10代20代の若者世代で広く知られている「レベチ」と言う言葉を聞いたことはありますか?
優れたものや人に対する驚嘆を表す省略言葉として「〇〇はレベチ!」「レベチすぎる!」のように使われています。

「レベルが違う」を略して「レベチ」と言うのがスタンダードな言い方ですが、30代以上の大人世代にはあまりなじみがなく、ピンとこない人も多いのではないでしょうか?

今回は、チャットやSNSで頻繁に目にする若者言葉「レベチ」について、英語での言い換え表現と正しい使い方を紹介していきます。

 

「レベチ」とは?

「レベチ」とは?

そもそも「レベチ」とは一体何なのか?意味も使い方も全然わからない!という人のために、今どきの若者言葉「レベチ」を簡単に解説しましょう。

「レベチ」とは、「レベルが違う」を略した言葉です。
ネットスラングが発祥とされており、2015年頃から主に女子高生の間で流行し、2019年には「2019年ティーンが選ぶトレンドランキング」のコトバ編で第3位に選ばれました。

他と比べて格段に優れていると感じたときや、何かを称賛するときなどに使われます。
世間一般の見方だけでなく個人の主観からでも、「桁違いにすごい!」と感じれば「レベチ」と言えます。
人はもちろん、食べ物や生活用品、サービスなどあらゆるものに対して使えるとても便利な言葉です。

「レベチ」を別の日本語に言い換えるなら、「格が違う」や「桁外れ」、「ひときわ優れている」または「群を抜いている」などが似たような表現として挙げられます。
基本的にはポジティブな文脈で褒め言葉として使われることが多いですが、状況によってはネガティブで否定的な意味になる場合もあるので注意が必要です。

  • 良い意味で使われる「レベチ」の例
「彼女のかわいさはアイドルの中でもレベチ!」
「彼は頭がレベチすぎて、敵わない!」
「あの選手はレベチだから、勝負にならない!」
「ここのパンケーキはレベチすぎる。毎日食べられる!」
  • 悪い意味で使われる「レベチ」の例
「あいつ、レベチで数学の点数が悪い」
「この間泊まったホテル、期待してたのにサービスがレベチ」
「スマホ変えたら、前のとレベチで使いにくい」
「駅前のラーメン屋、近所の店とレベチでまずかった」

 

「レベル」と”level”の意味は違う?

「レベチ」は「レベルが違う」の略語ということでしたが、この「レベル」は、英語の”level”と同じ意味なのでしょうか?

「レベチ」の「レベル」と英語の”level”には違いがあるのか、それぞれ辞書で調べてみました。

レベル

  • 水準、質的あるいは数値的に全体としてどの程度にあるかとみたときの度合い
  • 段階
  • 水平
  • 水準器

参考:weblio辞書 goo辞書

 

level

  • the height of something
    何かの高さのこと
  • the amount or number of something
    何かの量や数のこと
  • someone’s ability compared to other people
    他の人と比べたその人の能力のこと
  • a floor in a large building
    大きな建物のフロアのこと
  • a position within a system in which people are arranged according to their importance
    人がその重要性に応じて配置される組織における地位のこと

参考:Cambridge Dictionary

「レベル」とは、ある基準に対して物事の程度や状態を示す言葉です。
一般的に、学力や技術の習熟度、品質やサービスなどにおいて、良い状態や高い能力を「レベルが高い」、一方で悪い状態や低い能力には「レベルが低い」と表現します。

日本語の「レベル」は、どうしても周囲と比較しての「高い低い」「良い悪い」を判断する基準として使われがちです。
しかし、本来の英語”level”は、他と比べた能力だけでなく、ものの高さや数量、建物の階、組織での地位など、いろいろな意味を持っています。
若者の間で広く使われている「レベチ」で略された「レベル」は、”level”の意味のうち、3.の”someone’s ability compared to other people”(他の人と比べたその人の能力のこと)に限定された使い方をしていると理解しておきましょう。

 

「レベチ」は英語で何と言う?

「レベルが違う」ことを略した「レベチ」は、英語にするとどのような表現で言い換えられるのでしょうか。

まずは「レベチ」を意味する代表的な英語表現を2つ紹介します。

 

be on another level

“be on another level” は、直訳の通り、まさに「別のレベルにいる」を意味する代表的な英語です。
「桁が違う」や「次元が違う」、「ずば抜けている」などと言いたいときによく使われます。
「レベルが違う」を英訳すると、「違う」という意味から”different”を使ってしまいそうになりますが、英語では”another”を使うと覚えておきましょう。

Aさん
I think Ghibli is on another level.
訳)ジブリ映画のクオリティはずば抜けていると思う。
Aさん
Takehiro Tomiyasu is on another level.
訳)冨安健洋選手は他と桁違いだよ。

 

be on a whole other level

“be on another level” をさらに強調した言い方で、”be on a whole other level”という表現もあります。
「全体の」や「完全な」といった意味を持つ”whole”を使うことで、レベルの違いをよりアピールできます。

Aさん
Shohei Otani is on a whole other level.
訳)大谷翔平選手は、もう別次元だ。
Aさん
Misaki Ota’s academic skills are on a whole other level!
訳)太田三砂貴さんの頭脳はレベチだ!

”be on another level”も”be on a whole other level”も、基本的にはポジティブな意味で使われます。
ただし、”be on a whole other level”の場合は、“another level”ではなく“other level”となるので間違えないように注意しましょう。

 

「レベチ」を他の英語で言い換えるなら?

「レベチ」を他の英語で言い換えるなら?

「レベチ」は、「段違い」や「格違い」「桁外れ」などと同じ意味で使われますよね。
英語でも、「レベチ」は先述した”be on another level”と”be on whole other level”以外にいろいろなフレーズに言い換えられます。

程度の差が甚だしいとき、ずば抜けた能力を称賛するときなどには、以下のような英語を使って表現してみましょう。

 

be in a different class

”be in a different class”の”class”は、学校のようにレベル分けされたクラスをイメージするとわかりやすいでしょう。
違うクラスにいる=レベルが違うという意味になります。

Aさん
He was clearly in a different class from all the other students.
訳)彼は、他のどの生徒とも明らかに格が違った。
Aさん
They were on a high level without me. I was in a different class.
訳)わたし以外みんなレベルが高くて、桁違いだった。

 

be not in the same league

”be not in the same league”の”league”は、日本語でいう「リーグ」とは少し違い、”be in a different class”の”class”と同じような意味合いを持っています。

Aさん
Mary and I are not in the same league.
訳)メアリーとわたしでは、格が違う。
Aさん
This hotel and that hotel are not in the same league.
訳)このホテルとあのホテルでは、雲泥の差がある。

 

There is no comparison

「レベチ」を「比にならないほどすごい」という意味で表したのが”There is no comparison”です。
比べるまでもないほど片方が優れているときに最適な表現といえます。

Aさん
There is no comparison between the young boy and the professional singer.
訳)ただの若者とプロの歌手では比べ物にならない。
Aさん
There’s no comparison between this wine and that one. This wine is of the finest quality.
訳)このワインとあのワインとでは、比べ物にならない。このワインは最高級だよ。

 

overwhelming

「レベチ」は、「圧倒的」を意味する形容詞”overwhelming”を使っても表現できます。
レベルが違いすぎて圧倒される、あるいは抵抗できないような状態を伝えるときにおすすめです。

Aさん
Jane felt an overwhelming urge to tell someone.
訳)ジェーンは、猛烈に誰かに話したい衝動にかられた。
Aさん
An overwhelming majority has voted in favor of the proposal.
訳)圧倒的多数が賛成の票を投じた。

 

まとめ

チャットやSNSでよく使われる若者言葉「レベチ」について、英語での言い換え表現と正しい使い方を紹介しました。

「レベチ」は「レベルが違う」を略した言葉で、「桁違い」や「段違い」、「ずば抜けた」などの日本語に言い換えられます。
文脈によって良い意味でも悪い意味でも捉えられるため、使用場面や相手には少し注意が必要です。

英語では、”be on another level”や”be on a whole other level”をはじめ、さまざまな表現に言い換えられるので、状況に応じて使い分けていきましょう。

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