みなさんは、「…なスタンスをとる」や「…のスタンスでいく」といった言葉を聞いたことはありますか?
日常会話だけでなく、ビジネスシーンでもよく使われる表現ですよね。
「スタンス」は、英語に由来したカタカナ語として広く知られており、物事に対する「立場」や「姿勢」を表すときに用いられています。
いろいろな場面で頻繁に耳にはするものの、「実際のところ、意味はよくわかっていない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、複数の意味を持つカタカナ語「スタンス」について、英語”stance”の意味と使い方、言い換え表現を紹介していきます。
「スタンス」とは
「スタンス」は、英語の”stance”に由来したカタカナ語です。
日常会話をはじめ、ビジネスシーンや公的な場でも頻繁に使われています。
その場の状況や文脈によって違う意味を持っており、使用される場面や範囲がとても幅広い言葉です。
基本的には、ビジネスでの「立場」、また物事に対する「態度」や「姿勢」のことを指して使われます。
ゴルフやテニスなどのスポーツにおいては、「体の構え」や「足の位置」、「フォーム」などを表す際にも用いられます。
さまざまな場面で多用されている「スタンス」の使用例を紹介しましょう。
【スポーツ】
- スタンスを広くとるのがコツだ。
- スタンスの幅が狭いとうまく打てない。
- まずはスタンスのとり方から習った方が良い。
【ビジネス】
- 受け身のスタンスでは成長できない。
- マネージャーとしてのスタンスで発言する。
- 中立的なスタンスを貫くのは難しい。
【日常会話】
- 彼に対するわたしのスタンスは変わらない。
- 糖質オフのスタンスでダイエットをはじめた。
- 材料は国産だけを使用するのが彼女のスタンスだ。
「スタンス」には、その人の物事への取り組み方や心構えといった精神的なニュアンスが含まれます。
明確な基準や正解がないため、「スタンスが大きい/小さい」または「スタンスが良い/悪い」のような言い方は適切ではありません。
なお、聞き手によっては、カタカナ語を多用されることを不快に思う人もいますので、その場の状況や雰囲気、相手との距離感などには気をつけて使うようにしましょう。
”stance”の意味
カタカナの「スタンス」は、「態度」や「姿勢」、「構え」など、複数の意味を表した言葉ですが、英語の”stance”も同じような意味を持っているのでしょうか。
”stance”の本来の意味を辞書で改めて確認してみましょう。
- a particular way of standing
特定の立ち場- a particular way of thinking about something, especially when those opinions are expressed publicly or officially
何かについての特定の考え方、特にそれらの意見が公にまたは公式に表明される場合
英語の”stance”も、「スタンス」とほぼ同じ意味で、「立場」や「姿勢」を表します。
特に政治的な話題や、社会の問題などをテーマに、個人の見解や考え方、態度などを示す際に使われることが多いです。
スポーツの体の構えや向き、姿勢などを意味する点でも、「スタンス」と同様の使い方ができます。
”stance”の発音記号は、イギリス英語が [stɑːns]、アメリカ英語が [stæns] です。
イギリス英語は、日本語のカタカナ表記に似た「スターンス」と、アメリカ英語は「エ」の音が入るような「ステーンス」と読むと本来の発音と近くなるでしょう。
”stance”を使った例文
”stance”を使った例文を紹介します。
数えられる可算名詞として、個人の意見や考え方を表す「態度」や「姿勢」と、物理的な体の向きを意味する「位置」や「構え方」の2つに分けて確認してみましょう。
物事に対する「態度」や「姿勢」
訳)彼らは、一貫して中立的な立場を保っています。
訳)本書の著者たちは、それぞれ異なるスタンスをとっています。
訳)価格設定に対する彼らのスタンスは、かなり柔軟性に欠けています。
訳)大統領の犯罪に厳しい姿勢が、有権者に訴えかけました。
訳)同紙の政治的立場からすると、この事件を公平に報道できる可能性は低いです。
体の「位置」や「構え方」
訳)ゴルフクラブのプロが、わたしの姿勢とスイングについてアドバイスをくれました。
訳)ジェニーは、ボールをキャッチするために足を少し開いて構えました。
訳)彼は、投手に対して背中が真っ直ぐに見える独特のバッティング姿勢で有名でした。
訳)クリケットでは、打者のスタンスが非常に重要です。
訳)彼のスタンスは非常に悪いです。だからボールを上手く打てないのでしょう。
”stance”の言い換え表現
最後に、”stance”と似た意味を持つ類義語を紹介します。
「態度」や「姿勢」表す
- attitude(態度、心構え、気持ち、考え、意見、姿勢、身構え)
- stand(立ち止まること、停止、立場、見解、態度、位置)
- position(位置、場所、所在地、ポジション、姿勢、構え)
- viewpoint(視点、観点、立場、見地)
「立場」や「構え」を表す
- posture(体の姿勢、ポーズ態度、状態、形勢)
- carriage(姿勢、構え、身のこなし身のこなし、態度)
- bearing(態度、ふるまい、挙動、関係、趣旨、方角)
- deportment(人前での態度、行儀、立ちふるまい)
”bearing”や”deportment”は、英検準1級以上のレベルで初心者には少々難易度が高めですが、”stand”や”posture”は、知っておいて損はないとても基本的な単語です。
また、”attitude”と”position”は、どちらもカタカナとしてもよく使われる頻出単語なので、正しい意味をしっかりと覚えておきましょう。
まとめ
複数の意味を持つカタカナ語「スタンス」について、英語”stance”の意味と使い方、言い換え表現を紹介しました。
「スタンス」は、英語の”stance”に由来したカタカナ語です。
”stance”は、物事に対する個人の見解や意見を表す「姿勢」や「態度」、スポーツにおける「体の向き」や「構え」を意味しています。
英会話において、自分の考えや意見をはっきりと述べることはとても重要です。
「うんうん」と頷いたり、黙ったまま目配せしたりするだけで意思疎通ができる日本語のコミュニケーションと違い、英語では自分の「スタンス」をしっかり相手に明示する必要があります。
英語学習では、文法や語彙の習得に加えて、「スタンス」の表し方も一緒に学んでいきましょう!
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