「石」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。
「石」は、岩より小さく、砂よりも大きい鉱物質のかたまりのことです。岩が崩れ落ち、小さく削り落ちたものをいい、そのなかでも特に小さいものは小石といいます。また、神話に登場するメデューサと目が合うと人は恐怖で石になってしまったという伝説があります
そんな「石」のつく「ことわざ」を今回は5つ選んで英語に訳しました。
1. 石の上にも三年
「石の上にも三年」は、辛抱することの大切さを意味する「ことわざ」です。冷たい石の上も3年も座れば暖かくなるように、辛い仕事や難しい仕事でも、3年も経てば慣れて先の見通しも立てっれるようになるという教訓が込められています。
英語では
” (It’s better to) Sit on a stone for three years.”
(石の上に3年は座れ(座ったほうが良い))
と翻訳することができます。
これは、日本のことわざ「石の上にも三年」を英訳したもので、英語のことわざにこれと全く同じような意味のことわざはありません。例文を見てみましょう。
訳)希望した部署に配属されなかったので、仕事を辞めたいと思ってます。
訳)数ヵ月前に就職したばかりだよね。日本のことわざにあるように、「石の上にも三年」だよ。
また、石に関するイギリスのことわざで
“A rolling stone gathers no moss.”
があり、直訳すると「転がる石は苔を寄せつけない」という意味です。
”gather”は「~を集める、(作物を)収穫する」の意味で、”moss”は「(植物)コケ」を意味します。
確かに転がっている石に苔は生えないので、このことわざにも納得できる部分がありますね。gathers no mossを省略して、”A rolling stone”だけで使って「風来坊」という意味で使われることもあります。
訳)彼は結婚する前は、風来坊だった。
訳)うん、そうだね。でも、彼は結婚してから落ち着いたね。
苔が生えないように転がる石になることが重要なので、「柔軟に変化していくことで、失敗を避けられる」という意味にも解釈できます。
日本のことわざ「石の上にも三年」は「辛くても辛抱することが重要だ」というメッセージですが、イギリスのことわざは「柔軟に変化することが重要だ」という意味で、国民性や文化的な違いが「ことわざ」にも表れているのではないでしょうか。
2. 雨垂石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
「雨垂石を穿つ」は、根気よく努力を続ければ、いつか大きな成果を得ることができるという意味の「ことわざ」です。小さな雨雫でも、同じ場所に落ち続ければ、いつかは大きな石にも穴をあけることに例えられています。
英語では
”Raindrops pierce a stone.”
と訳すことができます。
”pierce”は他動詞で「~を突きぬく、~に穴をあける」という意味です。
訳)「雨垂石を穿つ」の意味を説明してくれませんか。
訳)いいですよ。小さな行為でも、それをそれに辛抱強く取り組んでいれば、自分の望んでいることが達成できるという意味だよ。
3. 一石二鳥
「一石二鳥」は、一つの石を投げて、同時に二羽の鳥をとらえるという意味から、1度の行動で思いがけない多くの利益を得ることを意味する「ことわざ」です。「一石二鳥」は、日常会話でも用いられることが多く、馴染みのある「ことわざ」ですよね!
英語では
”Killing two birds with one stone.”
と訳すことができます。
直訳すると「1つの石で二羽の鳥を殺す」という意味です。
「一石二鳥」を使った例文を見ていきましょう。
訳)私は銀行に行かなきゃならないけど、帰り道にスーパーで食料品を買うつもりです。
訳)それは、一石二鳥だね。
別の例文も紹介します。
訳)彼はビジネス旅行で大阪に行ってしまってるけど、そこで親戚を訪問したよ。
訳)ビジネス旅行で親戚を訪問するのは、一石二鳥だね。
4. 一羽の鳥にあまり多くの石を無駄にするな
日本語のことわざとしては、なじみがないですが、英語のことわざとしては広く知られており、この英訳を聞くと、「なるほど」と思えることわざです。
英語では、
“Don’t waste too many stones on one bird.”
という訳になります。
先ほど紹介した「一石二鳥」をもじって、英語では次のような表現も使われることがあります。
“Killing one bird with two stones.”
これを直訳すると「2つの石で一羽の鳥を殺す」という意味となり、4番目に紹介した”Don’t waste too many stones on one bird.”「一羽の鳥にあまりに多くの石を無駄にするな」に通じるところがあります。
5. 焼石に水
「焼石に水」は、焼けて熱くなった石に少々の水をかけても、水は石の熱さで蒸発してしまい、石は冷たくならないことから、わずかな努力や助けでは効果がないことを意味する「ことわざ」です。
英語では直訳すると、
”Water on the burned stone.”
となり、”water”は名詞の「水」の他に、動詞で「水をやる、水をまく」の意味も持ちます。”burned”で「焼けた」という意味ですが、「わずかな努力や助けでは効果がない」をダイレクトに表す英語のことわざもあります。
“A drop in the bucket“
「バケツの中の一滴」という意味ですが、「バケツに一滴の水では何の役にも立たない」というところから、日本語の「焼け石に水」に近い意味を表しています。例文を見てみましょう。
訳)国民は1人につき40,000円の減税をされたけれど、納税者の納税額合計を考慮すると、それは「焼け石に水」だった。
ほかにも”What is a pound of butter among a kennel of hounds?”で「一群の猟犬に1ポンドのバターで何の足しになる?」も使われています。”kennel”は可算名詞で「犬小屋」、”hound”は他動詞「~を猟犬で狩る、~を追跡する、しつこく追い掛ける」という意味もありますが、ここでは名詞で、「猟犬」という意味です。
まとめ
今回は、「石」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。
石のつく「ことわざ」には、「一石二鳥」や「焼石に水」など日常会話でももちいられる「ことわざ」が多いようですね。「石の上にも三年」という「ことわざ」があるように、英語の学習も1つの単語を積み重ねるように覚えることで、いつかはスラスラと英語で会話・読書ができるようになるでしょう。
ことわざには、「隣の芝は青い」のように、日本語でも英語でも似たような表現を使うことわざが存在するものもありますが、「石の上にも三年」は日本のことわざで、それと同じ意味を表すことわざは英語にはなくて、英語圏には「石」を使った別のことわざがあることも紹介しました。
今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!