皆さんはテコンドーという競技はご存じでしょうか。ルールなどは詳しくなくても、蹴り技をメインに使用する韓国発祥の競技ということを知っている人は多いでしょう。東京2020大会からは、テコンドーもいよいよパラリンピック競技として組み込まれました。この記事では、英語学習の観点からテコンドーをへの理解を深められるよう、テコンドーの歴史、正しい発音、例文や関連用語も併せて紹介していきます。

パラリンピックのテコンドーとはどんな競技?

テコンドー(taekwondo)は韓国における歴史は古いですが、オリンピックのような国際的な競技会で実施されるようになったのは比較的最近です。そして、テコンドーがパラリンピック競技種目として採用されるのは、今回の東京大会2020が初となります。テコンドーは多彩な蹴り技を駆使する武術競技で、パラリンピック競技に参加できるのは、主に腕や手など上肢障害を有する選手たちです。また、テコンドー選手団の監督には、国際師範や審判の資格を有する経験豊富な人物が就任するケースが多いです。

パラリンピックのテコンドー種目は、まず男女で体重別に3階級ずつに分類し、さらに上肢障害の程度に応じてK41~K44まで4つのクラスに分かれるのが特徴です。基本的なルールや着用する防具は、通常のテコンドーと何ら違いはありません。ただ、障害者向けスポーツとしてのテコンドーを、パラテコンドー(para taekwondo)と呼ぶ場合もあります。そして、今回初めてパラリンピックで採用されるパラテコンドーは、キョルギ(組手)種目ですが、知的障害者向けのプムセ(型)と呼ばれる種目もあります。オリンピック東京大会2020では、空手の型が新種目として採用され話題になりましたが、近い将来テコンドーのプムセが新競技と呼ばれる日が来るかもしれません。

テコンドーの起源や歴史

テコンドーは韓国の国技とされているように、その発祥は第二次世界大戦後の韓国にさかのぼります。朝鮮半島の古武術や中国武術、日本空手を基礎に独自の技術体系を確立したチェ・ホンヒ氏が創始者とされ、1955年にオリジナルの武術に対しテコンドーと命名しました。漢字では「跆拳道」と表記し「跆」が足の蹴り、「拳」が手の突きを表し、「道」は正しき武術道の精神を象徴します。

1973年にはテコンドーを国際スポーツへと推進するため、ソウルに世界テコンドー連盟(WTF)が設立され、1988年には「公開競技」としてテコンドー競技がソウル五輪で実施されました。順調に知名度上昇と競技人口の増加を辿ったテコンドーは、2000年のシドニー五輪で晴れて正式種目に採用。2017年に改名されたワールドテコンドー(WA)には200カ国以上が加盟し、日本では「テコンドー」、英語圏では「taekwondo」として親しまれています。そして、冒頭で触れた通り、オリンピック正式種目採用から20年後の東京大会にて、パラリンピック競技へと正式決定しました。

苦戦必至?テコンドー(taekwondo)の英語発音

それでは、テコンドー(taekwondo)の発音に焦点を当てて説明していきましょう。

韓国語に基づいたテコンドーの英語発音

テコンドーの英語表記は「taekwondo」です。本来は、英語学習の観点から言葉の由来や語源を考察するのですが、紹介したように、テコンドーは韓国発祥のスポーツです。よって、taekwondoの由来は、そのまま韓国語の「跆拳道」の発音から来ています。「跆」がtae、「拳」kwon、「道」がdoに該当し、tae kwon doと漢字ごとに分けて記載する場合もありましたが、今日では「taekwondo」と一単語で表現する方法が主流です。

テコンドーの韓国語発音を日本語で表すなら「テックォンド」といった表記が妥当で、日本語の「テコンドー」ともやや乖離のある発音になっています。さらに、英語発音は日本語のテコンドーではなく、韓国発音の「テックォンド」をベースにしており、日本語発音と比べてしまうと、何か別物を表現しているような印象さえ受けます。こうした事情から、英語圏では日本人のテコンドー発音が相手に通じないという事例が頻発しているようです。

taekwondoのアメリカ英語発音をカタカナで表すなら、「タイクワァンドォゥ」といった表記が最も近いです。片や「テコンドー」、片や「タイクワァンドォゥ」、両者を同一に捉えるのはかなり無理があるでしょう。ただ、日本語の感覚で素直に「タイクワァンドォゥ」と発声したとしても、なかなか英語ネイティブの観点からはそれらしくは聞こえないはずです。

taekwondoを英語ネイティブらしく発音するコツ

では、英語のtaekwondoを日本人がどのように発音すべきなのか、そのコツを解説していきます。跆拳道の漢字1文字目「タイ」は、舌先を前歯の裏に付けて、息を止めた状態から一気に音を破裂させるイメージ、日本語より音を前方へ飛ばす意識で「タイ」と発音しましょう。次に漢字2文字目の「クワァン」は、日本語発音と最も違う部分なので要注意です。「w」の発音をしっかり意識し、「ク」という短い発音に被せるように唇を前に突き出しながら「クワァン」をはっきり発音してください。ここを上手にこなせれば、テコンドーの日本語棒読みとは雲泥の差が生まれます。最後の漢字3文字目「ドォゥ」もまた、日本語の「ドー」発音とは別物です。二重母音の「オウ」も日本語と余り相性のよくない発音ですが、カタカナ2文字の「オウ」を実質1文字で発音するイメージで、手早く「ォゥ」と発声します。この二重母音を、日本語より破裂気味に発音した「ド」と組み合わせ「ドォゥ」発音できたら完了です。

ちなみに、taekwondoにイギリス英語発音を適用したらどうなるでしょうか。その際アメリカ英語と大きく変わるのは、真ん中の「クワァン」の部分です。「ア」より「オ」を好むイギリス英語らしく「クウォン」と「オ」寄りに発音してください。こうして、イギリス英語のtaekwondoの読み方は、カタカナ表記なら「タイクウォンドォゥ」となります。この場合、日本語読みの「テコンドー」と比べ、「コ」と「ウォン」の母音発音が類似する分、イギリス英語の方が日本語発音とやや乖離が少ないことがわかります。

taekwondoを用いた例文

taekwondoの英語例文をいくつか紹介していきます。

Aさん
I was introduced to taekwondo and decided to become a taekwondo instructor in the future.
訳)私はテコンドー競技を紹介され、将来はテコンドーの指導者になると決めました。

「introduced」と表現されていることから、当事者はテコンドーという競技に対してほとんど予備知識もなかったと推察されます。それでも「taekwondo instructor(テコンドーの指導者)」になりたいと心に決めるほどですから、同競技に一瞬で引き込まれるほどの魅力を感じ取ったのでしょう。

Aさん
He won a gold medal in taekwondo at the 2020 Tokyo Paralympics.
訳)彼は2020年東京パラリンピック大会で、テコンドー種目の金メダルを勝ち取った。

かつては「taekwondo」「gold medal」「Paralympics」が組み合わさった例文は、現実に即さない表現と捉えられたはずですが、時代を取り巻く状況はどんどん変化しているということです。既述のように、例文の文脈では「taekwondo」の部分が「para taekwondo」と記載される可能性もあります。

Aさん
The taekwondo competitions saw some of the most exciting and dramatic matches ever witnessed at an Olympic Games.
訳)テコンドー競技は、これまでオリンピックで見られた中でも最もエキサイティングで劇的な試合をいくつか目の当たりにしました。

この文は、ワールドテコンドー(WT)公式サイトより、オリンピックでのテコンドー競技の成功を褒めたたえた冒頭の文章を引用しました。
「これまで見た中で最も~」という表現はネイティブ英語において好んで使用されます。「ever seen」が最も頻繁に見られますが、この文ではseenに代わり「witnessed」と表現し、オリンピックでの歴史的成果をより強調する効果を生んでいます。

taekwondoの類似表現や関連語

taekwondoは韓国語起源の英単語のため、類似語はほとんどありません。強いて言えば、一般的表現で説明することは十分可能です。「Korean martial arts」は韓国武術を意味し、やや意味が広範に及ぶ表現ですが、相手に「taekwondo」が通じないケースなどでは最適な表現です。

次に、関連用語を確認していきます。「All Japan Taekwondo Association」は一般社団法人全日本テコンドー協会を意味し、「AJTA」という通称で表記される機会も多いです。「taekwondo school」はテコンドー教室あるいはテコンドー道場を意味します。テコンドー教室は、韓国人コミュニティーの規模が大きいアメリカでも多く見られ、taekwondo schoolは英語圏全般で目にする機会のある用語でしょう。ただし、英語圏では日本語の「道場」がかなり英語表現として溶け込んでおり、日本語発音のまま「dojo」と記載されるケースが見られるようになっています。

正しく発音できたら英語スキルをアピールできる「taekwondo」

2000年に五輪正式競技となった勢いそのままに、パラリンピック種目にも認定されたテコンドー。実は、日本人に馴染み深い「テコンドー」という発音が、英語圏の人々とのコミュニケーションを難しくしている実態があります。「taekwondo」の発音を英語ネイティブの視点でしっかり整理して、テコンドーとはほとんど似つかない英語発音を自信をもって発声できるようになってほしいです。