パラリンピックではオリンピックと同じように、毎回幅広いジャンルの競技が開催されています。パラリンピックでは回を重ねるごとに、次々と新しい競技が追加されていて、2020東京パラリンピックでも新競技がいくつか追加されています。バドミントンも2020東京パラリンピックから正式競技となったスポーツですが、ここでは、英語でパラリンピックのバドミントンのことを話したい時に使用できる表現について、詳しく紹介します。

パラリンピックのバドミントンに関する基本的な知識

パラリンピックで開催されるバドミントン競技は、英語では「badminton」と書きます。通常のバドミントンと区別するために、「パラバドミントン」という競技名が使用されることもあり、英語の表記は「Para-badminton」です。パラバドミントンは障がいの種類によって、参加できる種目が異なり、複数の種目が開催されています。各種目はさらに細かいクラスに分類されていて、車椅子を使用している障がい者が参加ができるのがWHの各クラスです。英語でもWHと表記しますが、WHとは車椅子を表す英単語である「wheelchair」を縮めた言葉です。WHにはWH1とWH2の2つのクラスがあり、障がいの状態によって選手が参加できるクラスが異なっています。WH1は両方の下肢と体幹機能に障がいがある選手が参加できる種目で、WH2は両方もしくは片方の下肢に障がいがある選手が参加できるクラスです。

パラバドミントンには「立位」という種目もありますが、これを英語に訳すと「standing」になります。立位は通常のバドミントンと同じように、立った状態でおこなう競技ですが、選手の持っている障がいの種類により細かくクラス分けがされています。「SL3」は下肢障がいがある選手の参加できるクラスです。「SL4」も下肢に障がいがある選手のためのクラスですが、SL3より障がいの状態が軽い選手を対象にしています。「SU5」というクラスもありますが、これは上肢に障がいがある選手が参加できる種目です。なお「SU」と「SL」という言葉の違いは、それぞれ「上肢」と「下肢」を英語に翻訳した単語に由来していて、英語では「上肢」のことを「upper limbs」と言い、下肢のことを「lower limbs」と言います。

パラバドミントンでは「低身長」という種目もありますが、これは身長が通常よりも低い障がい者が参加できる種目です。遺伝や軟骨無形成症などにより、身長が伸びなかった人などが対象になっています。この種目を英語で表すと「Short stature」となり、この種目に属するクラスはSH6です。

パラバドミントンに特有のルール

パラバドミントンに特有のルール

パラバドミントンのルールは基本的にバドミントンと共通していますが、障がいを持っている人でも試合がしやすいように、若干ルールが変更されている部分もあります。特に大きな違いとして挙げられるのが、使用するコートの広さです。一般のバドミントンの場合にはコートの全面を使用して試合がおこなわれますが、パラバドミントンでは種目によって、使用するコートの広さが異なっています。

車椅子を使用している障がい者が参加する種目では、コートの半面だけを使用して試合がおこなわれます。これは、車椅子を使用している人でもコートの中を自由に動きやすいに考慮されたものです。コートの面積が限られている分、通常のバドミントンよりも試合のテンポが速くなるのが特徴です。「コートの半面」を英語に訳したい場合には「half of the court」という表現を使用することが可能です。

Aさん
They played a game of para-badminton, using half of the court.
訳)彼らはコートの半面を使用して、パラバドミントンの試合をした。

立位はクラスによって使用するコートの広さが異なっていて、SL3は車椅子と同じようにコートの半面を使用して試合をおこないます。SL4とSU5は通常のバドミントンと同じように、コートの全面を使用して試合をするルールです。低身長のSH6クラスも、コートの全面を使用して競技をおこないます。なお「コートの全面」を英語で表現したい場合には、「the entire court」という英語を使用できます。

パラリンピックにおけるバドミントンの歴史

パラリンピックのバドミントン競技は、2020東京パラリンピックから初めて正式競技として開催されるため、東京のパラリンピックから新しい歴史が作られようとしています。オリンピックの正式競技となる前から、障がい者のためのスポーツとしてバドミントンはおこなわれていて、その歴史は1990年代までさかのぼることができます。競技人口が世界的に増加したことにより、世界パラバドミントン連盟という組織も結成され、1998年からは世界選手権も開催されるようになりました。

2011年の総会において、世界パラバドミントン連盟が世界バドミントン連合に合流することが全会一致で可決されたことにより、それ以降は世界バドミントン連合が中心になって、パラバドミントンの大会を運営しています。ちなみに、世界バドミントン連盟は英語で「Badminton World Federation」と言います。縮めて「BWF」と言われることも多いです。

Aさん
World Badminton Federation holds Para Badminton World Championships.
訳)世界バドミントン連盟は、パラバドミントン世界選手権を開催している。

「hold」という動詞は、「開催する」という日本語を英語に翻訳したい時に使用できる英単語で、「hold an event」の形で使用できます。その他に「開催する」という意味で使用できる英単語には「host」があり、「play host to」という慣用句として使用することもできます。

パラバドミントンで使用される器具を英語で表現する方法

パラバドミントンの試合では、特殊な器具を使用して選手が試合をすることもあります。車椅子以外で使用されることが多いのは義足です。下肢に障がいを持っている人でも義足をつけて試合をすることで、コートの上をより自由に移動できるようになります。「義足」を英語で表現したい場合に使用できるのは「prosthesis」という英単語で、「artificial leg」という英語も義足という意味を持っています。なお、この2つの言葉は意味に若干の違いがあり、「artificial leg」には「義足」という意味しかありませんが、「prosthesis」は義足に限らず、体の一部を補綴するために使用される器具の総称という意味があります。義手のことも英語では「prosthesis」と言い、「prosthesis」という言葉だけでは、義手を表しているのか義足を表しているのか、わかりづらいこともあるので注意が必要です。義足であるということをわかりやすく表現したい場合には、「artificial leg」を使用した方が良いでしょう。

Aさん
He enjoys playing para-badminton, using his prosthetic leg.
訳)彼は義足を使用して、パラバドミントンを楽しんでいる。

義足には「prosthetic leg」という英語を使用することもでき、両方の足に義足をつけている場合には「prosthetic legs」と複数形になります。

その他のパラバドミントンに関連する英語

パラリンピックのバドミントンのことを英語で話したい時には、バドミントンの競技や選手以外のことを表す英単語も知っておいた方が良いでしょう。バドミントンの監督を英語で表現すると「badminton head coach」となりますが、一般のバドミントンの監督と区別したい場合には、「para-badminton head coach」と言った方がよりわかりやすくなります。

各種の専門用語を説明できる英単語も知っておいた方が、よりパラバドミントンのことを詳しく英語で語れるのでおすすめです。バドミントンをする時に欠かせないのはラケットとシャトルですが、英語ではそれぞれ「racket」「shuttle」と書きます。なお「shuttle」には「折り返し運転」や「往復運転をする交通機関」という意味もあり、「space shuttle」の「shuttle」も、「宇宙を往復する船」という意味で使用されています。バドミントンのシャトルという意味で使用したい場合には、「shuttlecock」という英単語を使用した方がわかりやすいです。

2020東京パラリンピックでも注目されているバドミントン

パラリンピックで開催されるバドミントンの競技に関する英語の情報について、まとめて紹介してきました。バドミントンは東京のパラリンピックから初めて正式競技となったため、非常に多くの人が注目しています。コートの半面を使用しておこなう車椅子の選手の試合は、通常のバドミントンよりも試合展開がスピーディーで、観客も一緒に興奮できます。パラバドミントンを観戦した後は、ぜひ英語で試合のことを話してみてください。