英語の勉強を進めていくと、似たような英単語が登場して紛らわしく感じることもあるでしょう。似ている単語は多くのものがありますが、その1つとして挙げられるのがanythingとsomethingです。これらは共に中学生で習う英単語ですが、上手に使おうとすると難しいかもしれません。それぞれの単語の意味と正しい使い方を知る必要があります。

疑問文や否定文におけるanythingとsomethingの違い

anythingとsomethingは両者とも日本語に訳すと「何か」という意味になります。言葉は同じですが、これらは使い方が全く異なるのです。まずはanythingについて解説していきます。中学校の授業では、疑問文や否定文を用いる際にanythingを使うと習います。厳密に言うとそれは正しいわけではないのですが、anythingの方が疑問文等には使いやすいでしょう。その理由は、anythingを使った疑問文が相手の想定される答えに関係なく使えるからです。somethingを使って疑問文を作る場合は、相手が「Yes」と答えられるような状況でなければなりません。

疑問文におけるanythingとsomething

例えば、カフェで食事する際には必ず店員が以下のように聞いてきます。食事をするなら何か飲み物が必要だろうという意図のもとで聞いています。半ば決まり文句のような会話です。このようなシチュエーションであればsomethingも疑問文に使えるのですが、実際にはなかなか相手が決まって肯定する状況は多くないでしょう。紛らわしくなるのを避けるため、疑問文にはanythingを使うと習うことが多いのです。

Aさん
Would you like something to drink?
訳)何か飲み物はいかがですか?
Aさん
Do you buy anything here?
訳)ここで何か買いませんか?

anythingを使った上の例では、良い商品があれば「いいよ」と返されることも想定できますし、品揃えが悪かったら「別の店で買おうよ」と返されるかもしれません。このように、特段答えが決まっていない状況ではanythingを使うべきだとされています。あまり大きな違いがないようにも思えますが、これらの単語を使い間違えるだけで違和感もまた大きくなっていきます。

Aさん
Can I get something to drink?
訳)何か飲むものをもらえませんか?

また、疑問文は質問だけでなく、依頼する際にも使用される表現です。言い換えれば、何かをお願いするときに疑問文の形で伝えることができます。その場合にもanythingやsomethingを用いるようになりますが、条件は上述したものと変わりはありません。somethingの場合は、相手が必ず肯定するような状況で使えます。同じようにカフェを想定して文章を作りますが、逆に顧客の方から店員に「何か飲むものをもらえませんか?」と尋ねることもあるでしょう。それならば、somethingを使った質問ができます。まさか顧客に対してカフェ側が飲み物を提供しないことはないからです。

Aさん
Can you give me anything to eat?
訳)何でもいいから食べるものを頂戴。

一方で、同じような依頼でも相手が断るというケースもあります。もし、友達に「何でもいいから食べるものを頂戴。」と尋ねたとしても断られることはあるでしょう。ここで記されているanythingは「何でも」と訳すのが一般的です。使い方に応じて、「何でもいい」と表すこともあります。このように疑問文でもシチュエーションによって、2つの使い方があるのは押さえておくことが重要です。ただ、anythingとsomethingの意味は大きく変わらないので、覚える上ではそれほど難しくありません。

否定文におけるanythingとsomething

anythingを否定文で訳すと「何も」という意味になります。中学校では、anythingが否定文で使うべきだと習いますが、果たしてsomethingは使用できないのでしょうか。これも、全くもって使えないというわけではありません。つまり、厳密にはsomethingも否定文で用いることができます。ただし、これには条件があり、必ず主語として使わなければならないのです。先程、anythingやsomethingを使った英文を紹介しましたが、その文では目的語として両者を使いました。「~を」と表されるのが目的語です。

Aさん
Something is not right.
訳)何か間違っている。
Aさん
I don’t eat anything.
訳)何も食べたくない。

主語でsomethingを使うといわれてもイメージがわきづらいかもしれません。しかし、「何か間違っている。」というフレーズを聞いたことはないでしょうか。日常生活においても、頭の中でこのセリフを思い浮かべる状況はあるはずです。これがsomethingを主語で用いた良い例です。中学校では習わないかもしれませんが、現実世界であればこのセリフ自体は頻繁に使われています。とはいえ、あくまでsomethingを使った否定文は限られています。目的語として使用できるanythingの方が否定文に用いる頻度も高いでしょう。この使い方であれば中学校でも習います。

anythingとsomethingの肯定文と構造

これまでは疑問文と否定文に目を向けていきましたが、両者の英単語は肯定文においても使用する頻度が高いです。中学校では、肯定文を書くのであればsomethingを使うべきだと習います。しかし、疑問文や否定文と同じで、実際にはanythingも肯定文で用いられています。もちろん、両者で使い方も大きく異なるので正しく使い分けることが必要不可欠です。はじめにsomethingを解説していきますが、こちらの単語はこれまでと同様に「何か」と訳されます。この使い方は極めてオーソドックスで、中学生でも理解できる方は多いです。

Aさん
I want something to drink.
訳)何か飲むものが欲しい。

somethingを使った肯定文に慣れている中で、anythingをどのようにして使用するか分からない方も少なくないかもしれません。とはいえども、使い方自体はそこまで難しくもないです。先述した疑問文の説明でも、anythingは「何でもいい」と訳す場合があると解説しました。それを文にして当てはめていきながら確かめてみましょう。中学校では習わないかもしれませんが、これも実際には多く使われている表現方法です。覚えておいて損はないでしょう。

Aさん
I can eat anything here.
訳)ここにある食べ物は何でも食べられる。

このように似ている2つの単語を説明しましたが、anythingとsomethingの区別が上手く付けられない方も多数存在します。万が一、両者の区別が付けられなくなったときは、thingを取り除いて考えるといいです。それぞれの単語からthingを取り除くとanyとsomeになります。anyは疑問文では「どれか」、否定文だと「どれも」と訳される単語です。someは肯定文で「いくつかの」と日本語に直されます。この双方の単語に「もの」という意味にあたる「thing」が付いているだけです。主に疑問文で使うのはどちらかと悩んだ場合は、thingを取り除いた単語の意味で考えると分かりやすくなります。

Aさん
something is not right.
訳)何か間違っている。
Aさん
Anything is fine.

さらに、anythingとsomethingは単数扱いです。これらの単語は不特定のものを対象にしているため、複数扱いにはなりません。この点で同じような構造をしたeverythingとは違います。「something is not right.」が、もし複数扱いになるなら「something are not right.」と書くはずです。しかし、実際にはareではなくisを用いるのが正しいとされています。anythingも肯定文で使う際に使用するbe動詞はisです。文を作るときには間違えないよう心がけましょう。

anythingとsomethingの違いに関するまとめ

中学生で習うanythingとsomethingは疑問文や否定文、肯定文ごとで使い分けるために覚えやすいかもしれません。それでも、実際に使われる両者の単語は思っている以上に複雑となっています。基本的にはanythingは「何でもいい」、somethingが「何か」と切り分けて覚えるといいでしょう。その際には、シチュエーションを思い浮かべてみると記憶がより容易になります。