よく知らないで使っているカタカナ語の代表格に「モダン」という言葉があります。
日常のさまざまなシーンで使われる言葉ですが、皆さんはモダンを正確に理解している自信がありますか?
ということで、今回のテーマは「モダン」です。
モダンの意味や語源、対義語などについて、日本語と英語の両面から詳しく確認をしていきます。また、「モダンファッション」や「モダンレトロ」など、モダンに関連する表現の意味についても取り上げるので、ぜひ参考にしてみてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「モダン」ってどういう意味?
「モダン」とは、「現代的」「近代的」という意味を表す形容詞です。「モダン〇〇」「モダンな〇〇」という形で、他の名詞を修飾して使うことができます。
もっと意味を噛み砕くと「今っぽい」と言ってもよいでしょう。「それ、モダンだね」と言われたら「それ、今っぽいね」と褒められていると捉えてOKです。
モダンは英語で何て言う?語源は?
モダンは英語由来の言葉で、英語だと “modern” と綴ります。発音記号は、「mάdɚn」、後ろを少し延ばす感じで「モダーン」あるいは「マダーン」と発音します。
英語の modern も、私たちが日本で使う「モダン」と同じ意味です。和製英語などではないため、安心して使うことができます。
また、modern という英単語は、ラテン語で「現代の」という意味を表す “modernus” が語源です。これを更に細かくした “mod-(測る、寸法)” という語根はさまざまな単語に使われていて、”mode(様式、モード)”、”model(型、モデル)”、”modify(修正する)” などは、すべて modern と同じ語源を持っています。
The word “modern” means that things look contemporary, or belong to the present time.
訳)「モダン」という単語は、物事が現代的に見える、あるいは現在に属していることを意味します。
モダンの対義語は?
モダンの対義語は「レトロ」、あるいは「クラシック」が適切でしょう。
レトロとは、”retrospective(レトロスペクティブ)” という英単語を短縮して生まれた言葉で、「懐古的、昔風」といった意味を表します。とはいえ、決して和製英語ではなく、英語でも “retro” という短縮形がしばしば使われます。
よく「昭和レトロ」「平成レトロ」などと言いますが、これらはその当時を懐かしむようなアイテム、文化などを指して使われます。
また、クラシックも同じく英語由来の言葉で、「古典的」「昔からある」といった意味を表します。元の英語は “classic” です。「クラシカル」と言うこともありますが、ほとんど同じ意味だと捉えて問題ありません。
クラシックといえば「クラシック音楽」が一番有名ですね。ベートーベンやモーツァルトなどが作った曲は、数百年前から現代まで脈々と受け継がれた、古典的な名作ということです。
The opposite words of “modern” in Japanese are “retro” or “classic”.
訳)日本語の「モダン」の反対語は「レトロ」、または「クラシック」です。
レトロとクラシックは何が違う?
モダンの対義語であるレトロとクラシックの違いは、簡単に言うと「昔を思い出させるもの」がレトロで、「昔から変わらずあるもの」がクラシックということです。
たとえば、家庭にある黒電話や、喫茶店などにあるピンク電話は、昭和を象徴する懐かしいアイテムなので「レトロ」という形容がピッタリでしょう。
その一方、ジャケットにベスト、スラックスというビシッと決めたスリーピーススーツは、何世紀も前から存在する定番の服装なので「クラシック」と呼ぶ方がしっくり来ます。
このように、一括りに対義語といっても、レトロとクラシックはニュアンスが異なる表現なので、場面に合わせて適切に使い分けていきましょう。
Thatched roofs look retro but not classic.
訳)茅葺き(かやぶき)屋根はレトロだけど、クラシックではないです。
モダンを使った言葉と、それぞれの意味を確認!
モダンは先述の通り「現代的」や「今っぽい」という意味ですが、組み合わされる単語によって、少し意味やニュアンスが異なります。
ここでは、「モダン〇〇」と表される言葉の意味について、1つずつ詳しく確認していきましょう。
モダン建築
「モダン建築」とは、19世紀終わりから作られ始めた建築様式で、シンプルで合理的なデザインが特徴となっています。
西洋の教会などを想像してもらうとわかりますが、ヨーロッパでは昔から「建築=装飾華美」という不文律がありました。それに疑問を持った建築家たちが、建物本来の合理性や実用性を追求すべく作り出したのが、無駄を極力廃したモダン建築というわけです。
このように、モダン建築は建築家たちの思想を深く反映しているので、「思想」を表す “-ism(イズム)” を付けて「モダニズム建築」とも呼ばれます。
モダンインテリア(モダンファニチャー)
「モダンインテリア(モダンファニチャー)」とは、現代的で洗練された、シンプルなデザインの家具や調度品のことです。
上述のモダン建築のイメージを汲んでいて、余計な装飾が施されておらず、白や黒などのモノトーンや、透明なデザインのものが多いという特徴があります。
使われる素材も、昔ながらの木材ではなく、金属やガラスなどの無機質なものが多く選ばれる傾向にあります。
モダンファッション
「モダンファッション」とは、現代的で今っぽい服装という意味です。
ファッションとはもともと「流行」という意味であり、流行は日々移ろいゆくものです。そのため、何をもってモダンファッションと呼ぶかは時代によって、というより日々刻々と変わっています。
数年前まではモダンだった服装が、今着てみると逆にレトロに見えてしまうなんてこともあるので、流行には日々敏感になっておきたいものですね。
モダンアート
「モダンアート」とは、近代美術という意味。
西洋の美術界では、見たものをそのままに描く「写実主義」が根強かったところ、19世紀半ばから、心象風景や抽象的なものを描く「印象主義」が生まれ、それらを指してモダンアートと呼んでいます。
このように、同じ「モダン」という形容詞が付いていながら、モダンアートは100年以上前の作品を表すため、ちょっと注意が必要です。
なお、それ以降の現代美術の場合は「コンテンポラリーアート」と呼ばれます。
モダンレトロ
「モダンレトロ」とは、昔っぽさと今っぽさが同居したものを表す言葉です。どこか懐かしくも新しい、不思議な感覚を表すのにピッタリな表現。
たとえば、ネオンサインで作られた飲食店の看板などを見ると、昭和時代を思い起こさせると同時に、SF映画のような目新しさも感じられますよね。こんな情景がレトロモダンと形容にするにピッタリです。
モダン焼き
関西地方では、お好み焼きの中に焼きそばを入れて焼いた料理を「モダン焼き」と呼んでいます。
モダン焼きという名前の由来は諸説あるものの、有力なのは2つ。
1つは、この料理が発案された当時、その目新しさから流行のように一気に広まったため、「今っぽい」という意味で「モダンなお好み焼き→モダン焼き」となった説。
そしてもう1つは、お好み焼きの中に焼きそばが入っていて「盛りだくさん」な様子から、「盛りだくさん→もだん→モダン」となったという説。
どちらも捨てがたい説ですが、個人的には後者が好きです。なんとも関西人らしい、ウィットに富んだネーミングセンスだと思います。
まとめ
今回は「モダン」という言葉の意味や使い方について、詳しく確認してきました。
モダンは modern という英単語を由来とし、「現代的」「今っぽい」という意味を表す言葉。対義語には「レトロ」や「クラシック」があります。
「モダン〇〇」と、さまざまな名詞に付けて使うことができますが、ものによって意味やニュアンスが少し変わってくるので要注意です。
今回ご紹介したことを参考に、身の回りのいろいろなモダンを見つけていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!