中1の英語といえば、英語学習の一番初めの範囲でしたよね。
しかし現在は学習指導要領の改訂によって、英語教育の「科目」としてのスタートが小学5年生からに前倒しとなり、中1の英語学習は2年間の英語教育を終えた前提の範囲になりました。
「中1英語の範囲が大きく変わった」ことになりますが、具体的に中1ではどの範囲が、どんな問題が出題されるようになったのでしょうか?
この記事では「中1英語」に焦点を当てて、学習指導要領や実際の英語の教科書を参考にしながら、具体的にどんな内容を学んでいるかをお伝えします。
この記事を読み終わる頃には、大きく変わった中学英語について、「具体的に何が変わったのか」「どんなことができるようになったのか」をしっかり理解しているのでぜひ最後まで読んでください。
中学生の英語レベルが格段に上がった?
中学生の英語レベルは以前に比べて格段に上がりました。
学習指導要領の改訂によって「科目」として英語教育が始まるのが、小学5年生スタートに前倒しされたからです。
文部科学省が公開している「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」によると、中学校を卒業する時点での単語レベルは、これまでが1,200語レベルだったのに対して、現在は2,200語〜2,500語レベルになっています。↓
小学校で600〜700語程度、中学校で1,600〜1,800語程度(中略)を指導することとして整理している。
小学校で学ぶ英単語数と、中学校で学ぶ英単語数を足し算すると2,200語〜2,500語になります。
これまでの1,200語と比べて、ほぼ2倍もの英単語数を習得していることがわかりますよね。
さらに文法項目についても、これまで高校生になってから学んでいた「現在完了進行形」と「感嘆文」、「仮定法のうち基本的なもの」が追加が追加されました。(中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 p137)
学ぶ英単語数が倍になったこと、これまで高校生で学んでいた文法事項も中学校で学ぶようになったことから、中学生の英語レベルは格段に上がったといえます。
中学生が英語の授業で学ぶ文法項目はこれだ
文部科学省が公開している「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」によると、中学校を卒業するまでに生徒が学ぶ文法項目は以下の通りです。
a 代名詞
(a) 人称や指示,疑問,数量を表すもの
(b) 関係代名詞のうち,主格のthat,which,who,目的格の that,which の制限的用法b 接続詞
c 助動詞
d 前置詞
e 動詞の時制及び相など
現在形や過去形,現在進行形,過去進行形,現在完了形,
現在完了進行形,助動詞などを用いた未来表現f 形容詞や副詞を用いた比較表現
g to 不定詞
h 動名詞
i 現在分詞や過去分詞の形容詞としての用法
j 受け身
k 仮定法のうち基本的なもの
これらのうち、以下の項目が追加されています。
- 感嘆文
- 仮定法のうち基本的なもの
- 現在完了進行形
さらに「文構造」の項目では「原形不定詞」の記載もあり、こちらも以前は高校英語で学んでいたものです。
仮定法、現在完了進行形、原形不定詞は、就職活動を控えた大学生や、転職活動を控えた社会人がビジネス英語として勉強するTOEICでも頻出の問題として挙げられる項目です。
もともとTOEICで頻出の文法項目には、学習指導要領が改定される前の中学英文法の範囲も多かったですが、仮定法、現在完了進行形、原形不定詞の追加によってさらに解ける問題が大幅に増えたことになります。
つまり、中学校を修了した時点で大人も受験する英語資格にも通用する文法理解を得られるようになったとも言えるわけですね。
このことからも、「中学生の英語力は格段に上がった」と言えます。
中学一年生の英語はどんな問題が出るの?
前項で「中学生の英語レベルは格段に上がった。」とお話しました。それでは中学校に上がって一番に迎える中学一年生の英語ではどんな問題が出るのでしょうか?
三省堂書店が学校に出版している英語の教科書「NEWCROWN 1」の令和3年版では、以下の英語項目を学ぶことが伺えます。↓
- Be動詞(am / are )/ 1人称、2人称の一般動詞
- What ~ do you like?の構文
- 助動詞Can
- How many ~ ?の構文
- Be動詞 is / 疑問詞の What, Who / 三人称の目的格(HimとHer)
- 三人称単数現在形(三単現)
- 疑問詞のWhich
- 現在進行形
- 疑問詞のWhose
- 過去形
- 過去進行形
- SVCの構文(You look ~, It seems ~など)
- 未来を表す助動詞(WillとBe going to ~)
- 許可を表すCanの疑問文(Can you ~?=〜してもいいですか?)
三省堂書店 令和3年度版 中学校英語教科書 内容解説資料 教科書ダイジェスト
を元にリスト化
こうしてリスト化すると多くの項目を学ぶように見えますが、平成28年の同じ教科書と比較するとむしろ項目の数は減っています。
これは「学ぶ項目が減った」というわけではなく、「1つの項目ごとに学ぶ内容がギュッと詰まった」といえます。
これは小学校で学んだ内容とリンクさせて、1つの項目ごとに学ぶ内容が増えているというイメージです。
「1つの項目ごとに学ぶ内容が増えている」点を見ても、中学生で学ぶ英語のレベルが上がっていることがわかりますよね。
↑にリスト化して表した英語の項目を参考にすると、中学一年生の英語では主に以下のような問題が出ると予想できます。
- 犬と猫、どちらが好きですか?(語句整序問題)
(dogs, like, do, which, you, or, cats)? - 彼女は今友達と話している。(語句整序問題)
(is, talking, friend, her, with, she, now). - キミは何匹のねこを飼っているの?(語句整序問題)
(cats, many, do, how, you, have)? - キミは50mを泳ぐことはできる?(語句整序問題)
(you, swim, can, 50m)? - 彼は犬がとても好きだ。(動詞を選ぶ問題)
He (like, likes) dogs very much. - 彼は今朝リビングでゲームをしていた。(動詞を選ぶ問題)
He (played, was playing) video game in the living room this morning. - 僕たちは今夜、神奈川県に着くことになっている。(助動詞を選ぶ問題)
We (will, are going to) arrive in Kanagawa prefecture tonight. - これは誰のラケットですか?(疑問詞を選ぶ問題)
(Who, Whose) racket is this?
中学一年生が実際にどんな問題を解いているのかの参考にしてみてください。
まとめ
この記事では「中1の英語」と「中学英語全体」について、以下の点からお伝えしました。
- 英語学習の開始が2年間前倒しされた。
- 中学修了時点の単語数が約2倍に増えた。
- 高校英語で学んでいた重要文法項目が4つ、中学英語に前倒しになった。
ここまでお読みのあなたは、中学校で履修する英語の範囲が具体的にどこまで増え、実際の授業でどんなことを学ぶかを理解しているでしょう。
この記事でお伝えしたことが、あなたの英語理解をより豊かにできれば幸いです。