InstagramやX(旧Twitter)などで、「メンション」や「@」という言葉を見たり聞いたりしたことはありませんか?
「メンション」とは、相手を指名してトークやメッセージを送るときに使われる機能で、各SNSやチャットツールで広く利用されています。

この「メンション」という機能、「聞いたことはあるものの、意味までよく知らない」「実際にどのように使えばいいのかわからない」という人は意外と多いのではないでしょうか。
今回は、知っているようで知らない身近なIT用語「メンション」を、英語本来の意味と使い方とともに解説していきます。

「メンション」の意味

「メンション」の意味

「メンション」は、ソーシャルメディアやSNSなどで、特定の個人名や組織名を指名し、メッセージを送る際に使われる言葉です。
英語”mention”に由来しており、「言及する」「話題に挙げる」「名前を挙げる」といった意味を持っています。
SNSやトークアプリのほか、ビジネスチャットツールなど、さまざまなオンラインプラットフォームで広く使われています。

複数のユーザーがいるSNSでは、メッセージが連投されると重要なメッセージが埋もれてしまう場合があります。
そこで、特定の相手に話しかける、あるいは、あなた宛てのメッセージである、ということを明確に表示させたいときに役立つのが「メンション」機能です。
メンションすると通知が届くので、相手がメッセージに気付きやすくなり、確実に読んでもらえるようになります。
「メンション」機能は、LINEやInstagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTokなどの各SNSのほか、ビジネスに特化したメッセージアプリであるSlackやChatwork、LINE WORKSなどでも頻繁に使われています。

 

「メンション」を表す「@」記号

「メンション」機能は、LINE、Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTok、YouTubeなどいろいろなSNSで利用されています。
「@…」のように「@」記号に続けて、メッセージを送るユーザー名やアカウント名を入れて使うのが一般的です。
代表的なSNSでの「メンション」方法をまとめました。

LINE グループトークとタイムライン、LINE VOOMで利用可能
「@相手の名前」を入力するか、「@」入力後に表示されたグループメンバーから選ぶ
メンションすると相手に通知が届く
Instagram 「@ユーザーネーム」を入力する
メンションすると相手にダイレクトメッセージが届く
メンションされると投稿を自分のストーリーズにリポストできる
X(旧Twitter) つぶやきの文中に「@ユーザー名」を入れる
メンションした相手のプロフィールページへのリンクが貼られる
メンションした内容は自身の発信としてタイムラインに表示される

なお、相手の通知設定がオフになっていると、メンション通知が届かない場合もあります。メンションに気づいていないこともあるのだということも念頭においておきましょう。

「メンション」と「リプライ」の違い

「メンション」と似ている言葉でしばしば混同されやすいのが、「リプライ」や「ダイレクトメッセージ」です。
特定の相手に向かって話しかけるという意味合いでは、「メンションもリプライもダイレクトメッセージも全部同じでは?」と思った人もいるのではないでしょうか。

利用するSNSによって仕様や設定は異なりますが、メンション、リプライ、DMには以下のような違いがあるので紹介します。

メンション 特定のユーザーにメッセージを送ること
内容は他のユーザーも閲覧できる
リプライ 既存のメッセージや投稿に対して返信すること
ダイレクトメッセージ 特定のユーザーに送る、内容が不特定多数に公開されないメッセージのこと

メンションとダイレクトメッセージは、特定の相手に対してメッセージを送るという点では共通しています。
メッセージの内容が公開されるのがメンション、公開されないのがダイレクトメッセージです。
リプライは相手のメッセージや投稿に対して返信する場合に使われる機能のことを指します。

”mention”の意味

「メンション」は、英語の”mention”に由来したカタカナ言葉です。
”mention”は、辞書で以下のように定義されています。

【動詞 他動詞】

  • …について(簡潔に)言及する,軽く触れる
  • …を(人に)話す、…を(…であると)言う、(…であると/…かと/…すると)言う
  • …の名をあげる
  • (功績・業績などをあげた人に)公式に言及する

【名詞】

  • 言及する(される)こと、(短い)言及、陳述 ※単数形
  • 寸評
  • 名前をあげること ※単数形
  • (功績・業績のゆえに)公式に認められ(表彰される)こと ※単数形

参考:goo辞書

【verb】

  • to speak about something quickly, giving little detail or using few words
    何かを手短に話す、あまり詳しく語らない
  • to refer to something or someone
    何かや誰かを指し示す

【noun】

  • a short remark or written statement
    短い発言または文章
  • an occasion when something or someone is mentioned
    物や人について言及する機会

参考:Cambridge Dictionary

英和辞書でも英英辞書でも、”mention”=「言及する」の意味で載っていますが、日常会話ではもう少し軽いニュアンスで使われることが多いです。
内容を深く語らずに「軽く話に出す程度で発言する」「その話にちょっと触れる」「話題に出す」ような感じをイメージするとわかりやすいでしょう。

ちなみに、”mention”と同様に何かを言うことを意味する”say”は、「何かをはっきりと言う」と、具体的な内容を詳細に伝える際に用いられます。
”mention”は、”say”に言い換えても意味は通じますが、軽く話題に触れる程度の”mention”とはっきりと言う直接的な”say”では、ニュアンスに微妙な違いが生じてしまいます。
日本語訳では差がないように思いがちですが、それぞれの文章が表現する意味は異なるので注意して使い分けましょう。

”mention”の発音記号は、 /ˈmen.ʃən/ で、カタカナでは「メェンシャン(ヌ)」のように読みます。
「シャ」の部分は、口をあまり開かず、弱く曖昧な音になるようにしながら「シャ」、最後は、「ン(ヌ)」のように、「ヌ」を付け足す気持ちで発音すると言いやすいです。
英語本来の正しい発音を何度も聞いて慣れ、いざというときにパッと発音できるようにしましょう。

”mention”の語源は、ラテン語の”mentio”(言及する)が古フランス語を経て、現代の”mention”に変化してきました。
13世紀後半に「言及、触れること」の意味で使われ始め、14世紀後半には「〜に言及する、〜について述べる」という動詞としての用法が現れます。
16世紀になると、「〜の名前を出す、〜に触れる」という意味が加わり、会話や文章の中で、特定の事柄や人物に焦点を当てる役割も果たすようになりました。

 

”mention”を使った例文

”mention”を使った例文

最後に、”mention”を使った例文を用法ごとに分けて紹介します。
動詞と名詞どちらの使い方か迷う、というときは以下の例文を思い出して、正しく判断できるようになりましょう。

動詞としての”mention”

動詞として使われる場合の”mention”は、目的語を必要とする他動詞なので、”mention”の後ろにはすぐ目的語を置くのが原則です。
誰に述べたのか、相手をはっきりさせたいときは、<mention + to + 人 +that 〜>の形をとることもあります。

Aさん
Emily mentioned that she would be late for the meeting.
訳)エミリーは、会議に遅れると簡単に説明しました。
Aさん
Carl didn’t mention anything about the party.
訳)カールは、そのパーティーについて何も触れませんでした。
Aさん
Mia mentioned seeing him at the store.
訳)ミアが、お店で彼を見たと言っていました。
Aさん
My daughter mentioned to me that she would go shopping in Shinjuku.
訳)娘は、新宿へ買い物に行くと言ってきました。

 

”Don’t mention〜”(言わないでね)の言い方も覚えておくと便利です。

Aさん
Don’t mention the matter to anyone.
訳)そのことは、誰にも言わないでください。
Aさん
Don’t mention it [that].
訳)黙っておいてね。/ どういたしまして。
※お礼を言われたときの返事になると「たいしたことはしていません。」のようなニュアンスで「どういたしまして」と訳される

名詞としての”mention”

名詞として使われる場合の”mention”は、言及そのものや触れること自体を指します。
日本語では、「言及」「陳述」「話題」「褒章」などと訳されることが多いです。

Aさん
Harry made no mention of her request.
訳)ハリーは、彼女の要求について一切触れませんでした。
Aさん
My boss made a mention of the new project in her speech.
訳)上司は、スピーチで新しいプロジェクトについて言及しました。
Aさん
The article has a brief mention of that historical event.
訳)その記事には、あの歴史的な出来事のことが書かれています。
Aさん
Although James didn’t win the prize, he did receive a special mention.
訳)ジェームズはその賞を取りませんでしたが、特別賞を受賞しました。

 

まとめ

知っているようで知らない身近なIT用語「メンション」について、英語本来の意味と使い方とともに解説しました。

「メンション」は、”mention”からきたカタカナ言葉です。
”mention”には、「言及する」「話題に触れる」といった動詞の意味と、「言及すること」「陳述」「褒章」といった名詞の意味があります。
SNSやチャットツールなどで広く利用されている「メンション」ですが、カタカナをそのまま英会話に用いると思わぬ誤解を生んでしまいます。
聞きなじみのある言葉だからこそ、英語本来の発音と意味、用法をしっかり理解して、正しく使いこなしましょう。

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