”saucy”という英単語を見て、みなさんなら何と読みますか?
また、どんな意味を持っていると想像できるでしょうか?

「聞いたことない」「読み方がわからない」
でも、「バンド名で見たことがあったような…」と思った人もいるかもしれません。

今回は、わたしたち日本人にあまり知られていない英単語”saucy”の意味と発音、正しい使い方を解説していきます。

 

”saucy”の意味

”saucy”の意味

”saucy”とは、「生意気な」「ずうずうしい」という意味を表す形容詞です。
生意気な態度やずうずうしい言動を指して、イギリス英語でよく使われています。

辞書では以下のように定義されており、「生意気な」「ずうずうしい」のほかにも、「小賢しい」「粋な」「しゃれた」などの意味を持っています。

【英和辞典】

  • (人・言葉・ふるまいなどが)生意気な、ずうずうしい、不作法な、無礼な、なれなれしい
  • (…するとは)生意気で
  • (ものが)気の利いた、粋な、しゃれた、元気のいい、大胆な
  • (絵・冗談などが性的に)いかがわしい、わいせつな

参考:
Weblio英語辞書
英辞郎on the WEB
goo辞書 英和和英

 

【英英辞典】

  • rude and showing no respect, or referring to sex, especially in a humorous way
    無作法で敬意のない、または特にユーモアを持たせて性的な内容を言及する
  • also means confident and full of energy in an entertaining, exciting way
    自信にあふれて面白く、刺激的なエネルギーに満ちている

参考:
Cambridge Dictionary

”saucy”は、口語的でくだけた表現のため、フォーマルシーンにはあまり適していません。
派生語として、副詞の”saucily”(生意気に、ずうずうしく)、名詞”sauciness”(生意気・ずうずうしさ)などがあります。

 

”saucy”の語源と発音

”saucy”は、フランス語の”sauce”(ソース)が語源といわれており、1500年頃に、現代でいう「時代遅れ」という意味で使われていました。
刺激や辛みを加えて深い味わいにする「ソース」の意味合いから、人物や言動が「生意気な」「大胆不敵な」「ずうずうしくて、厚かましい」のように変化してきました。

”saucy”の発音は、イギリス英語が /ˈsɔː.si /、アメリカ英語/ˈsɑː.si/ です。
カタカナにするとそれぞれ「ソォースィ」と「サァースィ」のように読めます。

ちなみに、2013年に結成した日本の人気ロックバンドSaucy Dogは「サウシードッグ」と呼ばれています。
”saucy”は「サウシー」とは発音しませんが、日本人ならではのローマ字読みから「サウシー」が定着してしまったのだと考えられます。

”Saucy Dog”は直訳で「生意気な犬」となり、少し挑発的なバンド名に思えますよね。
しかし、じつは「生意気な性格でありながら世界中の人々に愛されているスヌーピーのように、年齢性別問わず幅広く愛されるバンドになりたい」というメンバーの想いが込められているのだとか。

「サウシードッグ」のように、日本語のローマ字表記が影響して、本来の発音と違った読み方で定着してしまった単語は他にもいろいろあります。

  • 「アクアリウム」:aquarium /əˈkwer.i.əm/
  • 「アレルギー」:allergy /ˈæl.ɚ.dʒi/
  • 「ウイルス」:virus /vάɪ(ə)rəs/
  • 「オアシス」:oasis /oʊéɪsɪs/
  • 「ガレージ」:garage /ɡəˈrɑːʒ/
  • 「キャリア」:career /kəˈrɪr/
  • 「キャッシャー」:cashier /kæʃˈɪr/
  • 「テーマ」:theme /θiːm/
  • 「ハーブ」:herb /ɝːb/
  • 「レパートリー」:repertory /ˈrep.ɚ.tɔːr.i/

ネイティブの発音を日本語のカタカナ表記すること自体、無理があり完全に再現できないことなので、発音の違いが生じるのは仕方のないことなのかもしれませんね。

”saucy”を使った例文

”saucy”には、良い意味と悪い意味の両方があります。
明るくユーモアがあり、大胆な行動や前向きな態度を表すポジティブな”saucy”と、敬意を払わずに相手に横柄な態度をとる挑発的な”saucy”は、どちらのニュアンスでもよく使われている表現です。
相手との関係性や文脈によって、どちらの意味なのか判断する必要があるので注意しましょう。

 

ポジティブな”saucy”

態度や行動、言葉にみられる生意気さが、前向きなニュアンスで捉えられるポジティブな”saucy”の例文を紹介します。

Aさん
The dancer Claire’s saucy moves wowed the judges.
訳)ダンサーのクレアの大胆な動きは審査員たちをうならせました。
Aさん
I envy my brother for driving a saucy car.
訳)粋でしゃれた車を運転する兄がうらやましいです。
Aさん
Mike wore a saucy hat, and I wanted to know where he got it.
訳)マイクがかぶっていたおしゃれな帽子を、どこで手に入れたのか知りたくなりました。
Aさん
Amelia gave him a saucy smile and wink.
訳)アメリアは彼に、セクシーな笑顔とウインクを見せました。

 

ネガティブな”saucy”

ずうずうしい態度や言動が相手を不快にさせるような、ネガティブなニュアンスの”saucy”は以下のように表現できます。

Aさん
My father shouted, ”Don’t be saucy!”
訳)父は「生意気な口をきくな!」と怒鳴りました。
Aさん
Her daughter is saucy, so she is in trouble.
訳)娘が生意気なので、彼女は困っています。
Aさん
I was surprised that you got saucy with my boss.
訳)あなたがわたしの上司にずうずうしい態度をとるので驚きました。
Aさん
Victoria is a saucy, spirited girl, but I can’t hate her.
訳)ヴィクトリアは生意気で活発な少女だけど、憎めない子です。

 

”saucy”の言い換え表現

”saucy”の言い換え表現

自信過剰で厚かましい言動や態度を指して使われる”saucy”のように、冗談や皮肉を表す英語は他にもいろいろあります。
”saucy”と言い換えられる英語表現を紹介します。

 

impudent

”impudent”は、大胆かつ無礼な態度を表す時の英語です。
罵倒や攻撃的な言葉を言ってくる相手に対して、「失礼だ」「傲慢だ」などと表現するときに使われます。

Aさん
George was impudent and spoke rudely to his teacher.
訳)ジョージは無礼で、先生に対してとんでもない口を利いた。

 

impertinent

”impertinent”は、失礼で不適切な態度、行為を意味する英語です。
いきなりプライベートな質問をしてくるときや、話を遮ってくる(邪魔してくる)ときなどに使われます。

Aさん
They responded to his impertinent question with a stern look.
訳)彼の出しゃばった質問に、みんなが厳しい目を向けました。

 

cheeky

”cheeky”は、軽薄でありながらも、その生意気な態度をかわいらしいと捉える場合に用いられる英語です。
「生意気な」「ずる賢い」の意味を含めて、ジョークを交えた友好的なコミュニケーションの中で使われます。

Aさん
Penelope had a cheeky smile on her face when she won the game.
訳)ペネロペは、ゲームに勝って生意気な笑みを浮かべました。

 

sassy

”sassy”は、生意気な口をきくという意味の動詞”sass”から派生した形容詞です。
軽い挑発的なニュアンスを含んでいますが、言動や態度が自信に満ちていたり、度胸があって大胆な振る舞いをしたりする様子を表現するときにも使われます。

Aさん
I love her sassy and confident personality.
訳)彼女の生意気でありつつも自信に満ちあふれた性格が大好きです。

 

まとめ

あまり知られていない英単語”saucy”の意味と発音、正しい使い方を解説しました。

人気ロックバンドの名前にも使われている”saucy”には、「生意気な」「ずうずうしい」だけでなく「大胆な」「粋な」などいろいろな意味があります。
文脈によってポジティブにもネガティブにも捉えられるため、使うシーンや相手、言い方や表情には少し注意が必要です。

これまで知らなかった英単語や聞き慣れないフレーズは、実際の会話で使うことで定着していくものです。
積極的にアウトプットして、書けて話せる英語(アクティブボキャブラリー)を増やしていきましょう!

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