英会話を上達させるための学習方法の一つに「音読」があります。
ところで、皆さんは音読の正しいやり方、または英語4技能のどれに効果があるのかなど興味がありませんか?

この記事では「英会話学習のための音読」とし、さまざまな角度からみていくことにしましょう。最後までぜひお読みください。

音読は英会話に効果がある?

そもそも音読とは何でしょう。英語に限らず、日本人が小さな子どもに絵本や教科書などの日本語を音読させることがありますが、声に出して文章を読むことで記憶を定着させることができるからです。これは脳の前頭前野という部分が活性化されるためと言われています。日本人に限らず、筆者の住む英国でも4歳5歳の子どもたちが学校でフォニックスを習うとともに音読の練習をします。

脳はインプットするときの刺激が多ければ多いほど記憶に残りやすく、その記憶は引き出して使うときにも役に立ちます。俳優たちがブツブツとセリフを口に出して言っている姿を想像できますが、これも音読が自分のセリフを覚えるための一つの方法と言えるのでしょう。

音読がもたらす英会話の効果

言語に関係なく脳の働きを考えれば、英会話には音読が効果的です。
音読をしているときには自分の音声と読んでいる文字がリンクします。加えて、その文章が表現している内容のイメージも結びつきます。これら全体が音読によって記憶に定着するのです。ただし、一度読むだけでなく、繰り返し音読していくことが大切です。

音読をするときの注意点

音読をするときの注意点

音読は声に出して読めば、どんな英文でもただただ読めば良いということではありません。ここで、音読をする際の注意点を挙げておきましょう。

音読する英文のレベル

さぁ音読をやるぞ!というやる気から文章量もレベルも高すぎるものを用意してしまうと効果が得られません。結局、分からない語彙が多く出てきて文章の内容を理解することもできずストレスだけが溜まっていくようなことになってしまいます。音読の元にする英文を選ぶ際には、自分の英会話レベルと同等か少し下げたレベルに合ったものにします。英会話レベルが分からないという人にはオンラインなどで英語力を判定するサービスがいくつもあります。無料・有料揃っていますので一度受けてみることをおすすめします。

音読をする頻度

頻度については、基本毎日することを目標にしてみてください。せっかく始めた音読も、週一など少ない頻度では効果はなかなか期待できません。一回に多くの分量を読むよりも、英語に触れるという意味でも毎日少なくても継続する方が効果的と言われます。

英文のレベル、そして頻度に気をつけて実施する音読。次では、正しい音読のやり方をみていきましょう。

音読の学習方法

音読の学習方法

手元にレベルに合った英文が用意されたら、いよいよ音読開始です。毎日少しづつでも実行して、英会話に最大の効果をもたらすにはやり方をしっかり理解することが重要です。

音読をする目的は英会話を上達させるためですので、文字を追ってただ声に出せば良いというものではありません。内容のレベルを自分にあったものにすることで、構文や意味を理解していくことを忘れてはいけません。
とはいえ、ある程度のボリュームの英文を選べば意味を知らない単語やフレーズが出てくるのも自然なことです。

そこで、以下の流れで音読学習を進めていきます。全体をすべて音読するのではなく、読むブロックを決めましょう。

  1. ハードルを低めに設定した英文を用意する。
  2. 黙読で良いのでまずテキストの構文や意味を確認する。
  3. 目が慣れたところで音読をしてみる。
  4. 理解できなかった箇所をチェックする。
  5. 同じ箇所の音読を繰り返してやってみる。
  6. スクリプトを見ながら音声に重ねて、発音を意識しながら音読してみる。
  7. スクリプトを見ずに音声に合わせて音読してみる。
  8. 繰り返し音読するうちに、できるだけ読むスピードをあげていく。

音読による英語脳効果

英語脳という言葉を聞いたことがありませんか?日本人は英語を日本語にわざわざ変換してからまた英語に戻すといった作業をすることが多いのですが、英語耳は日本語変換をすることなく、英語は英語として理解する英語力をさします。

さて一つ、英文をみながら音読と英語脳について紹介しましょう。

I’m not good at swimming.

「泳ぐのが苦手なんです」というこの文章。日本人がやりがちな黙読の読み方として、文章を読んだとき、あぁスイミングのことか、not good atだから得意じゃないんだ、それは誰だった?と英文を戻っていくような形で確認作業します。
これは極端な例ではありますが、このやり方だと一文を理解するのにかなりの時間を要することになってしまいます。

ところが音読のパターンをみてみると、同じ読み手でもまったく違う効果が現れます。それは文頭に戻ることができない音読だからこその効果であり、「私」「苦手」「スイミング」として脳が理解を進めるのです。

これこそ音読の大きなメリットであり、上で紹介したやり方の流れに沿って進めていくなかで英語を理解するスピードさえあげていくことが可能になるのです。

音読効果が出るのはいつから

言語の学習と上達にはある程度の時間が必要です。毎日音読学習をしたからと言って次の週にすごい喋れてる!という効果を感じることは期待できません。

しかし、レベルにあったものを使い毎日一つの箇所に対して30回ほどの音読を繰り返した場合、ひと月で効果を感じることは不可能でないかもしれません。そうなればモチベーションが上がり、継続して音読をしていくことが可能になり、実力が伸びていきます。

4技能にも効果がある?

4技能にも効果がある?

ここまでお読みいただくと、音読は実はインプットとアウトプットをすることによって行なわれるということが分かります。
このことからも音読は「聞く・話す・読む・書く」の英語4技能すべてに効果的です。

リスニング効果

音読によって、聞き取りのスキルが上がります。自分の音声と読んでいる文字、そして文章内容が結びつくため、単語だけ、フレーズだけを別々に暗記する方法よりも効果が高いこと、発音に関しても音声でネイティブの音声を聞き続けるメリットは大きいものです。

スピーキング効果

音読によってネイティブの発音やリンキングをそのまま学ぶことになりますが記憶の定着によって、自分が話すときにも学んだ知識をアウトプットできます。

リーディング効果

リーディングは音読のメインとも言えるスキルです。日本語に変換せずに先へ先へ読み進めていくため、早く読めるようになったりボリュームのあるものでも読み込んでいくことが可能になっていきます。

ライティング効果

音読効果で記憶に定着していく英語表現や単語がそのままライティングをするときに使えるようになります。英語で思考する癖がつけば、英文法の理解も進みライティングに活かすことができます。

音読におすすめ教材

音読におすすめ教材

最後に音読教材としておすすめの教材を紹介しましょう。
音読のための教材は多くありますが、音声CDつき書籍がおすすめです。音声という意味ではアプリの利用を検討しても良いかもしれませんし、英語の音声を文字にしたスクリプトが付いているかなどもぜひチェックしてください。

学研の「英語音読マスター」シリーズ

実際に、学研の教材を紹介しましょう。
学研出版サイトは、以下の英語音読マスターシリーズを提供しています。

  • 知的英語センスが身につく名文音読
  • 英語の「型」が身につく100回音読
  • 重要イディオムが身につくリズム音読

例えば「重要イディオムが身につくリズム音読」では、TOEICによく出題される重要イディオムをCDから流れるリズム付きナレーションに乗せて音読します。音読することで記憶させる方法で大きな効果が期待できます。試験対策と英会話力アップ両方におすすめです。

参考:学研出版サイト「英語音読マスター」

まとめ

地味な作業とも言える音読ですが、その効果は大きく英語に限らずいろいろな場で活用されています。音読を正しくやる方法に慣れていったときにはそれだけ英語に時間を費やしていることになります。効果を感じられるよう自信を持って音読を進めてください。
英語を英語で理解することに役立つ音読、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?