“fable”という英単語をご存知でしょうか?「〜を可能にする」という意味の接尾辞”-able”という接尾辞があるので一見すると形容詞のように見えますが、この英単語は名詞です。日常会話での登場機会は少ないように感じますが、子どもと話す時には使うことがあるかもしれません。
今回はこの”fable”について解説していきます。この言葉は物語に関連する英単語です。最後に類義語の違い、使い分けも解説するので、最後まで読んで”fable”についてしっかり理解しましょう!
”fable”の語源と意味
まずは“fable”の語源と意味を解説します。
語源はラテン語
“fable”の語源はラテン語の”fábula”で、この単語の意味は「寓話」です。意味はそのままで、つづりだけが現在の形になりました。実は「幼児」を意味する”infant”と同じ語源をもつとされています。
名詞としての意味
“fable”には次のような意味があります。
- 寓話
- 作り話
- 伝説
語源からも分かる通り、”fable”の元の意味は「寓話」です。ここから派生して「作り話、伝説」という意味を持つようになりました。
動詞としての意味
あまり使われませんが、”fable”を動詞として使うこともできます。
嘘をつく、事実のように語る
「寓話」はもともと作り話です。ここから、”fable”を動詞として使う場合は、「嘘をつく、事実のように語る」という意味をもちます。
寓話を語る、作る
古い表現ではありますが、「寓話を語る、作る」という意味もあります。しかし、この意味は古語とされているため、古い書籍でしか目にすることはありません。
“fable”から派生した英単語
“fable”は非常に限定的な意味ですが、この単語から派生した英単語がいくつか存在します。
fabulous:伝説上の、うそのような、素晴らしい
“fabulous”は”fable”に「〜の多い、〜に富んだ」という意味と形容詞の性質を付随する接尾辞”-ous”を接続した単語です。本来は「伝説上の」という意味でしたが、そこから派生して「(〜信じられないほど)素晴らしい」という意味をもつようになりました。またこの英単語は女性に好んで使われる英単語とされています。
You look so fabulous in the dress.
訳)そのドレスとても似合っているね!(素晴らしいね!)
fabled:伝説的な、作り話の、虚構の、架空の
動詞としての”fable”を過去形にして、受け身の意味をもたせた形容詞です。「嘘のような」というニュアンスがあり、「作り話の、虚構の」と言った意味をもちます。
Aさん
He is a fabled singer around the world.
訳)彼は世界中で伝説的な歌手です。
“fabulous”と”fabled”の違い
ここで紹介した2つの単語は似たような意味のようですね。それではこれら2つの単語にはどのような違いがあるのでしょうか?
”fabulous”は派生して「素晴らしい」という意味がありますが、”fabled”には「素晴らしい」という意味はありません。一方、”fabled”には「フィクション」というニュアンスがありますが、”fabulous”にはそのニュアンスは含まれません。同じ単語が派生して生まれた英単語ですが、使い方やニュアンスに微妙な違いが含まれるため、しっかり使い分けましょう。
fableを含んだ表現
数は少ないですが、“fable”を含んだ表現が存在します。
Aesop’s Fables:イソップ寓話
この表現はイディオムではなく、固有名詞ですが『イソップ寓話』を意味します。『イソップ寓話』は寓話集なので、必ず複数形の表記です。またAesopは紀元前5年の寓話作家であるアイソーポスの名前からつけられています。
Fact or fable:本当の話?作り話?
日常会話で唯一使う可能性があるとすれば、この表現でしょうか。このイディオムの意味は「本当の話?それとも作り話?」となります。信じられない話を耳にした際に、使えると英語を使いこなしている感じがしますね。”Really?”よりも強い驚きを表現することができます。
Aさん
I won the lottery!
訳)宝くじ当たったよ!
Aさん
Fact or fable!?
訳)本当に!?
「物語」を意味する英単語の違い
「物語」を意味する英単語には次のようなものがあります。
- story
- fable
- tale(fairy tale)
- narrative
- chronicle
- biography
story:物語(事実かどうかは関係ない)
最も一般的に使われる英単語です。フィクション、ノンフィクション関係なく、「物語」を表現することができます。小説やうわさ話も”story”で表現できるため、迷ったら”story”を使うと良いでしょう。
fable:寓話
「寓話」とは架空の生物を主人公として、倫理観など教訓的な内容を記したものです。この物語内で出てくる動物や植物はすべて擬人化されています。『ウサギとカメ』『オオカミ少年』などが寓話の代表作です。
tale(fairy tale):(架空の)話、うわさ話、作り話
“tale”はフィクションの物語を指します。”Fairy tale”でおとぎ話を意味しますが、「寓話」との違いをご存知でしょうか?どちらもフィクションの物語ですが、”fable”は教訓を教えることが目的、”Fairy tale”は物語を楽しむことが目的です。『赤ずきん』や『シンデレラ』がおとぎ話の代表作として挙げられ、子どもが寝る前に読み聞かせる物語なので、”bedtime story”とも呼ばれます。
narrative:(語り手が紡ぐ)物語
“narrative”は”narration(語り手)”と深い関係にあります。”narrative”に含まれるニュアンスは予め作られた物語ではなく、語り手自身が作っていく物語です。臨床心理学の世界では、「ナラティブ・アプローチ」と言って、患者に自分の話(narrative)をしてもらい、問題を解決するという療法も存在します。
cheonicle:年代記、(壮大な)物語
“Chronicle”は歴史の流れを表した年代記という意味と、超大作の壮大な物語の意味があります。ここでいう物語は文学作品に使われるため、フィクション、ノンフィクションを問いません。
biography:伝記
”biography”は伝記を意味します。伝記とは個人の生涯を綴ったもので、ノンフィクションが基本です。しかし、あくまで個人の生涯なので、しっかりとした記録がなければ曖昧な部分は誇大表現も含まれます。また伝記は物語の対象となる人物を引き立たせる必要があるため、事実とは異なる要素が加えられてしまうことがあるのも事実です。
このように「物語」には、多くの英単語があり、それぞれ異なるニュアンスが含まれています。
まとめ
実際には、“fable”を日常会話で使う機会はそれほどないかと思います。しかし、同じ「物語」の意味をもつ英単語をしっかり使い分けられるようにしておかないと、いざという時に恥ずかしい思いをするかもしれません。
どんな英単語でも知っておいて損はありませんし、使い分けをしっかり理解することで、他の英単語への理解度もより一層深まります。ニュアンスの違いを理解するには、英英辞典を使うのがおすすめです。最初は難しく感じますが、少しずつあらゆる単語のニュアンスの違いを理解していきましょう!