今回のテーマは「普及」です。
英語で「普及」を表す単語は主に7種類挙げられますが、それぞれの持つ意味やニュアンスの違いについて詳しく解説します。
また、記事の後半では「普及させる」「普及する」と動詞で表現する方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「普及」は英語で何て言う?
英語で「普及」を意味する言葉は、以下の10種類です。
- spread
- popularization
- dissemination
- proliferation
- diffusion
- ubiquity
- penetration
一括りに「普及」といっても、それぞれにニュアンスが異なります。一般的に使用されやすい順に並べているので、番号の若いものから順に覚えておくとよいでしょう。
それぞれの違いについて、以下で詳細を確認していきます。
普及①:spread
「普及」の意味で最も一般的に使われる単語が “spread(スプレッド)” です。
spread はもともと、物理的なものを含め、何かが広がる様子を表します。そのため、パンにバターを塗って広げることも、ウィルスが蔓延することも、技術が普及することも、すべて spread で表現可能です。
また、spread は同じ形で「普及」という名詞としても、「普及する」という動詞としても使用できます。
The spread of smartphones has changed the world.
訳)スマートフォンの普及が世界を変えました。
普及②:popularization
“popularization(ポピュラリゼーション)” は、物事が一般人の間に普及する様子を表します。
popularization の語源は「人気」を意味する popular です。それに「~化」を意味する -ization という接尾辞が付くことで、「人気化すること⇒普及」という意味になりました。
popularization は特に、ポジティブな情報が一般に普及する意味で使われます。そのため、どんなに有名なものであっても、ウィルスや悪評などの普及の意味では使われないのが一般的です。
The popularization of electric vehicles is likely to have a positive impact on the Earth’s environment.
訳)電気自動車の普及は、地球環境に良い影響を及ぼすでしょう。
普及③:dissemination
“dissemination(ディセミネーション)” は、情報やアイデアなどの普及を表します。
dissemination を分解すると「dis-(バラバラに)seminate(種まきする)-ion(名詞化)」となっていて、もともとは物理的に植物などの種をまくことを意味していました。
そこから、比喩的に「考えの種」としての情報やアイデアを普及させることを意味するようになり、現在ではそちらの意味の方が一般的になりました。
The dissemination speed of information through media has significantly increased compared to five years ago.
訳)メディアによる情報の普及速度は、5年前と比べて格段に速くなっています。
普及④:proliferation
“proliferation(プロリフェレーション)” は、何かが急激に拡散したり増殖したりするような普及を表します。
pro が「前に」、liferate は「産む、増やす」を意味し、生物が子孫を多く残して増殖していく様子を表すのが原義になっています。
ポジティブからネガティブまで色々な意味で使えますが、強いて言うと、兵器や薬物、病原菌などのネガティブなものが普及する意味で使用されることが多いです。
To prevent the proliferation of illegal drugs among the youth, the government is strengthening regulations.
訳)若者の間に違法ドラッグが普及しないよう、政府は条例を強化しています。
普及⑤:diffusion
“diffusion(ディフュージョン)” は、情報や知識などが徐々に普及する様子を表します。
diffusion はもともと、物質が密度の濃い部分から薄い部分に拡散していく様子を表していました。その後、それを比喩的に解釈するようになり、人々の間に情報が広まっていくイメージで使われるようになったと考えられます。
また、diffusion はファッションにおける廉価版ブランドの意味でも使われます。こちらの方が、日常生活では目にする機会が多いといえるでしょう。
To enhance the brand’s diffusion in Japan, they have launched a diffusion line.
訳)そのブランドは、日本での自社ブランドの普及を促進するため、廉価版ラインを立ち上げました。
普及⑥:ubiquity
“ubiquity(ユビキティ)” は、事物や情報が広範囲にわたって普及している様子を表します。
ubiquity の語源は、ラテン語で「どこにでもある」を意味していた ubique という単語です。そこから、普遍的なものとして何かを普及させる意味で使われるようになりました。
ちなみに、2000年代にいつでもどこでもインターネットに繋がれる社会を「ユビキタス社会」と呼んでいましたが、このユビキタスは ubiquity の形容詞形が元になっています。
最近の言葉だと、「IoT(Internet on Things)」や「DX(Digital Transformation)」などが似た意味で使われていますね。
The ubiquity of convenience stores has made our lives more convenient, but at the same time, it has also led to a certain level of uniformity.
訳)コンビニの普及は、私たちの生活を便利にしましたが、同時に画一的にもしました。
普及⑦:penetration
“penetration(ペネトレーション)” は、商品やサービスなどが急速に市場に普及する様子を表します。
penetration は「貫く」という意味の動詞 penetrate を名詞化したもので、もともとは物体が何かを物理的に貫通する意味で使われていました。そこから、「まるで世の中を貫通するかのように」という比喩的なイメージで、革新的な商品などを説明する際に使われるようになりました。
The successful penetration of the new product into the market was due to its unique features and competitive pricing.
訳)新製品の市場への普及が成功したのは、その独自の機能と競争力のある価格設定あってのことです。
「普及させる」や「普及する」など、普及の関連表現を英語で言ってみよう
ここからは、「普及」を動詞にして「普及させる」「普及する」と表現する際、どう言えばよいかを確認していきましょう。
「普及させる」in English
「普及させる」と英語で言いたい場合は、先述の「普及」を表す単語を動詞にすれば、同様のニュアンスで使えます。ただし、ubiquity だけは動詞形が存在しないので注意してください。
それぞれの名詞と動詞の対応関係は、以下表の通りです。
名詞形「普及」 | 動詞形「普及させる」 |
spread | spread(スプレッド) |
popularization | popularize(ポピュラライズ) |
dissemination | disseminate(ディセミネート) |
proliferation | proliferate(プロリフェレイト) |
diffusion | diffuse(ディフューズ) |
penetration | penetrate(ペネトレイト) |
「普及する」in English
「普及する」と自動詞で表現する場合、言い方はさまざま考えられますが、最も一般的なのは “become common” や “become popular” を使った言い方です。
ここまでご紹介してきた「普及」を意味する単語は難しいものが多いので、上手く説明できない場合は、become common や become popular で言い直して説明してみると、スムーズに理解してもらえるかもしれません。
I saw the word “dissemination” in the newspaper. What does it mean?
訳)新聞で「dissemination」って単語を見たんだけど、これってどういう意味?
Ah, it basically means something becoming common.
訳)あー、要は何かが普及するって意味だよ。
まとめ
今回は「普及」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
「普及」を意味する英単語として7種類を挙げましたが、最も一般的なのは “spread” です。そのため、どれを使うか迷った場合は spread と言っておけば間違いないでしょう。
今回ご紹介したことを参考に、英語でも色々なニュアンスの「普及」を表現してみてください。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!