歯医者さんでする抜歯から病院で行なわれる大きな手術まで、使用されるのが麻酔です。麻酔を打たれて感覚がなくなるのは、麻痺している状態だからですね。

怖いという人も多い麻酔ですが、皆さんは英語で言えますか?

この記事では、麻酔や注射にまつわる英語表現を見ていきます。
医療に関する英語表現は難しいのでは?という印象がありますが、この機会にベーシックなフレーズだけでも覚えましょう。

「注射」の英語表現

「注射を打つ」「麻酔を打つ」の英語フレーズ

麻酔は注射の一つですが、他にもいろいろな注射があります。
注射は大きく分けて皮内注射・皮下注射・静脈注射・筋肉内注射・その他で、例えば、インフルエンザなどのワクチンでは皮下注射の方法がとられています。

注射の英語

まずは、全体を表す注射をみていきます。
注射の英語は名詞 “injection(インジェクション)”で、薬品の注射や注入を意味します。薬を注入することから、injectionはmedicine(薬・薬剤)という捉え方ができます。

Aさん
My left arm was very tender after the injection.
訳)注射の後、左腕がとても痛かった。
Aさん
I hate any injections as it hurts.
訳)どんな注射も痛いから嫌いです。
Aさん
My child was brave and didn’t cry when he was given an injection.
訳)子どもは勇敢で注射を打たれたとき泣かなかったの。
Aさん
Injections are usually used for drugs which need to act quickly or do not absorb well in the digestive system.
訳)通常、注射は迅速に作用する必要があるか、消化器系で十分に吸収されない薬物に使用されます。

注射のスラング

注射のスラング表現としては、イギリスで使われるjab(ジャブ)、そしてアメリカではshotがあります。flu jab/flu shotでインフルエンザ注射です。
このジャブはボクシングのジャブにも使われます。鋭い突きという意味から注射もボクシングもイメージができるでしょう。

全身麻酔・局所麻酔の英語表現

全身麻酔・局所麻酔の英語表現

ここでは、麻酔について様々なフレーズを紹介しましょう。
麻酔は痛みをなくして、手術による体への負担から守る役目があります。赤ちゃんを産むお母さんが局部麻酔の注射をすることもありますね。麻酔は、大まかに分類すると、全身麻酔と局所麻酔に分けられます。
ちなみに、10月13日は”麻酔の日”。これは、1804年の10月13日に華岡青洲が全身麻酔による乳がん摘出手術に成功した日だからだそうです。

麻酔は英語にすると “anesthesia(アネスシージア)”になります。全身麻酔にも局所麻酔にも使われる単語ですのでぜひ覚えましょう。

Aさん
In Japan, October 13 is “Anesthesia Day.”
訳)日本では、10月13日は「麻酔の日」とされています。

全身麻酔の英語

ご存知の方も多いと思いますが、全身麻酔は患者が眠っているうちに手術が行なうためのものであるとともに、体を動かないようにし医師にとって手術の妨げにならないようにします。全身に麻酔をかけるということは睡眠とは異なるため、人工呼吸が必要になります。

全身麻酔の英語は “general anesthesia”です。

Aさん
General anesthesia is a state of controlled unconsciousness.
訳)全身麻酔は、コントロールされた無意識の状態です。
Aさん
The anesthesiologist explained why I need a general anesthesia.
訳)麻酔科医は、全身麻酔が必要な理由を説明してくれました。

局所麻酔の英語

一方、局所麻酔は意識を失わせずに、痛みを感じる神経を一時的に麻痺させ手術を行なう方法です。

局所麻酔の英語は “local anesthesia” か “regional anesthesia” といいます。厳密に言えば、その2つには違いがあります。”local anesthesia”は体の小さな部分を麻痺させる局所麻酔ですが、”regional anesthesia”は 体のより大きな部分の痛みをブロックする局所麻酔です。

日本語にすると、どちらも「局所麻酔」になってしまいますが、「局所麻酔」を表す英語には、”local anesthesia” か “regional anesthesia”があって、使い分ける必要があります。出産のときの硬膜外麻酔は、”regional anesthesia”です。

Aさん
Local anesthesia is a one-time injection of medicine that numbs a small area of the body like cataract surgery or skin biopsy.
訳)局所麻酔 (local anethesia)は、白内障手術や皮膚生検など体の小さな部分を麻痺させる薬の1回の注射です。
Aさん
Regional anesthesia blocks pain in a larger part of your body, like a limb or everything below your chest. 
訳)局所麻酔(regional anethesia)は、手足や胸から下など、体の大きな部分の痛みをブロックします。
Aさん
The doctor gave me a regional anesthesia for my birth.
訳)医師は出産のために局所麻酔(regional anethesia)をしてくれました。

鎮静の注射

麻酔は、大まかに「全身麻酔」と「局所麻酔」に分類されますが、「鎮静」の注射もあります。

「鎮静」は、英語で “sedation”といいます。

Aさん
Sedation is also called “twilight sleep”
訳)鎮静は、「トワイライト・スリープ」とも呼ばれます。

Aさん
Examples of procedures often performed with sedation include wisdom teeth removal, cardiac catheterization and some colonoscopies.
訳)親知らずの抜歯、心臓カテーテル検査、大腸内視鏡検査など、鎮静剤を使用して行われることが多い処置の例です。

「鎮静」の注射を打たれると、完全に意識がなくなるわけではありませんが、処置を覚えている可能性は低くなります。「親知らずの抜歯」や「大腸内視鏡検査」を受けたことがある人は多いでしょうが、「鎮静」の注射を打たないと、その痛みに耐えがたいですね。

「注射を打つ」「麻酔を打つ」の英語フレーズ

「注射を打つ」「麻酔を打つ」の英語フレーズ

お子さんのいる家庭では予防接種に小児科に子どもを連れていくことがありますね。
ここでは「注射を打つ」「麻酔を打つ」のフレーズについてみてみましょう。

注射を打つのフレーズ

注射を打つと言いたいときにはgive an injection/give a jab/give a shotのフレーズで表現できます。また、糖尿病のインシュリンといった自己注射では動詞takeにして表現することもできます。

Aさん
The doctor gave my daughter a polio jab.
訳)医者は娘にポリオの注射を打った。
Aさん
I have diabetes so need to take an insulin injection five times a day.
訳)糖尿病なので、1日5回のインシュリン注射を打たないといけません。

麻酔を打つのフレーズ

「麻酔を打つ」という言い方についても紹介しましょう。
麻酔の英語は何だったか覚えましたか? anesthesiaでしたね。ですので、give an anesthesiaで伝えることができます。全身麻酔や局所麻酔として英文を作ってみましょう。

Aさん
The dentist gave me a local anesthesia to remove a tooth.
訳)歯科医は抜歯のために、私に局所麻酔をしました。
Aさん
Anesthesiologists administer both general and local anesthesia, depending on the patient’s surgery or procedure.
訳)麻酔科医は、全身麻酔と局所麻酔の両方を患者の手術や処置によって打ちます。

麻酔に入っている成分の英語表現

感覚をなくし麻痺させる麻酔。麻酔薬にはどのような成分が入っているのでしょう。

以下、日本語と英語を合わせてみていきます。

  • イソフルラン isoflurane
  • セボフルラン sevoflurane
  • 亜酸化窒素(笑気ガス)laughing gas

また麻酔薬には、以下の4つまたは一部の効果が含まれています。

  • 鎮痛 pain relief
  • 筋肉の弛緩(不動化)muscle relaxation
  • 記憶の喪失(健忘)loss of memory
  • 無意識状態 unconscious state

麻酔によって起こり得る合併症

麻酔薬を使用する上で、適切な量を投与することが非常に重要です。局所麻酔薬を2種類以上使用する場合、合計量に注意する必要があります。

全身麻酔か局所麻酔かによっても違ってきますが、麻酔薬を投与されることで、合併症を発症することがあります。麻酔によって起こり得る合併症について、英文を作って確認してみましょう。

「合併症」は英語で “complications”といい、「麻酔薬」は英語で”anesthetic”です。

Aさん
Anesthetics can cause complications.
訳)麻酔薬は合併症を引き起こす可能性があります。

Aさん
Anesthesiologists should administer the appropriate dose of anesthetics for their patients depending on the surgery or medical procedure.
訳)麻酔科医たちは、手術や医療処置によって、その患者に適した量の麻酔薬を投与すべきです。

Bさん
How do they determine the right dose of anesthetic for a patient?
訳)彼らは、どうやって患者に適した麻酔薬の量を決定するのですか?
Aさん
They determine the dose of anesthetic by taking into account the patient’s weight and allergies.
訳)彼らは、患者の体重やアレルギーを考慮に入れて、麻酔薬の量を決めます。
“dose”は「1回の投与量」という意味です。麻酔薬の投与量を間違えると、大変なことになりますので、麻酔科医は慎重に患者に麻酔薬を投与しなければなりません。

「麻酔科」「麻酔科医」の英語表現

「麻酔科」「麻酔科医」の英語表現

病院には麻酔科があり、麻酔科医が執刀医と相談しながら麻酔を選択し、手術によるストレスを最小限にします。

  • 麻酔科  anesthesiology(アネスシージィオロジィ)
  • 麻酔科医 anesthesiologist(アネスシージィオロジスト)
Aさん
The anesthesiologists in the anesthesiology department are the largest group of hospital-based specialists.
訳)麻酔科の麻酔科医は、病院を拠点とする専門家の最大のグループである。
Aさん
I want to be a dental anesthesiologist in the future.
訳)将来は歯科麻酔科医になりたいです。

まとめ

麻酔や注射にまつわる英語表現について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

最後に麻酔や注射にまつわる重要な語句をまとめましょう。

  • 注射 injection
  • 麻酔 anesthesia
  • 麻酔薬 anesthetic
  • 全身麻酔 general anesthesia
  • 局所麻酔 local anesthesia / regional anesthesia
  • 注射を打つ give an injection
  • 麻酔科  anesthesiology
  • 麻酔科医 anesthesiologist

とりあえず単語”anesthesia”さえ覚えれば、全身麻酔、局所麻酔や麻酔科医など関連する表現を一気に覚えられることになります。
海外でも万が一のときに備え、知っておいて損はない英語表現です。海外旅行の際に医療機関にお世話にならない方がいいですが、日本にはインバウンドで外国人がたたくさん訪れているので、「麻酔」について外国人に説明する機会があるかもしれません。”anesthesia”はちょっと難しい単語ですが、この機会に使えるようにしましょう。