「経緯」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「経緯報告」や「一連の経緯」など、さまざまな使い方があります。

「経緯」は、日常生活だけではなくビジネスシーンでも使用されることが多い言葉です。しかし、英語ではどのように表現すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は、経緯を表す英語について紹介します。さらに、経緯とはどういう意味なのか、経緯という言葉を使う場面についても解説します。

そのほか、記事の後半では、経緯や経緯にまつわる英語を使った実際に使える英語例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「経緯」ってどういう意味?

「経緯」ってどういう意味?

「経緯」は、物事を進めて現在に至るまでの過程のなかで生じた、一連の状況の変化や出来事を表す言葉です。他者に対して、ある物事がどのような流れで始まりから現在に至ることになったのかを説明するための重要な概念です。

経緯という言葉は、他者に対しての説明が求められる場合に使用されるため、日常生活だけではなくビジネスシーンでも使用されます。

たとえば、日常生活では、自分が交通事故を起こし、警察に対して事故を起こした事情を聴かれたような場合には、事故が生じる前と生じた時点までに起きた出来事などを「経緯」として説明します。

また、ビジネスシーンでは、プロジェクトの企画から実行に至るまでの経緯として、生じた問題と問題を解決した方法などを上司に対して説明することもあります。

経緯と同じように使われる言葉に「いきさつ」という言葉があります。いきさつも、経緯と同様に物事が現在の状態に至った一連の過程を表す言葉です。

経緯といきさつは同じような意味を持っていますが、使い方やニュアンスが異なります。経緯はビジネスシーンなどフォーマルな場面で使われ、いきさつは日常生活などカジュアルな場面で使われることが多いです。

また、経緯は物事が今に至るまでの流れの全体に焦点をあてた言葉であり、いきさつは流れのなかで生じた変化や出来事に焦点をあてた言葉のため、ニュアンスが両者で異なります。

「経緯」という言葉を使用するシーンとは?

経緯という言葉は、さまざまなシーンで使用されます。

ここでは、「経緯」という言葉がそれぞれのシーンでどのように使われているかについて、詳しく見ていきましょう。

【事故調査】
交通事故や産業事故などの事故が発生した場合に、事故が生じるまでの状況を説明するために使用されます。事故が起きる前後の状況、事故に関与した人たちの行動などを事故が起きた経緯として説明して、事故の原因を明らかにします。

【日常生活】
たとえば、家族や友人などの人間関係において問題が生じた場合に使用されます。関係が悪化したときに、悪化に至るまでの経緯を整理して分析することで、問題点やその解決方法を探るきっかけになるでしょう。

【科学研究】
実験や研究の結果を報告する場合に使用します。実験の開始時点から実験結果を得るまでに行った試験や分析結果などを経緯として報告することは、正しい結果であることの証明につながります。

【裁判】
たとえば、民事事件の裁判における証人尋問に使用されます。証人尋問では、証人が争点となる事実が生じた経緯などを証言として説明します。原告や被告は証言を元に証人を尋問し、尋問の結果が判決の資料となります。

【会社の会議】
新規事業や製品開発などのプロジェクトの進行状況について、会議で説明する場合に使用されます。

「経緯」は英語でなんていうの?

経緯を表す英単語はいくつかありますが、代表的なものは”background”、”history”といいます

”background”は「背景」や「背景事情」、”history”は「経歴」や「変遷」といった意味があり、両者のニュアンスは異なっています。

また、”background”、”history”は、主にビジネスシーンなどのフォーマルな場面で経緯を表現する際に使用される英語です。日常生活などのカジュアルな場面では、”story”などが使われます。

「経緯」に関連する英語

「経緯」に関連する英語

ここでは、経緯に関連する英語とその意味について具体的に見ていきましょう。

さらに、それぞれの英語を使った例文もあわせて紹介します。

background(背景)

The background of the negotiation included several years of unresolved disputes between the two companies.
(交渉の背景には、両社間で数年間にわたり未解決となっている紛争が含まれていました。)
The background research for the project revealed significant gaps in current knowledge.
(プロジェクトの背景調査で、現在の知識に大きなギャップがあることが明らかになりました。)

 history(歴史)

The history of political tensions in the region is essential to grasp the current conflict between the neighboring countries.
(その地域の政治的緊張の歴史は、隣国間の現在の紛争を理解するために不可欠です。)
The company’s history shows a consistent commitment to innovation and quality.
(その会社の歴史は、イノベーションと品質への一貫した取り組みを示しています。)

course of events(出来事の経過)

The course of events following the accident was meticulously analyzed to prevent future incidents.
(事故後の出来事の経過は、将来の事故を防ぐために綿密に分析されました。)
The course of events during the investigation revealed multiple layers of corruption.
(調査の経過で、複数の腐敗の層が明らかになりました。)

detail(詳細)

The witness provided crucial details that helped solve the case.
(目撃者は事件解決に役立つ重要な詳細を提供しました。)
The details of the contract were reviewed thoroughly before signing.
(契約の詳細は、署名前に徹底的に確認されました。)

story(物語)

The story of their journey across the country was both inspiring and adventurous.
(彼らの全国を旅する物語は、感動的で冒険的でした。)
The story behind the invention of the light bulb is fascinating.
(電球の発明の背後にある物語は、非常に興味深いです。)

”background”や”history”を使った実際に使える英語例文

ここでは、”background”や”history”を使った英語例文を見ていきましょう。

Aさん
Why did the company decide to relocate its headquarters?
会社はなぜ本社を移転することにしたのですか?
Bさん
The background is that the old location was too small and expensive, and the new location offers more space and lower costs.
以前の場所が狭いうえに費用がかかりすぎており、新しい場所は以前の場所より広く、コストも低いという背景があります。

 

Aさん
What led to the strict regulations on this river?
この川に対する厳しい規制が設けられた理由は何ですか?
Bさん
The history is that there were several severe floods in the past, causing extensive damage to the surrounding communities.
過去に何度か大洪水が発生し、周辺地域に広範な被害をもたらしたという背景があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、「経緯」をテーマに、経緯の意味や英語表現を紹介しました。

経緯は、英語で”background”や”history”と表現します。”background”や”history”はニュアンスが異なり、ビジネスシーンなどのフォーマルな場面で使用される場合が多いことは覚えておきましょう。

さらに、記事の後半では、実際に使える英語例文を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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