このシリーズでは、英語を短期間で習得するための様々な方法を紹介しています。英語を勉強するのが久しぶりな方、また、本格的に英語を勉強するのが始めての方はまず初めに「短期間で英語をマスターするコツと方法 – 初級編」をご覧ください。
今回は中級編第2弾で、第一弾のライティング攻略とリーディング攻略に続いて、リスニング攻略とスピーキング攻略をご紹介していきます。
リスニング攻略
リスニングは2つのアプローチで攻めましょう。
聞き流しで常に英語環境を作る
英語のCDを流すだけで英語が分かるようになる、といった英語教材の広告を未だに目にしますが、これは嘘です。聞くだけで英語が習得できるなら、誰も苦労しません。ただ、聞き流しをすることで“耳を英語に慣らす”ことはできます。聞き流しはあくまで耳を慣らすために行うということを念頭に置いておきましょう。
聞き流し用の音源ですが、これは正直何でもいいです。この後に実際にリスニングの理解力を鍛える方法をお教えしますが、聞き流し用のものは自分の好きなものを選びましょう。例を挙げるとこんな感じです。
- ケーブルテレビ/スカパーの英語ニュースチャンネル(CNN、FOX、NHK Worldニュースなど)
- ケーブルテレビ/スカパーの海外ドラマ・リアリティ番組
- 海外のYouTube動画(できればシリーズもの)
- 洋画・海外ドラマのDVD/ブルーレイ
- 海外ラジオ・ポッドキャストなど
- 英語教材用リスニングCD
ケーブルテレビの番組を観る際は、初期設定で日本語の音声吹替になっている場合が多いので、リモコンの設定でOFFにしましょう。洋画のDVDを観る場合も同じです、字幕は消して、リスニング目的で流しましょう。
とにかくコンテンツが全て英語のものなら何でも大丈夫です。例えば、日本のFMラジオのInter FMなどは、番組によって英語のみのものもありますが、基本的には英語と日本語のミックスなので、リスニング用にはあまりおすすめしません。
また、聞き流し用に教材を選ぶ際は、基本的にはお金を掛けないようにしましょう。自分の身の回りにあるものでいいので、とにかく家に居る間は常に英語の会話が流れている環境を目指します。
家に居る間はずっと英語漬けとなると、休む暇がなくてストレスに感じるかもしれません。その場合は、少しずつリスニングの時間を追加してみましょう。
リスニング聞き流しスケジュール例
朝身支度をする1時間ほどは必ず英語環境で過ごす
↓
家に帰ったら普通に日本のテレビ番組を観てリラックス
↓
お風呂に入った後と寝る前の30~1時間にまた英語を聞く
このように、メリハリをつける感じで無理せず頑張りましょう。
はじめは本当に聞き流しているだけで内容を理解するのは難しいと思いますが、知っている単語や表現を1つか2つでいいのでピックアップできるように意識してみましょう
徹底した聞き取り練習の時間を作る
さて、聞き流しで耳が英語に慣れてきたところで、週に数回でいいのでリスニングのレベルアップに向けた時間を作ります。聞き流しと大きく違う点は、「ながら作業」ではなく、スピーカーやテレビ・パソコン画面と向き合って、出来る限り多くの会話や説明を聞き取って理解する努力をするところです。
リスニング強化に使う音源は、自分のレベルに合った理解しやすいものを選びます。手軽なのがスマホの英語学習用のアプリもしくはポッドキャストです。分かりやすい内容、そして実用的な会話(海外旅行で使えるフレーズなど)で構成されているものが多いので、聞き取りの練習に最適です。アプリなどによっては、音声再生後に会話スクリプトを確認できる場合もあるので、聞き取った内容が合っているかどうかの答え合わせが簡単にできます。
リスニングするなら物語形式のものを選ぼう
また、なるべく物語形式になっているものを選びましょう。例えば、海外旅行で使えるフレーズに関するポッドキャストの中でも、フレーズを日本語と英語で繰り返すだけのものと、実際の英語の会話が流れるものがあると思います。
日本語と英語が交互に繰り返されるものは、電車での移動中に単語や文法を覚えるためなどに適していますが、聞き取り用の音源としては不向きです。聞き取り用にはある程度まとまった英語の会話や説明が続く、ストーリー形式もしくは説明文形式のものを選びましょう。
聞き取りの練習をする時はスピーカーに耳を集中させ、ノートとペンを片手に挑みます。聞いた文章や単語をそのまま書き写したり、即座に日本語に訳す必要はありませんが、大まかな内容を後で説明できるように、聞いた内容を英語や簡単な絵を使ってノートに書き起こしてみましょう。この方法はTOEICやTOFLEなどのリスニング試験でも有効な方法です。
聞き取りが終わったら、自分で書いたノートを基に、どんな内容の会話・説明だったかを自分の頭の中、もしくは声に出してまとめます。ノートに書きだしてももちろんOKです。このまとめ作業は最終的には英語でできるようになりたいですが、始めは日本語でも大丈夫です。
まとめが終わったら、会話スクリプトと照らし合わせながら答え合わせをしていきます。自分の理解と明らかに違う部分を見つけた場合は、その文章や単語を必ずノートに書き残しておきましょう。苦手な単語や表現を洗い出し、単語の勉強の時間に復習するようにします。
答え合わせのしやすさから、やはり英語の音声だけではなく、その音声のスクリプトが付いているアプリやポッドキャストを選ぶことをおすすめしますが、もし自分のレベルに合うものが見つからない場合は、リスニング用の英語教材を購入してみるのもいいかもしれません。本屋さんなどでもCD付きのリスニング勉強用の教材はたくさん並んでいるはずなので、自分のレベルに合ったものを一つ選び、聞き取りの練習にはこちら活用、聞き流しには自分の好きなドラマをかけ流しにする、など、飽きのこない工夫をしましょう。
訛りを聞き取るリスニング練習はいらない?
もう一つリスニングの練習の際に気を付けるべきことは、訛りを聞き取る練習をすべきかどうかという問題です。TOEICなどのリスニングのテストでは、グローバルビジネスを想定して、一般的なアメリカ英語以外のイギリス英語、オーストラリア英語などの発音で出題される場合があります。この発音の聞き分けは、リスニング力が確かに付いてきた上級者には可能ですが、まだまだ英語の理解力自体を上げなければならない初心者~中級者にとっては混乱を招くだけです。
なので、例えTOEICに向けて勉強をしている場合でも、まずはスタンダードなアメリカ英語でリスニングの練習をする方がいいでしょう。もちろん、試験などは関係なく、オーストラリアに留学するために勉強している、など、具体的な渡航先と目的がある場合ははじめからその国の英語の発音に慣れる練習もしておくといいかもしれません。ただその場合も練習用の音源の数に限りがあるなど、障害にぶつかることも多くなります。まずは訛りや発音の違いには気を取られずに、身近にある教材を使ってリスニングの勉強を開始しましょう。
スピーキング攻略
続いてはスピーキング攻略です。英語を第二か国語として勉強している日本人にとっては、スピーキングが一番苦手とするカテゴリーだと感じる人が多いと思います。日本の義務教育では“話す英語”を教わらないので必然とそうなるのですが、英語を話す必要な環境が少ないことも影響しています。
スピーキングの最終目標は英語で言葉のキャッチボールができるようになることですが、まず中級編では、“自分の言いたいことを言葉に出して言える”ようになる練習に重点をおきます。
簡単な説明を英語で出来るようになる練習
スピーキングの練習し始めは、ライティングの練習と組み合わせて行うと効率がいいです。ライティングで書いた日記や短いエッセイなどをもとに、それを誰かに口頭で伝えるつもりで語りかける練習をします。その際になるべくライティングの時に使ったノートは見ずに、自分の頭の中で文を構成して発音することを心掛けて下さい。
始めはとても難しいので、ノートをちらちら見ながらでもいいですが、ゴールはノートをほぼ見ずにそのトピックについて話せるようになることです。ちなみにこれは暗唱の練習ではないので、ライティングで書いた内容そのままを暗記して発音する必要はありません。例えば、ライティングの内容が“好きな食べ物”についてだったとすると、自分の好きな食べ物は何か、なぜそれが好きなのか、どういった機会に食べる機会が多いのか、など、順番や流れはライティングの内容とは一致しなくてもいいので、例文なしでもそのトピックについて話せるようになるまで練習します。
ライティングの例文は添削後のものを使おう
また、自分のライティングを例文として使う場合、必ず添削後のものを使いましょう。添削前の間違っているかもしれない英語をもとにスピーキングの練習をしても元も子もないので、必ず添削後、もしくは英語教材の例文を使用しましょう。
ちなみにこの練習は一人でもできますが、ある程度そのトピックについて話せるようになったら、英語が理解できる誰かにチェックしてもらう必要が出てきます。可能であれば英会話のレッスンをオンラインなどで受講し、ネイティブの先生に聞いてもらうのが一番ですが、それが難しい場合はネイティブでなくてもいいので英語が得意な友人に頼んだり、英語を勉強する人が集まるコミュニティに参加してネットワークを広げるなどをして、常にチェックをしてくれる誰かと繋がれるようにしましょう。
英語で話すことに慣れる練習
添削やネイティブチェックは大切ですが、中級編ではとにかく“言葉に出す”というアクションがカギです。普段英語で話す環境が少ないので初めは恥ずかしく感じるかもしれませんが、言葉に出すことを繰り返すことで自然と慣れてきます。スピーキングの練習は、別のカテゴリーとは違い、電車の中などの移動中にすることができないので、習慣づけるのが難しいかもしれませんが、毎日は難しくても週に数回はスピーキング用の時間を設け、言葉に出す練習をしましょう。
自分で考えて文を構成する練習
言葉に出す練習の際にポイントとなるのが、スピーキングと暗唱は別物であるということを忘れないこと。中学や高校の勉強で暗唱の練習やテストなどがあったかと思いますが、これらで覚えた単語や表現は、実践で使わないと意味がないことは社会人になった今、多くの人が感じていることだと思います。
今回勉強するスピーキングの練習は、例文をそのまま覚えて発音するのではなく、“自分で考えて発音する力をつけるため”に行います。この自分で考えるステップは、単語や、文法、表現がある程度頭に入っていないと難しいので、これらの勉強も並行して怠らずに、復習も忘れずに。はじめは例文に頼りがちですが、一つ一つの表現を自分のものにして、頭の中の英語辞書をどんどん増やしていきましょう。
まとめ
中級編2/2、いかがだったでしょうか。次回はいよいよ上級編です。
初級編と中級編で習ったことをベースに、更に英語力を上げるにはどうすればいいのかを伝授します。