最近は古着が人気ですが、作られて数十年以上経ったヴィンテージのトレーナーは特に希少価値が高く、年々その価格が上がっているそうです。
ボロボロに着古して汚れたトレーナーが、1着数万円以上…、なんとも不思議な正解ですね。
さて、そんなトレーナーは英語でも通じるのでしょうか。洋服の名前には和製英語が多いので、トレーナーもその1つかもしれません。
ということで、今回のテーマは「トレーナー」です。トレーナーの英語での正しい呼び方について、例文を交えつつ詳しく解説していきます。
それでは、早速始めていきましょう!
「トレーナー」は英語で何て言う?
日本人の私たちが思い描く洋服のトレーナーは、英語では “sweatshirt” と呼ぶのが一般的です。発音記号は「ˈswɛˌtʃɝt」、カタカナだと「スウェットシャツ」となります。
ここで使われている sweat はもともと「汗」を表す単語です。かつてウール製が多かった運動着の中、新たに開発されたコットン製のシャツの吸水性がよく、それをもとに「汗(sweat)をよく吸うシャツ(shirt)」という意味で sweatshirt と呼ばれるようになりました。
現在では、sweat だけで素材の名前を表すこともあり、”sweat ○○” の形で色々な洋服が販売されています。
Young people these days are styling sweatshirts very fashionably.
訳)最近の若者は、トレーナーをとてもオシャレに着こなしているよね。
Absolutely. Some are wearing them as a matching set with sweatpants too.
訳)本当にね。中にはスウェットパンツとセットアップで着ている人もいるよ。
日本で言う「トレーナー」は和製英語?
日本ではスウェット素材のシャツを指して「トレーナー」と呼びますが、これは完全な和製英語です。詳しくは後述しますが、日本以外でトレーナー(trainer)と言うと、まったく違う人や物を指すことになります。
なぜ日本でスウェット素材のシャツをトレーナーと呼ぶようになったかというと、あるデザイナーが見たトレーナー(訓練士)が、おしゃれにスウェットシャツを着こなしていたからだそうです。
スウェットシャツ(sweatshirt)はトレーナーと呼ぶ一方で、スウェットパンツ(sweatpants)はそう呼ばない理由も、この由来を聞くと納得ですね。
Hey! That trainer wears a very fashionable trainer.
訳)ねえ! あの訓練士の人とてもオシャレなトレーナーを着てるよ(と言っているつもり)。
Hah? What do you mean? Do you refer to his shoes?
訳)え、どういう意味? 靴のこと?
アメリカ英語での trainer はどういう意味?
トレーナーのスペルは “trainer” ですが、これはアメリカ英語だと「訓練士、調教師」という意味を表します。
まず train には動詞で「訓練する」という意味があります。そこから、player(選手) や driver(運転手)などと同様、接尾辞 -er を付けることで「訓練する人」という意味で使われるようになりました。
スポーツトレーナーのように人を訓練する人の場合は「訓練士」、ドッグトレーナーのように動物を訓練する人の場合は「調教師」という訳が適切でしょう。
There’s a really good-looking sports trainer at the gym I go to.
訳)私が通うジムには、イケメンのスポーツトレーナーがいます。
イギリス英語での trainer はどういう意味?
イギリス英語の場合、trainer は運動時に着用する靴、つまり日本で言う「スニーカー」を表します。この場合、左右合わせて使う靴なので “trainers” と複数形にするのが普通です。
動詞に -er を付けると「~する人」だけでなく「~するための物」を表すこともできます。代表例は eraser(消しゴム)や ruler(定規)などです。そこから、trainer で「訓練するための物(靴)」となり、主に軍人が履いていたようなトレーニング用のスニーカーを指すようになったのです。
ちなみに、日本で言うスニーカーという呼び方は、アメリカ英語の “sneaker” を踏襲しています。こちらの意味は「忍び寄る(sneak)ための靴」であり、ゴム底で足音がしないことから名づけられました。
同じ物でも国によって呼び方が違うので、誤解が生まれないよう注意しましょう。
This is a vintage pair of really cool trainers.
訳)これは本当にかっこいいヴィンテージのスニーカーです。
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トレーナー以外の洋服の和製英語には何がある?
以上見てきたように、洋服を指してトレーナー(trainer)と呼ぶのは完全な和製英語です。洋服の名前には他にも多くの和製英語が使われているので、海外の人に伝える際には注意が必要だといえます。
ここでは、特に覚えておきたい洋服の和製英語を3種類厳選してご紹介します。
和製英語①:パーカー
フード付きのカジュアルな洋服「パーカー」は、英語では “hooded sweatshirt(フーデッド スウェットシャツ)” と呼びます。
hooded は「フード付き」という意味なので、直訳すると「フード付きのトレーナー(スウェットシャツ)」となります。また、短縮して “hoodie(フーディ)” と呼ばれることも多いです。
英語圏で “parka(パーカー)” と言うと、真冬に着るようなモコモコの防寒着を表すので注意しましょう。
和製英語②:ランニングシャツ
日本では袖無しの下着のことを「ランニングシャツ」と言いますが、英語では “tank top” と呼ぶのが一般的です。日本でもおしゃれ用途には「タンクトップ」と呼ぶ人が多いので、違和感は薄いでしょう。
tank top の名前の由来は、競泳用の水着 tank suit の上部に似ていることから。ちなみに、英語圏で running shirt と言うと、ランニング時に着用するような、速乾性のあるシャツを指すようです。
和製英語③:ワイシャツ
洋服の和製英語として「ワイシャツ」も欠かせません。これは日本人が英語の “white shirt(ホワイトシャツ)” を「(ホ)ワイ(ト)シャツ」と聞き違えた結果生まれた言葉なので、海外では当然通じません。
ワイシャツを英語で表す場合は、“dress shirt(ドレスシャツ)” や “business shirt(ビジネスシャツ)” などとするのが一般的です。
まとめ
今回は「トレーナー」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
スウェット素材のシャツをトレーナーと呼ぶのは日本だけです。同様の物を英語では “sweatshirt” と表します。
また、海外で trainer と言うと訓練士や調教師、はたまたスニーカーなどを表すので、誤解を生むことのないよう、それぞれ適切に呼び分けていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!