この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「口・舌・目・耳・鼻」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。
「口・舌・目・耳・鼻」とは、それぞれ生き物の体にある器官のことを指します。口は英語で”mouth”といい、食物を取り入れ分断する部分であり、呼吸器でもあります。舌は英語で”tongue”といい味覚を司る部分であり、言葉を喋る際に使います。目は英語で”eye”といい物を観るための器官です。耳は英語で”ear”といい音を聞くための器官であり、平均感覚を認知する部分でもあります。鼻は英語で”nose”といい匂いをかぎ分ける器官です。
そんな「口・舌・目・耳・鼻」のつく「ことわざ」を今回は6つ選んで英語に訳しました。
1. 口は禍の門
「口は禍の門」は、うっかり口にしたことが思わぬ災いを生みだす可能性があるので、言葉を発する時はよく考えよという意味の「ことわざ」です。「口は禍の元」という「ことわざ」と同じ意味です。
英語では
“The mouth is the gate of the calamity.”
と翻訳することができます。
”calamity”は「災難」のことです。
この英語のことわざを会話文で使ってみましょう。
訳)お姉さんに、あなたが仕事を辞めようと思っていると伝えたわ。
訳)なんで彼女にそれを伝えたの?彼女がママに話したから、みんなパニックになってるよ!
訳)それは大したことだと思わなかったから。
訳)それは大したことだよ。口は禍の門だよ。
他にも
“Words can be the source of great harm.”
と翻訳することができます。
”harm”には名詞と動詞があり、ここでは不可算名詞の「損害」という意味です。
”source”は「源・水源、原因」の意味があります。直訳すると「言葉は莫大な損害になり得る。」という意味になります。
2. 口も八丁 手も八丁
八丁とは一丁の八倍を意味し、物事が達者なことを意味します。「口も八丁 手も八丁」は、よく喋るだけでなくよく手も動かしていることから、両方の才能を持つやり手を意味する「ことわざ」です。
英語では
“He speaks and writes with equal facility.”
と訳すことができます。
”with equal facility”で、「同じくらいのたやすさで」
「彼は口も八丁 手も八丁」という表現を会話文で使うことがありますが、その英語表現が分かったところで、会話文でそれを使ってみましょう。
訳)投資家への説明と政策立案の両方をこなせる人材が必要です。
訳)ジョナサンはどうかな?
訳)いいね。彼は口も八丁 手も八丁だよ。彼を連れてこよう。
3.目には目、歯には歯
「目には目 歯には歯」は、与えられた害に対して同じ仕返しをすることを意味する「ことわざ」です。この「ことわざ」は、ハンムラビ王が発布した法律を元にしており、『ハンムラビ法典』に記載されています。「やられたらやり返せ」という復讐の意味で捉えてしまいますが、本来は「犯した罪は自分に返ってくる」という意味で復讐の無意味さや罪を犯すことで自分に襲い掛かる「報復」を解いています。
英語では
“An eye for an eye, a tooth for a tooth.”
と訳すことができます。
「報復」は、英語で”retaliation”です。この英語のことわざを使った会話文を紹介します。
訳)中国は、米国が関税を引き上げた後、再び関税を引き上げたね。
訳)うん。それは最初から、目には目を、歯には歯をだよ。
訳)米中貿易戦争には、真の勝者はいないと思うよ。
4.目も口ほどに物を言う
「目も口ほどに物を言う」は、口に出して言わなくても、目つきでそれを相手に伝えることができることを意味する「ことわざ」です。家族や仲の良い友人の表情を見るだけで相手の考えをくみ取れるように、目は顔の中で一番表情に富んでいることから、口に出さよりも目と目を合わせることで意思の疎通を図ることができます。
英語では
“The eye is more eloquent than the mouth.”
と訳すことができます。
”eloquant”は「雄弁な」という意味で、”more eloquent than~” で「~より雄弁な」という比較級です。
訳)彼は無実だと誓ってるね。
訳)でも、私たちが被害者の話をしたときの彼の目を見た?
訳)うん。目は口ほどに物を言うだね。
5.目と鼻の間
「目と鼻の間」は、非常に近いことを意味する「ことわざ」です。
英語では
“That distance is as short as between the eyes and the nose.”
のように表現され、「その距離は目と鼻の間ほど近い。」と翻訳できます。
「目と鼻の間」の類義語「目と鼻の先」と同じ意味で、”stone’s throw”という表現がつかわれます。「石を投げると届く距離」という意味で、とても近い距離を表します。例えば、”My house is a stone’s throw from the here.” 私の家はここから目と鼻の先です、という使い方をされます。”throw”は「投げる、投げかける」の意味です。
訳)その手がかりは、ちょうど私たちの前にあったね。
訳)うん。目と鼻の間だった。僕たちはそれを見逃していたよ。
6. 馬の耳に念仏
「馬の耳に念仏」は、「馬にありがたい念仏を聞かせても無駄である」という意味で、いくら意見をしても全く効き目のないことのたとえとして使われます。
英語では
”A nod is as good as a wink to a blind horse.”
と翻訳できます。これは、英語圏のことわざで、それを直訳すると、「目の見えない馬にうなずいてもウインクしても同じことだ」という意味ですが、「価値の分からない者に何をやっても、効き目がない」というニュアンスで使われます。
”In one ear and out the other.”「片方の耳に入ってもう片方の耳から出ていく」も、どんなことを言っても全く効き目のないことのたとえとして、「馬の耳に念仏」の英訳として使われることがあります。
訳)彼に2回eメールを送って、締切を太字にしたんだけど。
訳)それで何が起きたの?
訳)まだ彼から返信はなし。
訳)馬の耳に念仏だね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、「口・舌・目・耳・鼻」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。
日本語には、体の部位を使ったことわざが結構ありますが、英語でも日本語と同様に体の部位を使うことわざもあれば、そのままは使わないものがあることが分かりましたね。
機会があれば、英会話の中で英語のことわざを使ってみてください。
今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!