乗馬は、英語圏で人気のあるスポーツであり、レジャーとしても親しまれています。乗馬について英語で会話をする際には、馬術に関連する単語やフレーズを知っておくことが大切です。

この記事では「乗馬」や「馬術」を英語での伝え方、そして乗馬の際に使われる英語表現を紹介します。また馬術の歴史や種類、パラリンピックにおける競技の魅力についても触れ、馬術に関する雑学にも迫ります。

乗馬や馬術に興味がある方、英語で乗馬について語りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

乗馬は英語で “horseback riding”

「乗馬」は “horseback riding”と言います。

“horseback” (馬の背中) と “riding” (乗ること) を組み合わせており、馬に乗って行う活動全般を指します。

スポーツとしての馬術を指す場合は、”equestrianism” という言葉が用いられます。よりフォーマルな表現で、馬術の競技やイベントなどの文脈で使われることが多いです。

乗馬にはさまざまなスタイルや目的があり、自然の中で馬に乗ってハイキングを楽しむ “trail riding” もそのひとつです。また 、ポニーに乗って旅をする “pony trekking” もあります。

乗馬に関連する英語表現

乗馬に関連する英語表現

ここでは、乗馬に関する英語の自己紹介文から乗馬を始める前、馬の調子を尋ねるシーンなどの英語表現までを幅広く紹介します。これらの表現を学ぶことで、英語圏の乗馬施設でのコミュニケーションがスムーズになり、より充実した乗馬体験を楽しめるでしょう。

乗馬経験を伝える

Aさん
I enjoy horseback riding on weekends.
訳)私は週末に乗馬を楽しんでいます。
Aさん
I have been passionate about horseback riding since I was a child.
訳)子供の頃からずっと乗馬が大好きなんです。
Aさん
I attended a horseback riding lesson the other day.
訳)先日、乗馬のレッスンに参加しました。

乗馬を始めるとき

Aさん
Let’s go for a ride.
訳)乗馬に行きましょう。
Aさん
Can you help me mount the horse?
訳)馬に乗るのを手伝ってもらえますか?
Aさん
Mounting a horse requires technique and practice.
訳)馬に乗ることは、テクニックと練習が必要です。

乗馬中の会話で

Aさん
This horse has a smooth gait.
訳)この馬は歩き方がスムーズですね。
Aさん
Can we pick up the pace a bit?
訳)少しペースを上げてもいいですか?
Aさん
The scenery is breathtaking from horseback.
訳)馬上からの景色は息をのむほど美しいですね。

馬の調子を尋ねる

Aさん
Is the horse behaving well today?
訳)今日馬の調子はいいですか?
Aさん
Does this horse have any quirks I should know about?
訳)この馬について私が知っておいた方がいい癖はありますか?
Aさん
Is the horse tired or thirsty?
訳)その馬は疲れていたり喉が渇いていたりしますか?

乗馬を終えるとき

Aさん
That was a great ride.
訳)素晴らしい乗馬でした。
Aさん
Can you help me dismount?
訳)馬から降りるのを手伝ってもらえますか?
Aさん
Where should I lead the horse?
訳)馬をどこに連れて行けばいいですか?

乗馬クラブや施設にて

Aさん
I’d like to book a trail ride.
訳)トレイルライドを予約したいです。
Aさん
What are your rates for riding lessons?
訳)乗馬レッスンの料金はいくらですか?
Aさん
Can I groom the horse after the ride?
訳)乗馬の後、馬をグルーミングしてもいいですか?

日常会話でも使える乗馬の英語フレーズ

乗馬に関連した英語表現は、馬術の世界だけでなく日常会話でもよく使われています。

ここからは、乗馬でも日常会話でも使えるフレーズを5つご紹介します。具体的な使用例から理解が深まり、英語表現がさらに豊かになるでしょう。

Hold your horses!:馬を抑えて!

乗馬では、馬が興奮して制御できなくなりそうなときに落ち着かせるために使う表現です。

日常会話では「落ち着いて!」「急がないで!」という意味で使われます。

Aさん
Hold your horses! Let’s think this through first.
訳)落ち着いて!まずはこのことについてよく考えよう。

誰かが衝動的に行動しようとしているときに制止したり、冷静になるよう促したりする際に使うと効果的です。

ただし、相手を批判しているように聞こえないよう、優しい口調で使いましょう。

Back in the saddle:鞍(くら)の上に戻る

馬から落ちた後、再び馬に乗ることを意味します。

日常で使う場合は「活動を再開する」「復帰する」という意味で使われます。

Aさん
It’s time to get back in the saddle and try again.
訳)もう一度挑戦するときが来た。

この表現は挫折や失敗から立ち直り、再びチャレンジする際に使うと効果的です。前向きな姿勢を示すのに役立つフレーズでしょう。

You’re on the right track:正しい方向に向かっている

乗馬では、ライダーが馬を上手に操りながら目的地に向かって正しいルートを進んでいることを表します。

日常会話では「順調ですね」「いい感じですね」のように、相手が物事を正しく理解して進歩していることを伝える際に使います。

Aさん
You’re on the right track. Keep going!
訳)順調だね。その調子!

誰かを励ましたり、正しい方向に進んでいると確認したりするときに使うと効果的です。相手の努力を認め、サポートする気持ちを示すことができます。

Take the reins:手綱を取る

乗馬の際にライダーが手綱を握って馬を制御し、馬の動きを思い通りに導くことを表します。

日常会話では「主導権を握る」となり、物事をリードしたりプロジェクトや状況をコントロールしたりすることを表現するフレーズです。

Aさん
It’s time for you to take the reins and lead the team.
訳)そろそろ、あなたがチームのリーダーシップを取るべきだと思います。

誰かにリーダーシップを発揮するよう促したり、責任を引き受けるよう勇気づけたりするときに使うと効果的です。自信を持って行動するよう、相手を後押しするのに役立ちます。

Rein it in:歯止めをかける

乗馬の際に、馬の速度を落とすために手綱を引くことを表します。

日常会話では「節度を保つ」や「やり過ぎを抑える」という意味になり、自制を促したり度が過ぎた行動を控えるよう求めたりすることを伝えるフレーズです。

Aさん
I know you’re excited, but let’s rein it in a bit.
訳)興奮しているのは分かりますが、少し抑えましょう。

誰かが過剰に興奮しているときや、行き過ぎた行動をしているときに使うと効果的です。相手を批判しているように聞こえることもあるため、丁寧な口調で伝えましょう。

乗馬を楽しむために覚えておきたい英語表現5選

乗馬を楽しむために覚えておきたい英語表現5選

乗馬は専門用語が多く、特に英語圏では用語の理解が不可欠です。ここでは、乗馬を安全に楽しむために覚えておきたい英語表現を5つ厳選しました。

馬の歩様やライダーの指示を表す基本的な用語を学ぶことで、馬とのコミュニケーションがスムーズになり、乗馬体験がより充実したものになるでしょう。

Walk:常歩

“Walk”(ウォーク)は、馬の歩様の中で最もゆっくりとしたペースです。歩様(ほよう)とは、馬の歩き方のことを指し、”Walk”、”Trot”、”Canter”、”Gallop”の4つに分類されます。乗馬を始めたばかりのライダーにとって、”Walk” は最初に練習する歩き方です。

Aさん
The instructor told the rider to walk the horse to cool down.
訳)インストラクターは、ライダーに馬を常歩でクールダウンするように指示しました。

Trot:速歩

“Trot”(トロット)は馬の基本的な歩様のひとつで、日本語では「速歩」と呼ばれています。”Walk”よりも速いペースですが、”Canter” や “Gallop” ほど速くはありません。

Aさん
The horse transitioned smoothly from a walk to a trot.
訳)馬は常歩から速歩へとスムーズに移行しました。

Canter:駆歩

“Canter”(キャンター)は “Trot” と “Gallop” の中間の速さの歩様です。馬の動きは1-2-3、1-2-3というリズムで、まるでゆったりとした3拍子のダンスのようです。

Aさん
The rider encouraged the horse to canter around the arena.
訳)ライダーは馬に馬場の周りを駆歩するよう促しました。

Halt:その場で停止する

“Halt”(ホールト)は「止まれ」という指示で、その場で馬を停止させることです。

Aさん
The rider brought the horse to a halt at the end of the ride.
訳)ライダーは乗馬を終えるために馬を止めました。

Rein:手綱(たづな)

“Rein”(レイン)は「手綱」と呼ばれるライダーが馬をコントロールするために使う重要な道具です。手綱は馬の頭に装着された馬具の一部で、ライダーが両手で持つ紐状の部分のことを指します。

Aさん
The rider used the reins to communicate with the horse and control its speed and direction.
訳)ライダーは手綱を使って馬とコミュニケーションを取り、速度と向きをコントロールしました。

馬術とは?

馬術は “equestrianism” です。 “equestrian” だと形容詞で「乗馬の」の意味になります。

equesterとはラテン語で馬に乗ることを示すので、equineはラテン語で馬を意味し、学名でも馬のことはequusと書きます。また、古代ローマでは騎士のことをequites と呼びました。

ところで、馬にはhorseという言葉もあります。乗馬のことは英語でhorse rideとも言いますが、equestrianの方がよりフォーマルです。言葉が2種類ある理由は語源が違うことと、少しだけ活用の範囲が異なるからです。

equineはラテン語が語源となりますが、horseは「跳ねる動物」を意味する古期英語のhorsyからきています。

そのため、horseを使った英語表現には「馬鹿騒ぎをする」「悪ふざけをする」という意味でhorse around という熟語もあります。また、horseは一般的に牡馬のことを示し、牝馬はmare、去勢馬はgeldingと書きます。

また、ロバやシマウマなどのウマ科の動物(horse family)もhorseで示すことがあります。

馬術の歴史

馬が人間と共存を始めた歴史はとても古く、紀元前4000年から中国、ペルシャ、エジプトなどで、運搬や乗用として馬を使っており、人間の文明の発展には欠かせない動物でした。

やがて軍用としても馬が用いられるようになり、紀元前400年頃にギリシャでまとめられたクセノポンのThe Art of Horsemanshipという著書は、現在にも通ずる馬の調教の参考書とされてきました。

やがて、中世の時代から貴族のたしなみとして馬術が取り入れられるようになり、馬術がスポーツとして定着してきたのは16世紀頃となります。

1921年には国際馬術連盟(Federation equestre internationale)がスイスのローザンヌに創立され、設立した当初はベルギー、デンマーク、フランス、イタリア、日本、ノルウェー、スウェーデン、アメリカ合衆国の8カ国が参加し、現在は134箇所の国と地域が所属する大きな組織となりました。

オリンピックとしての馬術オリンピックでは、元は戦車競技(シャリオ・レース)として馬が用いられていましたが、馬術が正式にオリンピック競技になったのは第2回パリ大会です。そのときの競技は障害馬術1競技のみでした。1921年に国際会議が開かれたおりに、オリンピック競技として馬場馬術、障害馬術、総合馬術の3種目が指定されました。

日本における馬術の経歴

日本では1922年に日本馬術協会が立ち上げられ、1946年に公益社団法人日本馬術連盟が発足しました。現在の日本馬術連盟は国際的には国際馬術連盟とアジア馬術連盟、国内では公益社団法人日本オリンピック委員会と公益社団法人日本スポーツ協会に加盟しています。

日本がオリンピックに参加したのは1928年の第9回アムステルダム大会からです。その後第二次世界大戦によって日本は国際馬術連盟を離脱しますが、1951年に復帰し、1952年の第15回ヘルシンキ大会よりオリンピックに再び参加するようになりました。

日本が唯一メダルを獲得したのが1932年の第10回ロサンゼルス大会で、障害馬術競技に西竹一(バロン西)選手がウラヌス号で出場し、金メダルを取りました。

馬術にはどのような競技がある?

馬術にはどのような競技がある?

馬術には総合馬術、馬場馬術、障害馬術、ジムカーナ、エンデュランス、馬車競技、レイニングなど多種多様の競技があります。オリンピックで採用されているのは総合馬術、馬場馬術、障害馬術の3競技であり、過去にはハイジャンプ、ロングジャンプ、軽乗馬というものもありました。パラリンピックでは馬場馬術のみがあります。現在行われているそれぞれの競技についての用語は、以下で説明していきます。

総合馬術

総合馬術は “Eventing” と呼びます。馬場馬術(調教審査)、クロスカントリー(耐久審査)、障害馬術(余力審査)の3種目を、同一人馬のコンビネーションで3日間をかけて行う競技です。

3種目を減点方式で採点し、合計の少ない人馬が上位となります。3日間かけて行われるので、総合馬術のことをThree Day Eventsと呼ぶこともあります。

馬場馬術

馬場馬術は “Dressage” と呼びます。長方形の競技アリーナ内で演技の正確さや美しさを競い、walk(常歩:なみあし)、trot(速歩:はやあし)、canter(駈歩:かけあし)の3種類の歩法(horse gait)を組み合わせてステップを踏んだり、図形を描いたりします。

演技内容がすべて決められている規定演技(Equestrian Championship)と、音楽に合わせて決められた運動演技を構成する自由演技(Equestrian Freestyle)があります。

障害馬術

障害馬術は “jumping” と呼ばれ、近代5種でも採用されている馬術です。

アリーナに設置された、高いものでは160センチもある障害物を順番通りに飛越・走行し、障害物の落下や馬が従わない等がないようにゴールできるかを競います。減点の少ない人が上位になります。

競技の採点ルールは細分すると様々ですが、障害物の落下が減点となる標準競技と、落下をタイムにも換算するスピード&ハンディネスというものが一般的です。

ジムカーナ

ジムカーナ“gymkhana” と書き、モータースポーツでも同じ名前の競技があります。

障害物などを乗り越えながら指定された経路を歩くもので、障害物が障害馬術ほど高くなく、多くは100センチを超えません。初心者向けの競技とされています。

エンデュランス

エンデュランスは “Endurance” と書きます。馬のマラソンとも言われる競技で、長いものでは160キロの長距離を数時間かけて馬と走ります。

1982年に国際馬術連盟が馬術競技として認定し、次第に競技人口や大会開催数が増えていきました。日本でも2000年以降から全日本エンデュランス馬術大会が実施されており、120キロ、80キロ、60キロの部門に分かれていますが、完走できるのは参加者の半分くらいだと言われます。

過酷な競技なので、馬も登山の装備のように特殊な服やブーツ、サドルを着用する必要があるようです。

パラリンピックでの馬術

パラリンピックにおける馬術と英語表現

パラリンピックでは1996年アトランタ大会から正式競技とされました。視覚障害者と肢体障害者が参加し、障害の重度によって五段階のグレードに分けて競技を行います。数字が小さいほど重度の障害とされます。手綱を手で握ることのできない選手もいますので、口でくわえたり、足の指で握ったりと工夫しながら軽やかに馬を操る技は目を見張るものがあります。

東京パラリンピックに出場する選手は?

日本代表監督は明石乗馬協会の三木則夫さんです。日本代表選手は4名で、リザーブ枠で1名が出場します。グレード2の宮路満英さんと吉越奏詞さん、グレード3の稲葉将さん、グレード4の高嶋活士さんが出場します。宮路さんはリオパラリンピックにも出場した経験があります。また、リザーブ枠はグレード1の鎮守美奈さんです。(実際のグレードはローマ数字で書かれますが、入力できないためここでは数字で示しています)

パラリンピック馬術の例文

Aさん
I’m sorry that we can’t watch equestrians at the Olympics and Paralympics.
訳)私たちは馬術をオリンピックとパラリンピックで観ることができなくて残念です。

東京オリンピック・パラリンピックは無観客開催が決定したので直接応援することが叶わないという残念な例文ですが、テレビ越しに応援することはできますので、盛り上げていきたいですね。ちなみに、Olympics and Paralympicsは少し砕けた言い方となります。公式が使っているよりフォーマルな言い方はOlympic games and Paralympic gamesです。

まとめ

馬術は日本よりも海外でメダル争いが注目されているため、海外メディアのニュースでよく取り上げられています。例えばイギリスのBBCワールドニュースでも放送されているので、日本語版の放送と比較することもできるでしょう。英語の勉強にはとても有用だと思います。パラリンピックで行われる馬術の演目、そして日本代表選手の活躍にも期待したいですね。