お店が閉店した時ドアに「closed」といった看板がかけられていることをよく目にしますよね。割合と身近に見られるこの「close」という単語、動詞的な使い方・副詞的・形容詞的または名詞的な使い方と、実はとても多くの用法や用例のある単語なのです。今回はこの「close」について様々な意味や使い方を例文とともにご紹介します。
動詞の「close」
動詞には自動詞と他動詞があり、「close」も両方の形で使われます。3人称単数現在形は「closes」, 過去形は「closed」, 現在進行形は「closing」です。
自動詞・他動詞としてはたらくときの意味をそれぞれ紹介します。
自動詞の「close」
自動詞とは目的語を必要としない動詞のことです。「close」が自動詞としてはたらくときは、2つの意味があります。
- (ドアなどが)閉まる
- (店・テンポなどが)閉まる、終わる
Aさん
The elevator door closed.
訳)エレベーターのドアが閉まった。
Aさん
The library closes at seven p.m. on weekdays.
訳)その図書館は平日は午後7時に閉まる。
「平日」は「weekdays」です。月曜日から金曜日までを含んでいるため複数形になります。ちなみに「休日」は「a holiday」ですが、これには日曜日は含まれず、祝日や祭日を意味します。土曜日や日曜日を表すときには「a weekend(週末)」を使います。
Aさん
That company closed down last week.
訳)あの会社は先週廃業した。
「close down」は「(店・会社が)廃業する、(工場が)閉鎖される」という意味の熟語です。
他動詞の「close」
他動詞とは目的語を必要とする動詞のことです。「close」が他動詞としてはたらくとき、3つの意味があります。
- (ドア・窓など)を閉める、(目・本・かさなど)を閉じる
- (店・施設など)を閉める、店じまいする、廃業する
- (話・会合など)を終える、(募集など)を締め切る
例文
Aさん
Close the door.
訳)ドアを閉めなさい。
Aさん
Now close your textbooks and answer my questions.
訳)では教科書を閉じて質問に答えてください。
Aさん
They close the store every Wednesday.
訳)その店は毎週水曜日が休みです。
「They」は「店の人」をさします。直訳すると「彼ら(店の人)は毎週水曜日に店を閉めます。」となりますが、訳すときは主語を「店」にしたほうが自然です。
形容詞の「close」
形容詞の「close」は動詞の「close」と大きく意味が異なります。比較級は「closer」、最上級は「closest」です。
「close」が形容詞として働くときの4つの意味を紹介します。
- (位置が)すぐ近くの、すぐそばの、(時間が)間近の
- 親しい、仲の良い
- [ふつう名詞の前に用いて]綿密な
- (試合などが)接戦の
1)の意味は「near」と似ていますが、「near」よりも近いことを表します。
例文
Aさん
What’s the closest planet to the Earth?
訳)地球にもっとも近い惑星は何ですか。
この文では最上級を用いています。地球以外の惑星は、「Mercury(水星)」「Venus(金星)」「Mars(火星)」「Jupiter(木星)」「Saturn(土星)」「Uranus(天王星)」「Neptune(海王星)」です。
Aさん
It was close to lunchtime.
訳)もうすぐ昼休みだった。
Aさん
WOur house is close to my school.
訳)ぼくたちの家は学校のすぐ近くです。
Aさん
Take a closer look.
訳)もっとしっかり見てごらん。
「take」はたくさんの意味を持つ多義語です。用法のひとつとして、動作・行動などを表す名詞を目的語にして「(ある行動を)する」という意味で使うことができます。ここでは「a closer look」という名詞を目的語にしています。
Aさん
The game was really close and exciting.
訳)その試合は大接戦ですごくおもしろかったです。
ここでは「close」で「接戦」と表していますが、「a close game」で「接戦」と名詞で表すこともできます。
「closing」について
「closing」は動詞「close」の現在進行形であると同時に、「終わりの」という意味の形容詞でもあります。
「a closing ceremony」は「閉会式、終業式」です。
副詞の「close」
副詞の「close」は形容詞の「close」とほとんど同じ意味です。しかし、使い方が異なりますので、しっかり理解しておきましょう。
基本的用法
「close」が副詞として使われるとき、意味は「(位置が)すぐ近くに、すぐそばに」です。
例文
Aさん
We sat close together.
訳)私たちはそばに寄って座った。
Aさん
Come closer to me.
訳)もっと近くに来なさい。
また、「形容詞+ly」は一般的な副詞の形であり、「closely」という副詞も存在します。
意味は「注意深く、しっかりと」と「(仕事などが)連携して、協力して、(関係などが)密接に」です。
例文
Aさん
Maybe you didn’t look closely enough.
訳)しっかりと見なかったんじゃないの?
英語は肯定文ですが、訳は疑問文のようになっていますね。直訳すると「たぶんあなたは十分しっかりと見なかったのかもしれない」ですが、口語的に表すと、上記のような訳になります。これは英語ではよく使われる手法です。
また、「Maybe」は「もしかしたら、…かもしれない」という意味の程度を表す副詞です。同様の意味を持つ副詞として「probably」「perhaps」「possibly」がありますが、それぞれ微妙にニュアンスが違います。
文中で対象となるものに対する確信度が高い順に、「probably(80~90%)」「maybe(50%)」「perhaps(30~40%)」「possibly(10~30%)」です。パーセント表記はあくまでも目安です。
「close」を使った熟語
「close」を使った熟語を紹介します。
「close at hand」 近くに
Aさん
The final exam is close at hand.
訳)期末試験は間近だ。
「exam」は「examination」の略です。「examination」は改まった言い方で、ふつう「exam」を用います。「a final exam」は「期末試験」、「a midterm exam」は「中間試験」です。
「close by」 すぐ近くに
Aさん
My grandparents live close by.
訳)祖父母はすぐ近くに住んでいる。
「get close to」 …に近づく、親しくなる
Aさん
I want to get close to that artist.
訳)私はその芸術家と親しくなりたい。
「close」使い方の基本的用法
形容詞で使う場合の「close」は名詞を修飾しますが、形容詞と同じ意味ながら副詞で「close」を使う場合は、名詞以外の言葉を修飾することになります。
動詞を修飾する場合は動詞のすぐ後ろに「close」を置くというのが一般的。目的語がある場合は目的語の後ろに「close」を置きます。
副詞的に使用する場合の「close」や「closely」は文末に置いて使われる場合もあるので、このルールは厳密にというわけではありませんが一応参考にしておくと良いかと思われます。それでは「近く」という意味で動詞を修飾した場合の例文をご紹介します。
Aさん
There is a convenience store close by the station.
訳)駅の近くにはコンビニがあります。
Aさん
Mother held her daughter close.
訳)お母さんは娘をぎゅっと抱きしめた。
※近づけてという直訳から「ぎゅっと」という意味でcloseを使うこともあります。.
Aさん
These are closely associated.
訳)これらは密接に結びついている。
他にも
Aさん
Fit close.
訳)ぴったりあう
Aさん
The books are packed closely on the book shelf.
訳)本は本棚にぎっしりと詰め込まれています。
ざっくり例文と意味の部分だけをみた場合、形容詞の使い方と副詞の使い方はほとんど変わらないように感じますが、「close」が何を修飾しているかによって訳した時のニュアンスは若干変わってくるので、その点を少し意識するようにするとより忠実な使い方ができるのではないかと思います。
動詞とそれ以外の「close」は発音が違う?!それぞれの発音について解説
ここまで意味や使い方についてみてきましたが、次は発音について詳しくみていきたいと思います。「close」は動詞として使う場合と形容詞で使用する場合で発音が異なりますのでその点は要注意です。
動詞で使用する場合の発音記号は英国英語では「klˈəʊz」・米国英語「kloʊz」と表記されます。
カタカナで書いた場合は、「クローズ」実際にする発音に近い形でのでカタカナ表記をした場合は「クロゥズ」と発音します。最後のseが濁り「Z」の発音となります。
形容詞として「close」を使用した場合の発音記号は「klóʊs」と表記され、カタカナ書いた場合は「クロース」になります。実際の発音に近いカタカナ表記は「クロゥス」となり、最後のseは濁らず「S」の発音となります。
英語発音に慣れない初心者の方向けに詳しく発音の仕方を説明するとした場合、ロウソクの火を消すときの「フッ」という口の形で実際に「フッ」と息を吹きかけるように「クッ」と発音してから、舌を上の歯の裏、付け根あたりにあてながら「ゥロ」と発音。
そのまま口をすぼめて最初のロウソクの火を消す時の口の形で「ゥス」と発音で形容詞の「クロゥス」。最初から途中までは同じ口の動きをし、最後だけ同じ口の形で音を濁らせ「ゥズ」と発音すると動詞の「クロゥズ」の発音となります。
ちょっとややこしい説明になってしまうかもしれませんが、読みながらゆっくりやってみると意外ときちんとした発音が出来たりするので、ぜひトライしてみてください。
動詞の発音「クロゥズ」は発音だけみると洋服の「clothes」とまったく同じ発音になります。この音声問題は英検5級・中1レベルでの問題でよく出てくるようです。そして意外と間違え率が高い。これを機会に豆知識として身に着けておくと良いかもしれません。
その他の発音として、例えばお店の閉店を示す「closed」は品詞は形容詞「クロゥズド」と濁ります。カーペンターズさんの「Close to you」はご存知のとおり「クロゥストゥーユー」で「se」の発音は濁りません。
「close」はひとつの単語で二つの発音がある_という事を頭において、少し意識して発音すると良いかもしれませんね。
ネイティブは知っている!「close」を使った熟語
ネイティブの方たちはこの「close」という単語を日常の中でどのように使っているのでしょうか。ネイティブが使う言い回しを例文をあげていくつかご紹介したいと思います。
「close off」 通行止めにする
Aさん
The construction workers closed off the road.
訳)建設作業員は道路を閉鎖しました。
※他にも流れを止めるという使い方もあります。
この熟語は人に対して使うこともあり、人に対して使うときは孤立させる・隔離するなどの意味で使われます。
受け身の形で使われることが多いです。
「close in on」 倒すために近づく・だんだん迫る
Aさん
There were several cats closing in on a bird.
訳)鳥に近づいている猫が何匹がいました。
※同じ近づくでも迫るように近づく・近づい包囲するといった様子で使います。
「behind closed doors」内密に・個人的に何かをする・何が起こっているのか他の人が見ないように・ひそかに
Aさん
What are they talking about behind closed doors.
訳)彼らは内緒で何を相談しているのだろう?
※他にも「スポーツの試合などを観客を入れずに行われて」といった使い方もされます。
「not even close」… 近づいてすらいない→かけ離れている→大外れだよ!・全然違うよ!・的外れだよ
質問の答えとして「全然ちがっているよ!」という使い方が多い様です。
Aさん
Do you think I look like Joh Odagiri when I don’t shave?
訳)ひげをそっていないとオダギリジョーみたいに見えるかなぁ?
Aさん
No, not even close.
訳)えー、全然違うよ。
「come close ~ing」… もう少しで~するところだった
Aさん
I came close to missing the last train yesterday.
訳)昨日もう少しで終電に乗り遅れるところだったよ。
「take a close look」・「pay close attention」…注意して!・気をつけて!
Aさん
Pay close attention to what I say, because it will be on the test.
訳)私の話を注意してよく聞いていてね、テストにでるよ。
「That was close!」… 惜しい!・危なかった!・ギリギリセーフ
Aさん
That was close! I was almost run over by a car.
訳)危なかった。もう少しで車にひかれるところだった。
「close call」…危機一髪
Aさん
I had a close call.
訳)危機一髪で助かった。
closeを使った慣用句もたくさんありましたね。1つでも覚えて日常会話で使いこなせるとちょっとカッコいいかもしれません。
営業終了?倒産?closeの豆知識
さて、最後に私たちが「close」という単語を日常生活で一番目にするシーンは飲食店の看板ではないでしょうか。
営業終了=閉店時の看板として「CLOSE」というものと「CLOSED」というものを見かけますが本当はどちらが正しいのでしょうか?
「本日は営業を終了しました」を英語にするとWe are closed.ここから抜きとって「CLOSED」という看板が正解のようです。
こういった理由から、ネイティブの方が「CLOSE」という看板を見るとWe are close.と読み、「当店はこの近くにあります。」もしくは先ほどネイティブの方の言い回しでご紹介したThat was close.のように「当店は惜しい!」「残念!」といった意味合いでとられてしまうこともあるようです。
せっかくのお客様へのお知らせがきちんとした内容で伝わらないのは「CLOSE!」「残念!」ですものね。営業終了をお知らせしたい場合は「CLOSED」にしたほうが正しい意味合いが伝わり良いようです。
ちなみに「close」を営業終了という意味で用いる場合、意味あいとしては一時的に閉店、もしくは今日は営業終了で明日はまたお店が開きますといった意味あいになります。
「close」に「down」をつけて「close down」とすると営業終了ではなく閉店・廃業という意味になります。閉店といえば閉店セール!閉店セールは英語では「Closing down sale」・「Store closing sale」または「Going out of business sale」と言います。
海外でこの「Closing down sale」という看板を見つけたら、お店を覗いてみてはいかがでしょうか?お安く掘り出し物がみつかるかもしれません。
まとめ
「close」にはいろいろな用法があり、品詞によって使い方や意味、発音も違ってくるということでした。学生の方は「close」に関して頭の整理がついたのではないでしょうか?ネイティブの方が使う慣用句にはいろいろな言い回しがあり、すぐに試せそうな簡単なフレーズもありましたね。それぞれの使い方を覚えて、どんどん使ってみるというのはいかがでしょうか。
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行(株式会社学研プラス)