「昨日のドラマで最後に出てきたのが、なんとあの女優さんだったんだよね!」
「落としたスマホを拾ってくれたの、なんとお父さんだったんだよね!」
このように、驚いたことや重要なことを強調するために文章の形を前後させることがありますよね。
英語でも、一番伝えたいことを強調するために、文章の形を工夫して伝えることがあります。
代表的なものが、「英語の強調構文」です。
この記事では、英語で大事なことを優先して伝えるための「強調構文」の作り方に加えて、強調構文に似た英語構文との見分け方も含めてお伝えします。
強調構文で強調するものとは?
強調構文では、文章の形を変えることで、自分が一番伝えたい内容を強調して伝えることができます。
例えば、「田中さんが会議室に置き忘れた財布を、鈴木さんが拾いました。」という文章があったとします。
この文章は、文の始まりから終わりまで、平坦に相手へ情報を伝えています。
しかし、この例文では、例えば以下の点を強調して伝えることができます。
※財布を「置き忘れた人」を強調
※財布を置き忘れた「場所」を強調
※鈴木さんが拾った「もの(財布)」を強調
※財布を「拾った人」を強調
このように、ひとつの文章だけでも「強調したいこと」にそれぞれ焦点が当たるだけで、4つの文章に変化したのがわかりますね。
(※田中さんが落としたものと、鈴木さんが拾ったものとで、共通したものを強調するのをカウントすれば、4つよりも多くなります。)
また、上の4つの文章ひとつひとつで、伝えたいことの優先度が大きく変わるのもおわかりいただけるでしょう。
このように、文章の構造を変えて、一番伝えたいことを強調する構文を「強調構文」と言います。
英語の強調構文の作り方
前項では、「文章の中で一番伝えたいことを強調するために、文章が変化することがある」とお伝えしました。
それでは、英語で強調構文を作るときは、どのように作ることができるでしょうか?
順番に見ていきましょう。
「財布を置き忘れた田中さん」の例文
前項でお伝えした「田中さんが会議室に置き忘れた財布を、鈴木さんが拾いました。」という文章を元に、英語で強調構文を作っていきましょう。
まずは、元となる文章の「田中さんが会議室に置き忘れた財布を、鈴木さんが拾いました。」を英語にしてみます。
訳)田中さんが会議室に置き忘れた財布を、鈴木さんが拾いました。
例文を元に、前項でお伝えした「一番伝えたい部分」を強調して、英語で文章を作り替えてみます。
訳)鈴木さんが会議室で拾った財布を置き忘れたのは、田中さんだったんだよ。
※財布を「置き忘れた人」を強調
訳)田中さんが財布を置き忘れたのは、会議室だったんだ。
※財布を置き忘れた「場所」を強調
訳)鈴木さんが会議室で拾ったのは財布だったんだ。
※鈴木さんが拾った「もの(財布)」を強調
訳)田中さんが会議室に置き忘れた財布を拾ったのは、鈴木さんだったんだ。
※財布を「拾った人」を強調
↑のように、英語で強調構文を作るには、強調したい情報を先に「It is ◯◯(強調したいこと)」の形を作っているのがわかりますね。
どうして?英語の強調構文が「It is ◯◯ that 〜」になる理由
「財布を置き忘れた田中さん」の例文を、英語の強調構文にすると「It is ◯◯ that 〜」の形になることがわかりましたね。
それでは、どうして英語の強調構文では”It is ◯◯ that 〜”の形を取るのでしょうか?
それは、「英語が、大事なほど先に伝える言語」だからです。
日本語では、大事な情報ほど文章の後ろの方に持ってきます。(例:田中さんの財布を拾ったのは、鈴木さんだった。)
日本語は一番聞いて欲しい情報を言うために、「場を整えてから」話すイメージです。
対して英語では、先に「私が伝えたいのはコレなんだ!」といった感じで、先に一番伝えたい事を言って、後から場を整えるイメージで構成していく言語だと言えます。(例:It was Mr.Suzuki who picked up the wallet.)
英語は「先に文章を完成させる」と、それが骨格になって頭に入りやすいわけですね。
以上のことから、「英語は大事なことほど先に話すタイプの言語。だから強調したいことを先に『It is ◯◯ that 〜』の形で表す。」と言えるわけですね。
強調構文との見分け方は?その他のitを使った構文
前項では英語の強調構文が”It is ◯◯ that〜”の形で表されることをお伝えしました。
しかし英語には強調構文の他にも”It is ◯◯ that〜”の形になる構文があります。
例えば、「形式主語」や、「同格のThatが使われている主語がItで始まる文」をよく見かけますね。
「形式主語」や「Itから始まる同格のThat」と、強調構文とでは、「Thatより後ろの構文の形」で見分けることができます。
まず、強調構文の”that”よりも後ろは、文章が完成していない「不完全文」になります。
例えば、「財布を置き忘れた田中さん」の例文のひとつをみてみましょう。↓
訳)鈴木さんが会議室で拾ったのは財布だったんだ。
この例文は強調構文なので、”that”以下の文章は「不完全文」になるはずです。
例文の”that”以下は”Mr.Suzuki picked up in the meeting room.”となっています。
一見すると完全な文章になっているように見えますが、実は“pick up”の「目的語」の部分がすっぽりと抜けています。
ですから、文章が完成していない「不完全な文」と言えるわけです。
対して「形式主語」や「Itから始まる同格のThat」は、”That”より後ろが完全な文章になります。
- It is essential that we complete the project on time.
プロジェクトを予定通りに完了することは不可欠だ。(形式主語) - There is one issue we should not forget. It is the fact that the gas price is increasing.
忘れちゃいけないことがあるよ。それはガソリン代が上がってることだ。(”It”から始まる同格の”that”)
上の例文の、形式主語、”it”から始まる同格の”that”では、”that”より後ろが完全な文章になっていることがわかります。
このように、同じ”It is 〇〇 that〜”の形でも、”that”以下の英語を見ることで強調構文かどうかを判断しやすくなるわけですね。
まとめ
この記事では、英語で大事なことを強調したい時に使える「強調構文」を、英文構造の作り方と、強調構文に似た文章との見分け方とでお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、英語を話す外国人に、強調して伝えたいことをメリハリをつけて言えるだけの知識が身についているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語表現をより豊かにできれば幸いです。