みなさんは、「アノテーション」という言葉を聞いたことはありますか?
「アノテーション」は、英語の”annotation”からカタカナ言葉で、注釈や注記などを意味するIT用語です。
ビジネスシーンで頻繁に用いられている「アノテーション」ですが、詳しい意味まではよくわかっていない、という方も多いのではないでしょうか。
今回は、AIの学習や活用に欠かせない「アノテーション」について、ビジネスにおける意味と英語”annotation”の正しい使い方、そして類義語を例文とともに紹介していきます。
「アノテーション」とは?
「アノテーション」は、英語の”annotation”をカタカナで表記した言葉です。
ビジネス、特にIT業界においては、テキストや音声、画像、動画といったさまざまな形態のデータに、分類のためのタグを付ける作業を意味します。
「アノテーション」の例
プログラミング言語Java | プログラム中に記載する注釈を指す |
あらゆるWebサイト | デバイスによってURLが異なる同一ページの存在を検索エンジンに知らせるための設定を指す |
動画配信サイトYouTube | 動画上に表示させるクリック可能なテキストやメモ、吹き出し、ラベルなどの機能を指す (2019年に完全廃止となっている) |
AIの学習に欠かせない「アノテーション」
さまざまな業界でAI(人工知能)が導入され始め、音声アシスタントや音声認識アプリケーションが活用されていますよね。
車の運転アシストからお掃除ロボット、チャットボット、電話の応答システム、医療の診断と提案など、AIはわたしたちの生活に密着した、とても身近な存在となりつつあります。
「アノテーション」は、そんな近年急速に発達しているAIの機械学習に欠かせません。
AIは、「ビッグデータ」という人間が把握しきれない巨大なデータ群から収集したデータをもとに、将来のデータ予測を行い学習を積んでいきます。
膨大なデータを用いた機械学習には、『何に関する、どのようなデータであるのか』という詳細な情報が必要になります。
この情報(タグ・メタデータ)を追加していく作業が「アノテーション」です。
「アノテーション」は、大きく3つに分類されます。
画像・動画のアノテーション | 画像や動画に含まれる特定の部分を囲ってタグ付け作業のこと
「物体検出」、「領域抽出」、属性を分類する「画像分類」の3つの手法がある |
音声のアノテーション | 音声認識や意図抽出のためのタグ付け作業のこと
音量や音の種類を対象とするタグ付けと、人間が発した言葉を対象とするタグ付けがある |
テキストのアノテーション | 大量の文書から特定のテキストを抽出したり、膨大なデータから必要なテキストや文言を分類・集約したりするためのタグ付け作業のこと
文書の判別や内容の分析、不適切なコンテンツの削除も可能 |
”annotation”の意味
「アノテーション」のもとになってる英語”annotation”は、「注釈」や「注記」「注解」などのほかに、「注意を与える」という意味を含んだ名詞です。
辞書では以下のように定義されています。
”explanation”や” description”、”information”とあることから、対象物の説明や情報のことを示しているのがわかりますね。
- a short explanation or note added to a text or image, or the act of adding short explanations or notes
テキストや画像に追加された短い説明やメモ、または短い説明やメモを追加する行為- a description or piece of information added to data, for example a label saying whether a word is a noun, a verb, etc., or the act of adding this
データに追加された説明や情報、たとえば、単語が名詞か動詞かなどを示すラベル、またはこれを追加する行為
”annotation”は、補足説明や解説、詳細な情報を付け加えることを指し、文書や画像、動画がより理解しやすくなるように設定されます。
なお、”annotation”の発音は、/ˌæn.əˈteɪ.ʃən/ で、「アナテイシャン」のように読みます。
「アノテーション」とは「ノ」と「テー」の音も異なるため特に注意が必要です。
”annotation”を使った例文
”annotation”の使い方を例文で紹介していきます。
カタカナ「アノテーション」との違いにも注目して読んでみましょう。
訳)文学作品に注釈をつけると、理解しやすくなります。
訳)改訂版の書籍には、多くの有用な注釈が含まれています。
以下の例文は、タグ付け作業の「アノテーション」と近い表現ですね。
訳)注釈付きのコンピュータ化された音声の方言データが利用できます。
訳)手作業によるアノテーションは通常、実験データセットの作成時に行われます。
”annotation”の類義語
最後に、「注釈」や「注記」を表す”annotation”と似ている意味を持つ類義語を紹介します。
類義語を覚えておくと、解釈に迷ったときや言い換えの際に役立つので一緒に覚えておきましょう。
note
”note”は、「短い記録」「覚え書き」「メモ」「本文の注釈」といった意味を表す英語です。
記されたもの、というコアの意味を持ち、名詞と動詞の2つの用法があります。
訳)p.223の注16を参照してください。
comment
”comment”は、「論評」「評言」「批評」「注解」「解説」などの意味を持っている英語です。
訳)彼のコメントのひとつに、州税に関するものがありました。
explanation
”explanation”は、何かを分かりやすくする、理解しやすくするための「説明」「解釈」「釈明」「弁解」を意味する英語です。
訳)彼女は、医療保険案について詳しく説明しました。
observation
”observation”は、観察の「報告・結果」、観察に基づく「意見・所見」を表す英語です。
訳)この本には、作曲の本質に関する興味深い見解が載っています。
まとめ
AIの機械学習やデータの活用に欠かせない「アノテーション」について、ビジネスにおける意味と英語”annotation”の正しい使い方、類義語を紹介しました。
「アノテーション」とは、英語の”annotation”に由来したカタカナ言葉です。
ビジネス、特にIT業界において、画像や音声、テキストなど異なる形態のデータを分類するためのタグ付け作業を指します。
”annotation”は、「注記」や「注釈」の意味を持つので、「アノテーション」のようなタグ付け作業の意味までは含まれません。
ビジネスで用いられるカタカナ言葉は、本来の英語と異なる使い方をする場合もあるので、正しい意味をしっかりと覚えておくことが大切です。
おすすめ関連記事: