「クロノスタシス」という言葉を耳にしたことはありますか?

日常生活ではあまり使われませんが、時計の針が止まって見える錯覚現象を指す専門用語です。

また、『BUMP OF CHICKEN』の楽曲タイトルとしても知られ、映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の主題歌にもなっています。

本記事では、そんな「クロノスタシス」の意味や英語表記、関連する錯覚現象について詳しく解説します。

視覚の錯覚や時間知覚に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

「クロノスタシス」の意味は何?

「クロノスタシス」の意味は何?

皆さんは日本語で使われる「クロノスタシス」の意味をご存知でしょうか?

日常会話で使われるシーンはほとんどありませんが、ある有名な歌手が歌う曲名になっているほどの名前だったりします。

ここでは、そんな「クロノスタシス」の意味を詳しく見ていきましょう。

「クロノスタシス」とは「時計の針が止まって見える現象」のこと

結論から言うと、「クロノスタシス」とは「時計の針が止まって見える現象」のことを指します。

色々な意味で解釈をされていますが、参考としてウィキペディアでの解釈を以下に引用しました。

クロノスタシス(英:Chronostasis)は、サッカード(英語版)と呼ばれる速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が、長く続いて見えるという錯覚である。

参考:ウィキペディア

英語で記載する際は”Chronostasis”と表記することができますが、英語の辞書で”Chronostasis”と調べても意味が出てこないので注意です。

“Chronostasis”はギリシャ語から来ている

英語の辞書で”Chronostasis”と調べても出てこない理由の一つして、この言葉がギリシャ語由来なところがあります。

この単語は「時間」を意味する”χρόνος(chronos)”と、「持続」を意味する”στάσις(stasis)”が由来となって成り立っているのです。

また、その専門性の高さから意味が出てこないという部分もあります。

『BUMP OF CHICKEN』の曲名として知られている

日常会話で「クロノスタシス」という言葉を耳にする場合、多くのケースがこの『BUMP OF CHICKEN』の曲名関連の話題からでしょう。

こちらは『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の主題歌として有名になった曲であり、18作目の配信限定シングルとして2022年4月11日にリリースされた曲です。

参考:ウィキペディア

MVでも先に紹介した「時計の針が止まって見える現象」を彷彿とさせる、時の流れを意識した特徴的な映像が特徴的です。

ぜひ一度「クロノスタシス」がどんなものなのかを視覚的にイメージ付けられるので、触れてみるのも良いでしょう。

「クロノスタシス」の類語

「クロノスタシス」の類語

ここまでは「クロノスタシス」という、「時計の針が止まって見える現象」のことについて紹介してきました。

しかし、この言葉はそれこそ専門性が高かったり、『BUMP OF CHICKEN』の曲名ということを知らない人からすると、イメージが伝わりにくい可能性も。そこで、本項目ではクロノスタシスの類語を紹介していきます。

  • “Saccadic Suppression” – サッカード抑制
  • “Afterimage” – 残像効果
  • “Time Dilation” – 時間の遅れ

「クロノスタシスって言い換えると○○みたいな感じ!」と言えると便利なので、詳しく見ていきましょう。

“Saccadic Suppression” – サッカード抑制

“Saccadic Suppression”は、和訳すると「サッカード抑制」という専門用語になります。

専門的な言葉での説明ではなく、シンプルにお伝えすると「目を素早く動かしたときに、脳が視界のブレを感じないように一時的に視覚情報を遮断する仕組み」のことです。

例えば、鏡で自分の目を見つめ、左右に動かしてみてください。すると、目が動いている瞬間を見ることはできないと思います。これがまさに「サッカード抑制」であり、脳が視覚情報をカットしているという原理なのです。

品詞と発音

  • 品詞:名詞
  • 発音:サキャディック サプレッション [səˈkædɪk səˈprɛʃən]

ちなみに英語では”Saccadic(衝動性の)”と、”Suppression(抑制)”の組み合わせで成り立っており、セットで名詞の役割をします。

英語での使用例も一緒に見ておくと良いので、以下で使い方を確認しておきましょう。

“Saccadic Suppression”の使い方

Aさん
Saccadic suppression prevents us from noticing visual blur when moving our eyes quickly.

訳)サッカード抑制のおかげで、目を素早く動かしても視界がぶれて見えない。

“Afterimage” – 残像効果

“Afterimage”は日本語で「残像効果」と表現される言葉です。

明るいライトやカメラのフラッシュを見た後、目を閉じても光の形が残っていることがありますが、まさにあの現象のことを指します。

クロノスタシスとは異なりますが、時間と視覚の関係を考える上で関連性がある言葉です。

品詞と発音

  • 品詞:名詞
  • 発音:アフターミッジ [ˈæf.tɚˌɪm.ɪdʒ]

こちらは一つの単語になっていますが、分解すると”After(前)”と”Image(画像、映像)”から成り立っているのが分かります。

カタカナでは「アフターイメージ」と読めますが、発音がネイティブ目線だと若干異なるので、注意が必要です。

“Afterimage”の使い方

Aさん
I still see the afterimage of the bright camera flash.

訳)明るいカメラのフラッシュの残像がまだ見える。

“Time Dilation” – 時間の遅れ

“Time Dilation”とは、日本語で「時間の遅れ」を指す言葉です。

言葉そのものを受け取ると「遅刻」のように勘違いされがちですが、以下のような専門的な意味が存在します。

時間の遅れ(じかんのおくれ、英語: time dilation)は、相対性理論が予言する現象である。2人の観測者がいるとき、互いの相対的な速度差により、または重力場に対して異なる状態にあることによって、2人が測定した経過時間に差が出る(時間の進み方が異なる)。

参考:ウィキペディア

少し難しいですが、よく例えとして「ウラシマ効果」とも関連付けられます。

新幹線のような素早く移動する乗り物にのりながら移動すると、時間の進みが遅くなるという現象に近しいです。

品詞と発音

  • 品詞:名詞
  • 発音:タイム ダイレーション [taɪm daɪˈleɪ.ʃən]

“Time Dilation”は、「時間」を意味する”Time”と、”Dilation(拡張)”が組合さった言葉です。

直接和訳をすると「時間膨張」となりますが、日本では「時間の遅れ」として使われることが基本となります。

“Time Dilation”の使い方

Aさん
During the accident, I felt like time slowed down—a classic example of time dilation.

訳)事故の間、私は時間が遅くなったように感じた。

まとめ

本記事では、「クロノスタシス」の意味と関連する概念について詳しく解説しました。

  • クロノスタシスとは、目を素早く動かしたときに時計の針が止まって見える錯覚のこと。
  • 英語では”Chronostasis”と表記されるが、一般的な英語辞書には載っていない専門用語。
  • 語源はギリシャ語で、「時間(χρόνος)」+「持続(στάσις)」から成り立っている。
  • 『BUMP OF CHICKEN』の楽曲としても知られ、映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の主題歌にもなっている。
  • 類語として「サッカード抑制(Saccadic Suppression)」「視覚残像(Afterimage)」「時間の遅れ(Time Dilation)」がある。

クロノスタシスは、科学的にも興味深い現象であり、日常の視覚や時間の知覚と密接に関係しています。

この記事を通して、時間や視覚の錯覚についての理解を深めるきっかけになれば幸いです。

【関連記事】