今回は、「福」について英語でどう表現していくのかご紹介したいと思います。ただ「福」単体ではあまり使わないので、日本の行事である節分になぞらえていくことにしましょう!あのフレーズ、「鬼は外!福は内!」は英語で言えますか?たとえ海外に節分の文化がないとしても、日本に興味を示してくれる方に紹介するなら知っておきたい英語のフレーズはあります。それらを使って一緒に節分ができたらいいですね!
「福」は英語で?
ではまず、「福」を和英辞書で引いてみましょうか。すると以下のような英語が出てきます。
ふく【福】 (good) fortune; good luck
- 福をもたらす
bring a person good luck「福は内,鬼は外」と叫びながら豆をまいた
He scattered the beans, shouting out, “In with fortune! Out with demons!” - 福の神
the god of wealth - 笑う門には福来たる
Happiness visits a cheerful home. - 残り物には福がある
Left but not least./There is luck in the last helping.
そう、「福」は英語でfortune、good luckと言います。どちらも聞いたことがありませんか?fortuneはAKBの「フォーチュンクッキー」で有名ですし、グッドラックはそのまま人に「ご武運を」のように言うフレーズとして有名です。
そもそも節分とは
ここで既に節分のフレーズまで出てきてしまいましたね。ということで、早速節分の話へ移りましょう!
節分の意味
外国人の方に日本独自の文化を説明するとなると、知っておかなければならないのは正しい日本文化。節分と言って、豆まきをしたり恵方巻を食べることくらいしか思いつかないという人もいるのでは?
そもそも節分とは、2月にだけあるものではありません。本来は季節の移り変わりを指すため、立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日のことを「節分」と言うのです。これは知らなかったという方も多いのではないでしょうか。普段はそんなこと意識しませんもんね。その中でも、太陰太陽暦では立春を年初めとし、立春の前日を特に重視したのです。それが、今私たちが節分として知っている日のこと。
節分の由来
節分で鬼を払うという行事は平安時代ごろに中国から伝わったものの、今節分を祝う習慣があるのは日本だけとのこと。似たような行事は世界各国にあるものの、日本では悪魔を払う時に豆をまくと言うと面白がられるかもしれませんね。ドラキュラににんにくが効くように、悪魔には豆が有効なのかと。
節分は毎年必ずしも「2月3日」とは限りません。「立春の前日」とされているため、立春の日付が動く場合は節分の日付も変わってきます。
2025年は2月2日(日)になります。
Setsubun in 2025 falls on February 2.
訳)2025年の節分は2月2日です。
It’s not the same day every year, is it?
訳)毎年同じ日ではないのですね。
節分には何をする?
節分に行う代表的な行事は豆まきですね。鬼は目に見えない災いの象徴で、昔は病気や災害など悪いものは鬼の仕業だと考えられていました。鬼を退治して厄災を取り除くために、日本各地で豆まきが行われています。
また、恵方巻きを食べる風習も一般的です。「恵方」とは年神様がいるとされる縁起の良い方角のことです。その年の恵方を向いて、話さないで黙々と太巻きを食べる風習は「恵方巻き」と呼ばれています。太巻きは日本で信仰される七福神にちなんで7種の具を入れることが定番です。
福を逃さないよう太巻きは切らずに食べることが勧められており、願い事を唱えながら黙って食べきると願いが叶うといわれています。
その他、節分にはイワシの頭を柊(ひいらぎ)の枝に刺して玄関先につける風習もあります。地方によっては他のものを刺したり、イワシの身の部分を行事食として食べたりするところもあります。また、節分にけんちん汁を飲んだり、そばを食べたりする地域もあります。
What do you eat on Setsubun in Japan?
訳)日本の節分には何を食べますか。
It is customary to eat Ehomaki.
訳)恵方巻を食べる習慣があります。
豆まきの意味は?
豆まきが始まった時期は明確にはなっていませんが、室町時代の頃の文献に「鬼は外、福は内」と唱えながら豆まきしていたことが記録されているということです。江戸時代には、歌舞伎役者による豆まきイベントなどが開かれ、民間でも広がってきました。
豆まきで大豆が使われるようになったのは、米に次いで神聖な穀物だということや、まいた時の音が大きく、鬼を追い払う力が大きいと考えられたなどといわれています。
豆まきは英語でthrowing beansと言います。
節分に関する英語を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
海外には節分はないの?
節分は日本の伝統行事ですが、海外では「節分」に似た行事はないのでしょうか。
中国の行事
節分は中国から伝わったと言いましたが、節分の元となった中国の行事はどのようなものなのでしょうか。
昔、中国には「鬼やらい」「追儺(ついな)」という節分に似た行事があったそうです。「季節の節目に邪気が入り込む」という考え方は、元々中国にありました。
中国では、豆まきではなく陰陽師の祈祷によって邪気を追い払うので、日本の豆まきとは形式は違いますが、意味合いは同じです。
イギリスの厄払い
イギリスでは、女性は年齢に7が付く歳、男性は年齢に4が付く歳が厄年だといわれています。厄年には、年齢の数だけの木の実を集め、3日間外気にさらし、庭先で多くの人に見守られながら木の実を焼いて厄除けをします。
歳の数だけの豆を食べる日本の節分と似ていますね。
In England, it is said that the fruits of the tree are collected as many as the number of ages as an exorcism.
訳)イギリスでは、厄払いとして年齢の数だけの木の実を集めるそうです。
It’s similar to sowing beans in Setsubun in Japan.
訳)日本の節分の豆まきと似ていますね。
スペインの厄払い
スペインでは、女性が14歳、34歳、男性が24歳、44歳が厄年とされています。厄年には、年齢の数だけ馬の肉片を食べるそうです。食べ終わった後は、一昼夜、歌って踊り続けることで厄払いするとのことです。
イギリスと同じく、歳の数だけ何かを食べるところは、日本の節分と似ていますね。
スペインのトマト祭り
スペインのバレンシア地方で行われるトマト祭り(トマティーナ)はニュースなどで見たことがある人も多いのではないでしょうか。
町中をビニールシートで覆って、男性が裸になってトマトを投げ合うお祭りです。
トマト祭りは収穫祭だそうですが、かなり激しいお祭りですね。
食べ物を投げるという点は、少し日本の節分と似ているかもしれません。
海外から見た節分の印象は?
海外の人は、日本の節分にどのような印象を持っているのでしょうか。
豆を投げて鬼を退治するのは、日本独自の風習で面白いと思っているようです。また、鬼を退治するだけでなく福を招くことも同時に行うのは日本らしく、楽しそうという印象もあるようです。
このような日本の伝統行事について、海外の人に英語で話せるようになるといいですね。
Not only exterminating demons but also inviting good fortune to Setsubun seems to be fun in Japan.
訳)節分に鬼を退治するだけでなく福を招き入れるのは、日本らしくて楽しそうですね。
Inviting good fortune is a custom unique to Japan, isn’t it?
訳)福を招き入れるのは、日本独自の風習なのですね。
外国の人に鬼について説明したい方は、下記の記事をご参照ください。
「鬼は外!福は内!」を英語で言ってみよう!
「鬼は外!福は内!」の表現はいろいろありますが、先ほどの辞書に載っていた表現も合わせて複数ご紹介しましょう。
- In with fortune! Out with demons!
- Demons out! Fortune in!
- In with luck! Out with Devils!
鬼はdemonsやdevilsを使い、福には先ほどご紹介した通りfortuneやluckを使います。これらのうち、言いやすいなと思うものを使えば良いでしょう。まあ、海外の方なら日本語で覚えたいと思うでしょうけどね。最初に意味を伝える時には上記の表現を伝えると、より理解してもらえるでしょう。
では、以下で例文を見て使えるようにしておきましょうか。
Setsubun is a Japanese traditional event on 3rd of February.
訳)節分は2月3日に行う日本の伝統的な行事なんです。
Event? What do you do on that day?
訳)行事?その日には何をするんですか?
節分は日本にしかないので、基本的にはローマ字で書きますね。
We say, ”In with fortune! Out with demons!”
訳)「鬼は外!福は内!」って言うんです。
…With throwing beans?
訳)・・・豆を投げながら?
私たちの生活には当たり前にあったものですから疑問を持たないまま来たかもしれませんが、よく考えると鬼が豆で撃退できるならかなり弱い鬼なのか…?外国人の方の反応から日本の行事のおかしさを気付けることもあります。
After throwing beans, people eat as many beans as their ages.
訳)豆をまいた後、自分の年齢の数だけその豆を食べるんです。
What!? I’m 79!
訳)そうなの!?私79歳なんだけど!
自分の年の数だけ豆を食べるというのもやはりよく考えたらなんだかおかしな風習と思えなくもないですね。小さな子どもがいる家庭はやっていても、子どもが大きくなると豆まきをする機会も食べる機会もそんなにないでしょうかね。
節分の鬼はどこへ行く?
「鬼は外、福は内」と豆をまきながら唱えますが、鬼というのは具体的に存在するものではなく、人の心の中にあるものとも考えられています。したがって、豆まきでは自身の心の中にある邪気を払い、精神的な浄化を図ることにもなります。
節分で追い出された鬼が引き寄せられていく場所として、神社や寺で鬼たちを迎え入れる儀式が行われることもあります。奈良県吉野郡の金峯山寺蔵王堂や神奈川県川崎市の千蔵寺では、鬼を改心させることを目的として、「鬼は内、福は内」と唱えながら鬼を呼び込む豆まきを行っています。
節分の鬼は各地の文化によってさまざまな形で解釈されていますが、心の中の邪気を払い、新たな始まりを迎えるための行事という点は共通しています。
福はどうやって内に入れる?
「鬼は外」と豆をまいた後、鬼が入ってこないように窓を閉めて「福は内」と言いながら家の中に豆をまく方法が一般的です。
トイレなど隙間が多い場所への豆まきは、小袋入りの豆を使用し、袋入りのまままくと、豆まき後の掃除が楽になります。
まとめ
「福」は基本的にfortuneかluckという英単語でOKでしたね。そしてその「福」を使うことの多い節分を正しく理解し、英語で説明できるように学習できたでしょうか。言い回しはたくさんあるため自分なりに伝えたいところをピックアップしてもらってももちろん良いですし、機会があるなら海外の方と一緒に恵方巻を作って食べたり豆をまいたり、文化を共有できたらいいですね。