ビジネスにおける顧客管理の重要性がますます高まっています。対策として、アメリカ発祥のあるソフトウェアを利用する企業が国内でも多くありますが、それがどのようなものかご存知ですか?

この記事では、CRMについて解説します。一般のビジネスと医療業界などにおいて活用されているCRMを理解しましょう。

CRMとは何の略?

CRMとは何の略?

CRMと聞いて、何の略か分かる人はいますか?
まず、CRMという言葉を理解するために何を省略した表現なのか、また背景に関しても紹介します。

CRMとは?

CRMは、Customer Relationship Managementを略した言葉です。日本語では「顧客関係マネージメント」として、マーケティングに関係する用語として使用されます。

CRM発祥はアメリカ

スマホ、インターネット検索、絵文字やインスタも、すべて90年代に生まれたアイデアに基づいて構築されました。実は、CRMも1990年代前半から存在している管理ツールです。

1995年、Siebel Systemsというソフトウェア会社が「顧客関係管理」という用語を作り出し、当時CRMの概念を公式化しました。その後、Siebel Systemsは2005年にアメリカ系IT企業オラクルによって58億ドルで買収されています。
オラクル社が提供するCRMは”ORACLE Siebel CRM”という名前ですが、このような歴史が背景にあるからなのです。

CRMを利用する企業

CRMはSalesforce社、Microsoft社、Oracle社などが主要ベンダーであり、Customer Relationship Management Softwareというソフトウェア自体は、世界中あらゆる規模の企業で導入されています。例えば、従業員数が11人以上の企業では91%もがこのCRMを使用していると言われています。

crmの意味 – ビジネス

ビジネスに深く関係するCRMですが、実際にどのような内容であるのか紹介しましょう。

CRMで何ができる?

CRM(=顧客関係性マネージメント)は文字通り、顧客との関係を一元管理しながら、その関係をより良いものにしていきます。例えば、どれだけ優れた商品やサービスがあっても、それを購入する顧客がいなければビジネスは成り立たないため、顧客との関係性を強化することがCRMの目的です。
実際には、顧客の氏名・年齢・性別・連絡先・メールアドレスなどのデータ管理、これらのデータを基に行う分析、購買した金額や頻度など顧客の行動を管理しクーポンなどを送信する、などが行われます。成功例で言えば、CRMで顧客の購買データを検証し、購買2週間以内に再購入する顧客がいるということからそのタイミングにあうメールの積極配信を行い販売拡大につなげたというものがあります。

獲得した顧客を維持するためのCRMマーケティングという用語もあります。これにより、顧客の情報を可視化したり、より戦略的な営業ができ、ひいては顧客満足度の向上をはかることができ顧客ロイヤリティを高めるとともに、業務の効率化という大きなメリットとなります。

英語でみるビジネスのCRM

消費者の購買行動がオンラインへ移行したことから、CRMによる情報収集、そして分析が欠かせなくなりました。以下の例文ではテクノロジー、デジタルマーケティングといった言葉が使用されています。

Aさん
CRM is a technology for managing a company’s relationships and interactions with all of its customers and potential customers.
訳)CRMは、企業とそのすべての顧客および潜在顧客との関係ややり取りを管理するためのテクノロジーです。
Aさん
CRM solutions have become an essential part of modern digital marketing.
訳)CRMソリューションは、現代のデジタルマーケティングに不可欠な要素となっています。

crmの意味 – 医療

crmの意味 - 医療

次にみていきたいのはビジネスから離れて、医療業界におけるCRMです。顧客を患者に置き換えると、どのようなシステムか理解できます。

医療業界におけるCRM

CRMが医療機関にも普及してきました。
医療の分野でも、患者に対する膨大なデータが取り扱われています。それらを管理するシステムがCRMです。
顧客満足度ならぬ「患者満足度」の向上を目指す医療機関がCRMを導入し、患者の健康管理・予防医療の伝達・定期的な健康状態および治療した効果についてアドバイスを提供したりすることで、患者とのより良い関係構築が期待できます。

CRMで取り扱うデータには、診察の履歴、検査結果、そして処方箋といった情報が含まれます。これらに加え、医師とのやり取りもインプットされます。CRMを使用しデータベース化することにより、患者との関係を良好にし、満足度を向上させる目的があります。
顧客の情報を可視化するビジネスにおけるCRMは、医療業界でも最適な医療サービスの提供、トラブル回避など様々な面でメリットがあります。
なお、サイバー攻撃などに対しては、業界が業界なだけにさらに厳重なセキュリティが求められます。

英語でみる医療のCRM

医療業界のCRMは、英語でHealthcare CRMになります。イギリスには税金で運営されるNHS(National Health Service)と呼ばれる国民保健サービスがあります。NHSでも顧客からの問い合わせをサポートするためにCRMを使用しています。

Aさん
A Healthcare CRM system is a specialised tool designed to improve patient care, streamline operations, and enhance provider efficiency.
訳)ヘルスケアCRMシステムは、患者ケアの改善、業務の合理化、プロバイダーの効率性の向上を目的として設計された専門ツールです。

医療業界におけるもう一つのCRM

CRMにはもう一つ、メンタルに関する用語として使われる意味があります。Mental Health CRMは、特にメンタルヘルス提供者のニーズを満たすように設計されています。多くの人が精神的な悩みを抱えている現代ならではの管理ソフトウェアと言えるのではないでしょうか?

crmの意味 – コールセンター

ここまでお読みいただき、CRMが様々な分野で使用されているのではないかと考えられた人もいるのではないでしょうか?最後に、コールセンターで使われるCRMの意味を紹介しましょう。

コールセンターで使用されるCRM

コールセンターは企業が顧客と電話でコミュニケーションをとる部門を言います。ヘッドフォンをつけて、客からの電話に応えるスタッフがずらりと並ぶシーンを想像できます。スタッフはOJTと呼ばれるトレーニングを受けて業務につきます。
電話の内容は、商品やサービスに関する問い合わせからクレームまで様々です。なお、コールセンターはカスタマーセンターとは違い、電話をかけて商品やサービスの案内をするアウトバウンド型の役割も持っています。

企業にとって顧客とのつながりという重要な役割を持つコールセンターにもCRMが導入されています。そもそものCRMの意味が顧客関係管理ですので、使われ方もイメージできますね。データとしては、顧客の基本情報から購買の履歴や問い合わせの内容などが含まれます。仮に苦情を訴える顧客だとしても、苦情にこそビジネスヒントが隠されていると言われます。クレームを正しく処理していくことで顧客満足につながるからですね。コールセンターのCRMは顧客の満足度を上げると同時に、コールセンタースタッフが正しいデータを参照し、電話で迅速に回答ができる即戦力になるというメリットもあります。

英語でみるコールセンターのCRM

コールセンターの英語はcall centre(call center)です。前者がイギリス英語、後者カッコ内がアメリカ英語になります。

Aさん
Call centre CRM solutions enable businesses to better manage their customer interactions.
訳)コールセンターCRMソリューションによって、企業は顧客とのやり取りをより適切に管理できるようになります。
Aさん
Our company decided to use a call centre CRM to personalise customer contacts and understand a customer’s history with us.
訳)当社は、顧客とのコンタクトをパーソナライズし、我が社との顧客履歴を把握するためにコールセンターCRMを使用することを決定しました。

まとめ

CRMは、Customer Relationship Managementを略した言葉です。日本語では「顧客関係マネージメント」や「顧客関係管理」になり、様々な情報をデータ化して効率的に顧客または患者の満足度を向上させるために使われます。将来、英語で仕事をしようと考えている人には要チェックのソフトウェアかもしれません。

【関連記事】