森や木の生い茂る公園のなかを歩いているとき、木立ちから太陽の日差しが漏れてくるのを見ると光と影のコントラストが美しいですね。
上方から下方へ一直線にさす光であったり、地面に映るまだらの太陽光が木漏れ日です。

記事では、木漏れ日に関する英語についてみていきます。果たして、非日常で幻想的な「木漏れ日」には英語の表現があるのでしょうか?

木の葉から漏れる日光

そもそも「木漏れ日(こもれび)」とはどのような光でしょうか?まずは、この点からみていきます。

木漏れ日はピンホール現象

木々の間から差し込む木漏れ日(または木洩れ日)ですが、葉と葉の隙き間が天然のレンズになり光を集め、太陽の形を反転させて地面に映し出される自然現象です。
このように、光が小さな穴を通ることで像を結ぶことを「ピンホール現象」と呼びます。

木漏れ日は”葉もれび”とも呼ばれる

親しみのある言葉である木漏れ日が”葉もれび”とも言われていることを知っていますか?
木漏れ日が木々の間から差し込む光という意味に対し、葉もれびは枝葉の間から漏れてくるものなのです。

木漏れ日と葉もれびは類義語ですが、一般的には木漏れ日のほうが使われています。

「木漏れ日」は英語にない表現

「木漏れ日」は英語にない表現

筆者が住むイギリスでは森や公園に行って犬の散歩、または健康のためにするウォーキングする人が多くいます。そんなときに木漏れ日を見ることがよくあります。

さて、冒頭で「木漏れ日」には英語の表現があるのか?という投げかけをさせていただきました。
皆さん、どう思いますか?ここで想像力を働かせてみましょう。

木漏れ日の英語表現は無し

実際、木漏れ日を一言で表すことができる英単語はありません。
日本人が季節、そして自然を特有の方法で尊重してきたことは侘び寂びの美学が存在することでも分かります。

木漏れ日という表現はもちろん外来語でもありませんし、木漏れ日は日本独特の表現だからこそ、当てはまる英語が無いんですね。

木漏れ日だけでなく、”manga/ninja/emoji/fugu/udon”などなど、日本特有の言葉が英語化したものは多くあります。

木漏れ日は英語に訳せない言葉

木漏れ日は英語に訳せない言葉であることは、アメリカの世界最大級とも言われるネットニュースメディアHUFFPOSTによる”11 Untranslatable Words From Other Cultures”の記事で4つ目に「木漏れ日」が取り上げられていることでも分かります。

このページから、日本の木漏れ日についてどう書いてあるのか紹介しましょう。

Japanese: Komorebi
”This is the word the Japanese have for when sunlight filters through the trees – the interplay between the light and the leaves.”

引用:HUFFPOST”11 Untranslatable Words From Other Cultures”

木漏れ日以外にも、ドイツ、イタリア、インドネシア、ハワイなどなど、このサイトには英語の表現のない言葉が載っています。

「木漏れ日」をあえて訳すなら

「木漏れ日」をあえて訳すなら

では、外国人との会話で木漏れ日をどのように訳し、伝えることができるのでしょうか?
以下、いくつかの言い方を3つみていきます。どれだけ、木漏れ日を説明できるかがキーになります。

The Long Beams of Sunlight in the Forest

ひとつ目には“the long beams of sunlight in the forest”を挙げましょう。

このフレーズを3つのフレーズに分解してみます。
the long beams / of sunlight / in the forest

– the long beams=長い光線・ビーム
※ウルトラマンなどヒーローもので目や手から光のビームを出して敵をやっつけるシーンがあります。”beam”のイメージはこのような光線です。
また、”beam”は”ray”(一筋の光・光線)という名詞にも代えられます。

– of sunlight=太陽の光・日光・太陽光・直射日光
※お日様のでる晴れの日にはサンライトを浴びることになります。

– in the forest=森のなかの・森林のなかの
※森”forest”としていますが、木漏れ日が見られる林(grove)や公園(park)に置き換えることができます。

これら3つのフレーズを組み合わせた”the long beams of sunlight in the forest”が”森のなかの太陽光による長い光線”という、木々の間から地面に差し込む直線の木漏れ日を表現するのです。このフレーズでググっていただけると、まさしく木漏れ日の画像が多く出てきます。ぜひチェックしてみてくださいね。

このフレーズを使った会話の例文をみてみます。

Aさん
It feels so good walking in the woods.
訳)森のなか歩くのとっても気持ちいいな。
Bさん
Look there, it’s a fantastic scenery; we can see the long beams of sunlight in the forest.
訳)ほらあそこ見て、木漏れ日が見えるの素晴らしい景色だ。

 

このような会話をしている目の前には何本もの木漏れ日が差し込んでいるでしょう。

Sunlight That Filters Through the Leaves of Trees

ふたつ目の表現は”sunlight that filters through the leaves of trees”になります。HUFFPOSTでの説明にも使われているフレーズです。

このフレーズでは、”that”以下が”sunlight”を説明する形になっています。”filter”=フィルターにかける・濾す(こす)、”through the leaves of trees”=木の葉を通して、ということから「木の葉を通してフィルターにかけられる太陽光」=木漏れ日のニュアンスになります。

Aさん
She is standing in the sunlight that filters through the leaves of trees.
訳)彼女は木漏れ日のなかに立っている。

Dappled Sunlight

最後に三つ目として“dappled sunlight”を紹介します。
dappledは”まだらになった・まだら模様の”という意味の形容詞です。まだら模様の太陽の光でも、なんとなく木漏れ日を表現することができるでしょう。しかし、木々だけでなく雲から漏れる光にも当てはまるため、木漏れ日を特定する表現にはなりません。

Aさん
It’s cold and there is no dappled sunlight as it’s cloudy today. Let’s hope it turns out to be sunny!
訳)今日は曇っていて、寒いし木漏れ日もないね。晴れることを祈ろう。

まとめ

世界中の人に使われる英語は、時折り元の意味にピッタリと合う表現が存在しないことがあります。本記事の木漏れ日もそのひとつです。

the long beams of sunlight in the forest
sunlight that filters through the leaves of trees
dappled sunlight

外国人とウォーキングするような機会には、このようなフレーズで木漏れ日を表現してみてください。木漏れ日についてどんな光なのかやり取りをできれば楽しいですし、その時木漏れ日があれば、それをどう表現するかぜひネイティブの言葉を聞いてみましょう。