パラリンピックの正式種目の1つにボッチャという競技があります。重度脳性麻痺者または同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたボッチャは、障がいの有無や老若男女問わず誰もが楽しめる競技です。また、外国で生まれたボッチャには用語などが英語表記のものも少なくないため、英語学習にも役立てることができます。この記事ではボッチャの歴史やルールなどとともに、ボッチャに関連した簡単な英文も紹介します。

ボッチャに関する基礎知識

ここでは、ボッチャに関する概要や歴史などを紹介します。

ボッチャは「地上のカーリング」と呼ばれるヨーロッパが発祥の球技

ボッチャは的になるボールを戦略的に弾くこともできるため、「地上のカーリング」と呼ばれています。また、戦略性の高さを楽しめることから、将棋やオセロにも似ています。

ボッチャの概要

ボッチャは3色(白・赤・青)のボールを使って行う生涯スポーツの1つです。本格的な競技としても世界各地で盛んに行われていて、国際ボッチャ競技連盟(BISFed)公認のオープン大会が各国で開催されています。

ボッチャの歴史

ボッチャの発祥地はヨーローッパで、その名称の由来はイタリア語で「ボール」を意味する言葉から派生したという説が有力です。ただし、発祥地に関しては、ローンボールズやペタンクという球技があるイギリスやフランスといった説もあります。そんなボッチャは、1984年のストーク・マンデヴィル・パラリンピック(イギリス)で公開競技として行われ、1988年のソウル・パラリンピック(韓国)から正式種目に採用されました。認知度が上がるにつれて人気も高まり、現在ではパラリンピックを盛り上げる重要な競技の1つに位置づけられています。

日本で初めて国際ルールに則ったボッチャの大会が開催されたのは、1996年の千葉ボッチャ選手権大会でした。この大会の翌年に日本ボッチャ協会が設立され、全国各地で普及活動を始めます。1999年には大阪で第1回日本ボッチャ選手権大会が開催され、地道に競技人口を増やしていった結果、3度目の出場となったリオデジャネイロ・パラリンピック(ブラジル)で初めてのメダル(銀)を獲得しています。

ボッチャの競技方法やルールを解説

ボッチャの競技方法やルールを解説

ここでは、プレーや観戦のために知っておきたい競技方法と基本的なルールなどについて説明します。

ボッチャは障害の程度に合わせて誰もが参加できる競技

ボッチャは障がいの程度によってクラス分けがされています。そのため、誰もが安心して参加することができるのです。

基本的な競技方法と特徴

ボッチャの競技方法はシンプルです。コイントスで先攻・後攻を決定したら、先攻の選手がジャックと呼ばれる白いボールを投げます。選手はそれぞれ6つずつ与えられているボール(先攻が赤色で後攻が青色)を、このジャックに向かって投げたり転がしたりして、どれだけ多くのボールをジャックに近づけられるかを競うのです。重い障がいのために自分でボールが投げられなくても、補助具を使ってボールを転がせれば競技に参加することができます。このように障害の程度に合わせてプレーできるのがボッチャの特徴です。

ボッチャのクラスと種目

ボッチャは性別に関係なく障がいの内容や程度によって以下のようにクラス分けされています。

・BC1…個人戦(1対1)と団体戦(3対3)があり、車椅子の操作ができない四肢・体幹に麻痺がある脳性麻痺者や、下肢障害の脳性麻痺者が対象(足蹴りでの競技も可能)。
・BC2…個人戦と団体戦があり、上肢障害で車椅子の操作が可能な脳性麻痺者が対象。
・BC3…個人戦とペア戦(2対2)があり、投球ができないため補助具を使って競技を行う脳性麻痺者とそれ以外の障がい者が対象。
・BC4…個人戦とペア戦があり、BC1・BC2と同等の四肢機能障がい者が対象。

ボッチャの基本的なルール

ボッチャは12.5m×6mのコートで行います。個人戦とペア戦が1試合4エンドで、団体戦は6エンドで行われます。各エンドのプレータイムは、個人戦のBC1・BC2・BC4は5分、BC3は6分、ペア戦はBC3が8分、BC4が6分、団体戦は6分です。また、団体戦のみ1試合1チーム3分間のタイムアウトが1度だけ認められています。勝敗は、すべての対戦を終えた時点で得点を計算して決定します。得点の数え方は次の通りです。

・ジャックに最も近い相手のボールよりも自分のボールのほうが近くにある場合、ボール1個につき1点。
・ジャックから最も近い位置に2個以上の異なる色のボールが同じ距離にある場合、各ボールに1点。

ジャックとボールとの距離はエンドの終了ごとに審判が測定して判定します。同点の場合はタイブレーク方式の延長戦に入ります。なお、投げたり転がしたりしたボールがコートの外に出るとアウトボールです。オンラインの場合も同じくアウトボールになります。

覚えておきたいボッチャの用語と道具を紹介

ここでは、ボッチャの主な用語と道具の名称などについて解説します。

ボッチャの用語や道具の名称には英語表記が多い

ボッチャの用語や道具の名称には英語表記が多いため、英語の学習に役立てることができます。

ディスラプテッド・エンド

ディスラプテッド・エンドは無効になったエンドのことです。偶然・故意問わず、ボールがルール通りの順序でない投球で動かされた場合に、そのエンドは無効となります。

ヴァイオレーション

ヴァイオレーションは反則行為のことです。選手だけでなくコーチや介助者などが競技規則に違反した場合も対象になります。

ジャック

ジャックは、ジャックボールとも呼ばれる白いボールのことです。選手はこのジャックを目指してボールを投げたり転がしたりするため、目標球とも呼ばれています。

ランプ

ランプは、自分でボールを投げたり転がしたりできないBC3クラスの選手が使う勾配具のことです。選手は介助者にコースを伝えて位置を調整してもらえば、あとはランプにボールを乗せるだけでオーケーです。

リリーサー

リリーサーは、自分でボールを押し出せないBC3クラスの選手が頭や口に装着して使う器具のことです。

ロールテストデバイス

ロールテストデバイスはボールの転がり具合をチェックする際に用います。

キャリパー

キャリパーは、審判員がボールとボールの距離を測る際に使う器具です。ボッチャコンパスとも呼ばれています。

ボッチャの試合を見た感想を英語の例文で紹介

ボッチャの試合を見た感想を英語の例文で紹介

ここでは、ボッチャの試合を見て感じたことを英語の例文にして紹介します。試合を実際に見た感想を英語で表現することで、英語力をアップさせることが期待できます。

まずは簡単な表現から始めてみよう

ボッチャの試合を見て感想などを英語表現してみる場合、まずは以下のように簡単な表現から挑戦してみるといいかもしれません。

The ball now was amazing

「The ball now was amazing」は、「今のボールは素晴らしかった!」という意味の英語表現です。「The ball now」は「今のボール」で、「was amazing」は「素晴らしかった」という意味です。

It was a great game

好ゲームに驚嘆した場合は、「It was a great game」と叫びます。これは「素晴らしい好ゲームだった!」という表現になります。「a great game」は「素晴らしい好ゲーム」で、そこに「…だった」という意味の「It was」が付いています。

The supervision was praise the player

監督が選手を讃えているシーンを目撃した場合は、「The supervision was praise the player」と表現します。「The supervision」は「監督」で「was praise 」は「称賛する」、「the player」は選手です。

This is an interesting competition

最後に試合を見終わって感じた感想を簡潔に、「This is an interesting competition」と表現してみました。「This is an interesting」は「これは面白い」で、「competition」は競技という意味です。「これは面白い競技だ」という意味ですが、もちろん「This」を「 Boccia(伊・ボッチャ)」に変えてもかまいません。

ボッチャの観戦やプレーを楽しみながら英語も学んでいこう!

ボッチャはプレーしても観戦しても楽しい競技です。そのため、興味を抱く人や競技人口は増加しています。また、用語や道具の名称に英語表記が多いため、ボッチャを楽しみながら自然と英語に触れることもできます。ボッチャをプレーした感想を英語で表現しながら、ボッチャと英語の両方をスキルアップしていくというのも楽しみ方の1つです。