語を組み立てるときの思考回路」も養うことが可能です。
シャドーイングをしている間は「英語を英語のまま理解しようとする力」が働いているといえます。
なぜなら、シャドーイング中は音声がずっと流れていくので、日本語に変換しているヒマがないからです。
そのため英語の語順のまま英文の意味を理解しようとするため、「英語の語順のまま考える力」が身につきます。
「英語の語順のまま考える力」は、英語を”理解する”ときにとどまらず、英語を”組み立てる”ときにも大いに役立ちます。
つまり、「英語の組み立てる思考回路」として定着するわけです。
したがって、シャドーイングを行うことで、発音が改善され、英語を組み立てる思考回路が養われることから、スピーキング力（会話力）の改善が期待できるといえます。
リーディング力（読解力）の改善
シャドーイングを行うことでリーディング力（読解力）の改善にも大きな期待ができます。
なぜなら、「英語を英語のまま考える力」が大きく養われるからです。
シャドーイングは「より負荷を高めた音読学習」とも言い換えられます。
「スピーキング力（会話力）の改善」でお伝えしたとおり、シャドーイング中は音声がノンストップで流れるので英文の意味を日本語に変換していくヒマがありません。
そのため「英語を英語のまま理解していく」必要に迫られます。
英語を英語のまま理解する力が養われれば、英語を読むスピードと正確さが格段に上がるので、読解力の飛躍的な改善が期待できるわけです。
以上のことから、シャドーイングを行うことで、英語を英語のまま理解する力が養われ、英文を読むスピードと正確さが養われるので、リーディング力（読解力）の改善を期待できるといえますね。
音声知覚の自動化
シャドーイングを行うことで得られるリスニング力、スピーキング力、リーディング力の向上の本質は、「音声知覚の自動化」にあると言えます。
「音声知覚の自動化」とは、「無意識に英語の意味を頭の中で理解できる状態」と言い換えることができます。
わかりやすく例えてみましょう。
少し想像してみてください。あなたがレストランの中にいたとします。注文を終え、食事が来るのを待っていると、隣の席に座った奥さま方の声が聞こえます。
あなたは特に聞き耳を立てているわけではありませんが、その奥さまには息子さんがおり、「息子の学業を精一杯応援した結果、優秀な大学に入学することができた」との話をしていることがわかりました。
あなたも受験で似た経験をしていたことを思い出しながら、心のなかで「良かったなあ」と嬉しい気持ちになりました。（ここで例え話終わり）
さて、この例え話の中に「音声知覚が自動化された状態」がありました。
それは「特に聞き耳を立てていないのに、他の人の会話内容が勝手に入ってくる」という状態です。
私たちは英語を聞く時、頑張って相手の言うことを理解しようとします。
しかし、ネイティブスピーカーは「英語での話が聞こえたら、勝手に内容が入ってくる」状態なわけです。
そこで私たちはシャドーイングを行うことで、聞こえてくる英語を自分で発話し、高い強制力をもって自分の頭に「音声知覚の自動化」を引き起こそうとしているわけです。
音声知覚が自動化することで、英語のあらゆるスキルが飛躍的に改善されるわけですね。
Q.シャドーイングは初心者には無理？ A.いいえ
「シャドーイングは英語初心者には難しい」との主張を耳にしますが、そんなことはありません。
「シャドーイングが初心者には難しい」との主張をよく耳にするのは、シャドーイングが英語上級者にも愛用され、「シャドーイング＝英語上級者がするような方法での実践するもの」という誤解から生じています。
英語初心者も、短い文章を使えば無理なくシャドーイングを続けられます。
例えばTOEICの対策のため英語を勉強しているのであれば、Part1とPart2の音声が初心者にとって丁度いい長さでおすすめです。
特にTOEICなどを意識していない場合は、「単語帳の例文音声」がおすすめです。
英単語帳には単語の意味だけでなく、単語の使い方の例として例文も記載されているものがほとんどです。
単語帳の例文も英語初心者がシャドーイングをするのに丁度いい長さなのでおすすめですよ。
まとめ
この記事では、英語初心者から上級者まで幅広く人気の高い英語の勉強法であるシャドーイングについてお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、シャドーイングをすることでリスニング力だけでなく、英語の本質的なスキルである「英語を英語のまま理解すること」と「音声知覚の自動化」によって、英会話力や英文の読解力まで養えること、そして初心者でもシャドーイングを取り入れて効果的な英語の勉強ができることを十分に理解しているでしょう。
この記事でお伝えしたことによって、あなたの英語学習がより充実したものになれば幸いです。
あなたの英語学習、より充実させる情報をお届けします!大学で英語を専攻し、カナダで5か月間の語学留学を経験しました。大学を卒業後は英文事務に２年間従事。英検準1級、TOEIC790を所持。高校3年時、センター模試英語で34/200から150/200まで点数を伸ばした経験があります。現在は英語学習系WEBライターとして自身の経験を執筆。