日本人なら誰でも一度は英語学習でつまずいた経験がありますよね。
「もっと早く英語を勉強しておきたかった」と大人になって後悔することも多々あるでしょう。
さらに子供を持つと「英語を苦手になってほしくない」という思いが強くなっている親御さんも多いのではないでしょうか。
今回は、子供の英語学習の基礎ともいえるフォニックスについて、メリットと注意点を含めて詳細に解説します。フォニックス習得のポイントやおすすめの学習方法も紹介するので、最後までチェックしていってください。
フォニックスって何?
日本人でフォニックスという言葉を知っている人は、まだそんなに多くないのではないでしょうか。
小学校で英語が必修化となった2020年以降、子どもの英語学習が注目され最近では耳にすることも増えてきました。
フォニックスとは、簡単にいうと英語版の「あいうえお表」のようなもので、単語の綴りと読みをつなぐ英語のルールを教えてくれます。
英語圏の子どもたちは、“A” ~ “Z” までのアルファベットをフォニックスのルールから学んでいきます。
日本語をまず平仮名の50音から教えるように、英単語もフォニックスのルールから教えるのが海外では一般的です。
英語学習の基礎としてフォニックスは必要不可欠であり、フォニックスを習得しているか否かは、その後の英語学習に大きく影響するといっても過言ではないでしょう。
フォニックスの単語表
A, a | B, b | C, c | D, d | E, e | F, f |
ant | book | cake | dog | egg | fish |
G, g | H, h | I, i | J, j | K, k | L, l |
guitar | house | icecream | juice | koala | lemon |
M, m | N, n | O, o | P, p | Q, q | R, r |
monkey | night | orange | pig | queen | rabbit |
S, s | T, t | U, u | V, v | W, w | X, x |
star | train | umbrella | violin | whale | fox |
Y, y | Z, z | ||||
yellow | zebra |
“A, B, C…” は「エービーシー」ですが、 “A” は「エー」ではなく “ant” の「ア」、“B” は「ビー」ではなく “book” の「ブ」と読むことを表から学びます。
音のルールを習得していると、初めて見る単語も発音を予測しながら読めるので、覚えるスピードは格段に早くなるでしょう。
フォニックスを学ぶメリットは?
英語学習のスタートにフォニックスを学ぶことは非常に重要ですが、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
子供が最初にフォニックスを学ぶことのメリットは以下の5つが考えられます。
- 単語の読みを予測できる
- 英単語の暗記に役立つ
- カタカナ読みを防げる
- リスニング力がアップする
- 自信が意欲につながる
単語の読みを予測できる
フォニックスを習得していれば、初めて見る単語でも、発音を予測して読むことができます。
発音がわからなくても、フォニックスに沿って口に出せば、ほとんどの場合で正確な読みかたができるのです。
英単語の約75%の発音は、フォニックスが当てはまります。つまりフォニックスを学べば、だいたいの単語は発音できる、ということになるのです。
直感的に読みかたの予測ができるようになるには、フォニックスの知識が欠かせないでしょう。
英単語の暗記に役立つ
フォニックスを学ぶことで、単語の暗記や読み書きが楽になります。
それは単語のつづりから発音が予測できるように、発音からつづりの見当がつきやすくなるからです。
膨大な量の単語のつづりを暗記するのは、楽なことではありませんよね。でもフォニックスを知っていると、音と文字がリンクしているので、頭に自然と単語のスペルが浮かんできます。
丸暗記や何度も書く練習をするよりも、単語の暗記や読み書きが簡単にできるのです。
カタカナ読みを防げる
英語を読むのが苦手な人は、単語をカタカナ読みしてしまうことが多いですが、これは英単語の読み間違いや綴りミスを招く原因となります。
日本人が英語の発音に苦労する理由は、カタカナ読みが英語の発音と紐づいてしまっているからです。カタカナ読みをする前から、「英語読み」と「発音」を関連づける学習をしておけば、自然な発音ができるようになります。
子供のうちに、カタカナ読みとは区別してフォニックスをインプットすることが大切です。
リスニング力がアップする
フォニックスを学ぶことで、英語を聞き取る力もアップします。
英語が聞き取れないときは、自分の発音と実際の発音が異なっていて、言葉が認識ができていない状態です。より多くの英語が聞き取れるようになるには、単語の正確な発音を認識する力が必要なのです。
フォニックスで正しい発音が身につけば、話すことも聞くこともスムーズになり、リスニング力が高められます。
自信が意欲につながる
単語が読める=発音できる=話せるということは、子供の自信にもつながります。
そうした小さな成功体験は、後々の英語学習における意欲を大きく向上させることでしょう。
フォニックス学習の注意点は?
フォニックスを学ぶ際には、注意しておきたいことが2つあります。それはフォニックスがすべての単語に当てはまらないこと、そして学習に飽きてしまいやすいことです。
すべての単語に当てはまらない
じつは全英単語のうち25%は、例外として必ず覚えておく必要があります。実際にネイティブの子供たちは、フォニックスとそれ以外(“sight word”と呼ぶ)を目で見て意味を理解できるように指導されています。
“sight word”とは、“sight”(一目)+“word”(単語)をつなげたもので、一目で単語の意味を理解しなければならない重要単語のことです。
“sight word” とは一体どのような単語を指すのでしょうか。よく知られている ”Dolch Word List(ドルチ・ワード・リスト)” を紹介します。
難易度 低 ⇒ 高 | |||||
Pre-Kindergarten | Kindergarten | 1st Grade | 2nd Grade | 3rd grade | Nouns |
a and away big blue can come down find for funny go help here I in is it jump little look make me my not one play red run said see the three to two up we where yellow you |
all am are at ate be black brown but came did do eat four get good have he into like must new no now on our out please pretty ran ride saw say she so soon that there they this too under want was well went what white who will with yes |
after again an any as ask by could every fly from give going had has her him his how just know let live may of old once open over put round some stop take thank them then think walk were when |
always around because been before best both buy call cold does don’t fast first five found gave goes green its made many off or pull read right sing sit sleep tell their these those upon us use very wash which why wish work would write your |
about better bring carry clean cut done draw drink eight fall far full got grow hold hot hurt if keep kind laugh light long much myself never only own pick seven shall show six small start ten today together try warm |
apple baby back ball bear bed bell bird birthday boat box boy bread brother cake car cat chair chicken children Christmas coat corn cow day dog doll door duck egg eye farm farmer father feet fire fish floor flower game garden girl goodbye grass ground hand head hill home horse house kitty leg letter man men milk money morning mother name nest night paper party picture pig rabbit rain ring robin Santa Claus school seed sheep shoe sister snow song squirrel stick street sun table thing time top toy tree watch water way wind window wood |
英語圏の学校では、上記のような “sight word” を難易度の低い順に習っていきます。 “sight word” だけでもかなりの量になるため、英語初心者にとって最初に覚えておきたい単語ともいえるでしょう。
フォニックス学習のみだと飽きてしまう
フォニックスは、文字と音を覚える暗記学習です。
練習をくり返して身に付くものですが、やはり子供にとっては退屈に感じてしまうもの。
アプリやゲーム、動画などでアプローチを変えることや、他の教材を合わせて、飽きない工夫をしてみましょう。
フォニックスを学ぶのは幼少期がベスト?
「英語教育は早いほどいい」「早いうちに耳を慣れさせたほうがいい」など、子育てや習い事ではよく聞きますよね。
フォニックス学習を始めるのに適した年齢はあるのでしょうか。
人間の聴覚はお腹の中にいるときから完成するといわれていますが、生まれてから10歳くらいまでをピークに成長し、成人後は徐々に衰えていくことがわかっています。
そのためフォニックスで正しい発音を身につけるのは、幼少期〜小学校低学年が最も適しているといえるでしょう。
小学校に入ると毎日の授業や宿題などで忙しく、モチベーションを維持していくことが難しくなるため、できれば入学前に始めることをおすすめします。
「ボール とって」や「わんわん いた」など、二語文を話し始める1歳半〜2歳の頃から始めても早すぎるということはありません。英単語を日本語と同じように自然に見聞きしておくことは、その後の英語学習へのハードルを下げることにもつながるのではないでしょうか。
フォニックスはネイティブ講師に習うべき?
発音やフォニックスはネイティブ講師から習う方がいいのでは、と考える方も多いでしょう。
ネイティブから発音を学ぶなら、子どもが小さくて日本語の能力が確立していない幼少期には効果的といえます。
幼少期は頭で言語を区別せず、英語の音やリズムを感覚的に聞き取れます。さらに聞いたことをそのまま言葉にするので、自然に英語の発音を身につけられるのです。
しかし成長とともに、言葉を頭で考えてから認識するようになります。すると、聞くだけでは英語の音やリズムが身につかないのです。
ある程度日本語を理解しているなら、英語を第二言語として学んだ講師の方がわかりやすい場合もあります。
発音を学んだ経験がある非ネイティブの講師は、音の出しかたを論理的に説明してくれるため、頭で理解しやすいのです。
発音がむずかしい単語の知識もあり、レッスンではゆっくりと発音してくれたり、舌の位置を細かく教えてくれたりと、学習者に寄り添った内容が期待できます。
発音をそのまま聞いてマネできるのか、頭で考えて言葉を理解するのかによって言語の習得方法が違うので、必ずしもネイティブがいいとは限らないでしょう。
フォニックスを楽しく学ぶために大事なこと
子供がフォニックスを楽しく学ぶために、意識しておきたいポイントを2つ紹介します。
- 声に出して動きをつける
- カタカナ表記はしない
海外の映画やドラマで、低学年の子供たちが輪になって床に座り、先生が中央に立って授業をしているシーンを目にしたことがある人もいるでしょう。歌ったり踊ったりしながら、自由な雰囲気のなか授業を進める様子は、日本の講義型授業と大きく違うところですね。
フォニックス学習には、そうした遊びの延長のような楽しさ・面白さが必要となります。カードや歌、ときにはダンスなども交えながら、音を声に出し体を使って覚えていく方法がおすすめです。
またフォニックスの学習では、単語のカタカナ表記を避けるのが正解です。子供たちの耳は、驚くほど色々な音を聞き取ってどんどん吸収していきます。本来の英単語の発音と異なるカタカナ表記はしないように注意しましょう。
フォニックスのおすすめ学習方法
フォニックスのよさがわかったところで、具体的な学習方法が知りたいですよね。
動画やアプリ、市販のカードゲームなどで独学もできないことはないですが、基礎をしっかりと習得するためにはスクールで教わるのが最適です。
- 英会話スクール
- オンライン英会話
英会話スクールは、講師と直接対面し生の英語をその場で体験できる点で、非常に優れています。
しかし、近くに教室がなかったり、子供によっては保護者と離れるのを嫌がったりする場合にはあまりおすすめできません。無理に通わせると、「英語は嫌い」「海外の人は怖い」といった思いを抱かせてしまいます。
一方でオンライン英会話は、自宅でリラックスして受講できるため、人見知りの子供でも授業に慣れやすく、おうちで楽しく学習できるでしょう。教室に比べると費用も安い傾向にあるため、継続的な英語学習が可能になります。
たくさんあるオンライン英会話のなかで特に人気のKiminiオンライン英会話では、発音コースでフォニックスを用いたレッスンを提供しています。
発音コースは子供に特化したコースではありませんが、発音の習得・矯正を希望している場合は個別対応もしてくれるので、気になる人は一度講師へ相談してみましょう。
まとめ
フォニックスのメリットと注意点、習得のポイントやおすすめの学習方法を解説しました。
子供に英語に触れさせたいと思ったら、まずはフォニックスから始めるのがおすすめです。
フォニックスを習得できると、英語の読みと発音が怖くなくなります。自信がつけば楽しくなり、英語をもっと学びたいという好循環も生まれるでしょう。
フォニックスを使って、子供たちに英語の楽しさを知ってもらえたら嬉しいですね。