この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「お金」「貧乏」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。
「お金」とは、英語では”money”、現金や資産全体のことです。お金が潤沢にあることを「裕福」と言いますが、反対にお金が少なく生活が苦しいことを「貧乏」といいます。貧乏という言葉にはネガティブなイメージがありますが、節制し無駄なお金を使わないことは、高潔なイメージがあり、そうした無駄な贅沢を好まないことを「清貧」といいます。
そんな「お金」「貧乏」のつく「ことわざ」を今回は4つ選んで英語に訳しました。
1.金は天下の回り持ち
「金は天下の回り持ち」は、お金は世の中を周るものなので、仕事に精を出していれば自分の元にお金が回ってくるという意味の「ことわざ」です。
また、お金を持っていたとしても、お金は同じところにずっと留まるものではないので、いつかは離れて貧乏になってしまうこともあるという意味もあります。「今金がないからといって、くよくよして悲観してみても始まらない」という楽観的な見方を表すことわざです。
同じ意味をもつ「ことわざ」に「金は天下の回りもの」があります。
英語では
“Money is a great traveler in the world.”
と翻訳することができます。
”traveler”は「旅行者、旅人」の意味です。
このことわざを使った会話文を見てみましょう。
訳)グローバル化が貨幣の流れにどんなふうに影響するか、説明できますか?
訳)それは、国家間の貿易や投資を促進します。
訳)その通り。金は天下の回り持ち。それはグローバル市場を形成しながら、貿易、送金、投資などを通して素早く移動します。
訳)でも、それは一国の財政危機が世界全体に影響を及ぼし得るということじゃないですか?
訳)まさにその通り。それは、グローバル化したお金の動きの諸刃の剣です。
“double-edged sword”は「諸刃の剣」で、一方では役に立つが、他方では大きな害を与える危険性があるという意味です。
2.地獄の沙汰も金次第
「地獄の沙汰も金次第」は、お金さえあればその力でどんなことも解決できるという意味の「ことわざ」です。この世よりももっと厳しいとされる地獄の裁きも、お金さえ払えば手加減してもらえることがあるといい逸話から生まれた「ことわざ」です。
昔の人は死後、三途の川を渡るにはお金が必要だと考え、死者の埋葬時に六文銭を持たせていたそうです。
英語では
“No penny, no pardon.”
と訳すことができます。
直訳すると「金がなければ、免罪もない」という意味で、”penny”とは、オーストラリア・カナダ・ニュージーランド・米国などの1セント銅貨のことです。
”no A , no B”で「Aが無ければBも無い。」という意味になります。”pardon”は「許すこと、許し」の意味で、ここでは「免罪符」の意味として使われています。
”no A , no B”の表現については、みなさんもきっと聞いたことがあると思います。例えば、”No Music, No Life”「音楽がなければ、人生もない」という表現。これはタワーレコードの企業メッセージで、音楽好きの人々の心に響いて有名になりました。Musicのところに、自分が大好きなものを入れて、自分なりの表現を作ってみてはいかがでしょうか。
さて、”No penny, no pardon”を使った会話文も見てみましょう。
訳)ボトル1本の水をいただけますか。でも、1ダイム不足しています。
訳)申し訳ないけど、地獄の沙汰も金次第。ビジネスはビジネスだよ。
訳)本当? たった1ダイムじゃない。
訳)規則は規則だよ、お客さん。全額を持って出直してきな。
3.貧乏 暇なし
「貧乏暇なし」は、貧乏人は生活に追われているので、他のことをする余裕がないことを意味する「ことわざ」です。なぜ貧乏なのかを考えると、時給が低いから長時間働かないと、人並みの生活をするための生活費が稼げないのかもしれません。余暇に使える時間を増やしていくために、どうすれば時給が上がるかを考えていくのも良さそうです。
英語では
“There is no leisure time for the poor.”
と訳することができます。
直訳すると「貧乏人に余暇の時間は無い。」という意味です。
”leisure”は「暇(な時間)、余暇」の意味です。
このことわざを使った会話文を見てみましょう。
訳)産業革命の時代、工場で働く労働者は16時間労働に従事し、生きていくのに必要な給料を稼ぐのがやっとでした。
訳)疲労困憊だね。どうやって彼らはやりくりしだんだろう。
訳)生きることが何よりも優先されるとき、貧乏人に余暇などないよ。
訳)それを聞くと、現代の労働法に感謝しちゃうよ。
4.悪銭 身に付かず
「悪銭身に付かず」は、不正な方法で得た金は、たちまちなくしてしまうことを意味する「ことわざ」です。自分で稼いだお金は大事に使うものですが、賭博や拾って得たお金は、お酒や娯楽ですぐに使ってしまい、結局後には残らないという意味です。
このことわざについては、皆さんも思い当たる節があるのではないでしょうか。自分で働いてお金を稼いでいる人は、どれだけお金を稼ぐのが大変かを知っているため、分相応のお金の遣い方をして破天荒なお金の遣い方をしません。
英語では
“Easy money is easy to spend.”
と訳すことができます。
”Easy money”とは「楽に手に入れたお金」のことです。”easy to spend”は「浪費してすぐになくなってしまう」という意味です。
このことわざを使った会話文を見てみましょう。
訳)伊藤氏について聞いた? 先月、彼は宝くじで1,000万円当たったよ。
訳)ワオ! 彼はそれで何をしたの?
訳)彼はそのすべてを電子機器やパーティーに遣っちゃった。いま彼はまた破産してるよ。
訳)それは驚くに値しない。悪銭身に付かずだね。人は一生懸命働かないものを貯めることはめったにない。
まとめ
今回は、「金・銭」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。会話文も紹介しているので、もし機会があれば、会話の中で紹介したことわざをぜひ使ってみてください。
年末年始は何かとお金が必要になる時期です。「金は天下の廻りもち」という「ことわざ」にあるように、時としてお金は使うことも必要です。しかし、使いすぎてしまいお正月明けから「貧乏暇なし」なスタートを切らなくて済むように、計画的に使いたいものですね!
今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!