パラリンピックで開催される競技の中には、さまざまな種類の障がいがある人が参加できる競技もあります。自転車競技も幅広い種類の障がいがある人が参加できる競技の一つです。ロードとトラックの2種類がありますが、ベロドロームという専用の競技場で開催されるのがトラック競技です。ここでは、英語でパラリンピックの自転車トラック競技を話したい時に知っていれば役立つ、ちょっとした知識を紹介したいと思います。
自転車競技(トラック)に関する基本的な英語の表現
自転車競技(トラック)のことを英語で説明したい場合には、各種の用語やルールを覚えておいた方が、会話が弾みやすくなります。パラリンピックの自転車トラック競技では全部で10以上の種目が開催されていて、それぞれ男子と女子の選手が参加できます。自転車競技は英語で「Cycle sport」と言いますが、障がい者の参加する自動車競技の場合には、「Para-cycling」という単語が使用されることも多いです。パラリンピックの自転車競技の歴史は、1996年のアトランタ大会から始まっていて、すでに20年以上パラリンピックの競技として開催されています。
自転車のトラック競技はBクラスとCクラスという2つのクラスに分けられています。それぞれ参加者の持つ障がいの種類が異なっているのが特徴です。Bクラスは四肢の運動機能に障がいを持っている選手が参加できるクラスで、切断や欠損により四肢を失った選手や、筋力が通常よりも少ない選手などが参加できます。四肢を動かせる範囲に制限がある人も参加することが可能で、幅広い種類の障がいを持っている人が参加できる種目があります。ちなみに、四肢は英語で「Extremities」や「Limbs」と言います。
障害の種類によって参加できるクラスが異なっていて、Cクラスの場合にはC1からC5まで5つのクラスに細かく分けられています。BクラスはB1からB3まで3つのクラスに分けられていますが、どのクラスの選手も同じ種目に参加しています。C1やC5は英語でもそのまま使用できますが、「MC1」や「WC1」と表記されることもあります。これは男女の区分も一緒に表示したもので、「MC」は四肢に障がいがある男性の選手が参加するクラスで、「WC」は四肢に障害がある女性の選手が参加するクラスです。
クラスごとの細かい区分
自転車トラック競技のCクラスでは、C1からC5の障がいがある選手が出場できるレースがあらかじめ決められています。傷がいが一番重い人が所属するのがC1クラスで、以下C2・C3と数字が大きくなるごとに、障がいの状態は軽くなります。パラリンピックでは、C1からC3までのクラスの選手が参加できるレースとして「C1-2-3 1000mタイムトライアル」という競技が開催されています。タイムトライアルは、スタートからゴールするまでの時間で勝敗を決めるレースです。C4とC5のクラスの選手が参加できるタイムトライアルも、あわせて開催されています。
男子と女子でレースの距離が違っていて、男子は1000メートル、女子は500メートルの距離で勝敗を競います。ロードレースと異なり距離が短いので、選手はレース中いつも全力でペダルをこげるのが特徴です。ちなみに、ペダルをこぐことを英語では「Pedal」と言います。「as fast as he could」という熟語を使用して、「全力で」という言葉を表現しているのがポイントです。
He kept pedaling as fast as he could.
訳)彼は全力でペダルをこぎつづけた。
パシュートのことを英語で話したい時に使用できる表現
四肢に障がいがあるCクラスの選手は、パーシュートという種目にも参加できます。英語では「pursuit」と書きますが、「pursuit」には「追跡」や「追及」という意味があります。パーシュートはタイムトライアルよりもルールが複雑になっていて、1つのレースで2人の選手が同時に競技をおこないます。コースの半周に当たる場所から各選手が別々にスタートするため、通常の場合、選手同士がレース中に接触することはありません。先にゴールした選手が勝者となりますが、レースの途中で一方の選手が、相手の選手を追い越した場合にも、その時点で追い越した選手の勝ちになります。
パーシュートはこのようにルールが少し難しいので、英語で話したい時には、あらかじめ基本的な言い方は覚えておいた方が良いでしょう。「追い抜かれる」という表現は「overtake」という動詞を使用して表現できますが、しっかりと受動態に直すのがポイントです。
He was overtaken from behind by his opponent and lost the match.
訳)彼は後ろから相手に追い抜かれて、試合に負けた。
男女混合で開催されるチームスプリント
パラリンピックの自転車トラック競技の中には、男性と女性の選手がチームを組んで参加するチームスプリントという競技もあります。チームスプリントは英語でも「team sprint」と書きます。「sprint」とは「短距離走」という意味を持つ英単語です。レースに参加する各選手の担当する距離が短いために、「sprint」という単語が使用されています。パラリンピックのチームスプリントに参加できるのは3人の選手で、チームのメンバーは男女両方とも含まれている必要があります。男性1人女性2人でも良く、男性2人女性1人のチームでもOKです。ですが、チームに参加する選手のポイントは10ポイント以下である必要があります。
ポイントとは、各選手の性別や障がいの状態によって、それぞれ決められている数字のことでです。障がいが軽いC5やC4の男性選手の場合、4ポイントになります。C5とC4の女性選手は3ポイントで、C3の男性選手も同様に3ポイントです。C3の女子選手とC2の男子選手は2ポイントで、上記以外の選手は全て1ポイントとして計算されます。例えば、C5の男性選手を2人チームに入れた場合には合計で8ポイントになるため、合計で10ポイント以下にするためには2ポイント以下の女性選手を選ぶ必要があります。3という数字が重なるため、数字の「3」とアルファベットの「three」をそれぞれ使い分けた方がわかりやすくなります。
Three 3-point players gathered to form a team.
訳)3ポイントの選手が3人集まって、チームを結成した。
自転車トラック競技を説明する時に便利なその他の表現
パラリンピックの自転車トラック競技のことを英語で説明したい場合には、選手以外のスタッフの言い方も覚えておいた方がおすすめです。「自転車競技の監督」を英語で表現すると「Cycling coach」となりますが、一般のコーチと区別したい場合には「Cycling head coach」と言った方が良いでしょう。障がい者の自転車競技の監督であることを強調したい場合には、「Para-cycling head coach」と言った方が分かりやすいです。
パラリンピックの自転車トラック競技は、種目によって使用する自転車の種類が違うことも大きな特徴です。四肢に障がいがあるCクラスの選手が使用するのは通常の2輪自転車ですが、視覚に障がいがあるBクラスの選手が使用しているのは、2人乗りの自転車です。これは、自転車の先頭に通常の視力を持つ選手を乗せることで、後ろに乗る視覚に障がいのある選手を誘導できるようにするためです。先頭に乗る晴眼者の選手のことを英語では「pilot」と言います。「pilot」は「操縦士」や「水先案内人」という意味を持つ英単語で、視覚に障がいのある選手が安全にレースに参加できるように、車体をコントロールする重要な役割があります。
後ろに乗る視覚に障がいのある選手のことを、英語では「stalker」と言います。「stalker」には「追跡をする人」という意味があり、パイロットの後ろに乗って一緒に自転車を動かすことから、こうした名称がつけられています。
見どころがたくさんあるパラリンピックの自転車トラック競技
パラリンピックの自転車トラック競技を英語で話したい時に便利な表現について、詳しく紹介してきました。自転車のトラック競技は、ロードと比べてレースの距離が短いことから、よりスピーディーに試合が展開されます。一般の自動車競技にも匹敵する迫力があり、テレビで観戦していても非常に面白い競技です。試合を見た後に、自転車トラック競技のことを英語で誰かと話せば、英語の勉強もできるので一石二鳥です。