インドにハマる人は多くいます。インドには長い歴史、賑やかな都市、素晴らしい自然、神聖な寺院などなど、多様な文化があります。ムガール帝国の皇帝シャージャハーンが妻のために建てたタージマハルにも多くの人が訪れます。そして、忘れてはならない魅力がインドの食です。
インドといえばカレーですが、お菓子も様々なものがあります。皆さんはインドの伝統的なお菓子「グラブジャムン」を知っていますか?

この記事では、インドのお菓子を紹介するシリーズとして「グラブジャムン」を紹介しましょう。人口14億人を超えるインドの伝統のお菓子とは?歴史など背景とともにどのようなスィーツなのかお届けしましょう。

グラブジャムンの歴史 – ペルシャからインドへ

グラブジャムンの歴史 - ペルシャからインドへ

グラブジャムンの英語表記はGulab Jamunになります。まず、グラブジャムンというお菓子が生まれた背景から紹介します。

グラブジャムンの起源はペルシャ説

インドの伝統菓子グラブジャムンの起源は、インドではなくペルシャではないかと言われています。ペルシャは現在のイラン、日本へはペルシャ外務省が1935年3月21日以降はペルシャではなくイランという国名を用いることを要請しました。ちなみに、ペルシャ絨毯などの特産物についてはまだペルシャという言葉を使用しています。

さて、ペルシャとインド両国間には古くから関係があり、インド亜大陸に最初にペルシャの影響が持ち込まれたのは5世紀のことでした。このような関係のある両国で現在も文化交流があることは当然でしょう。本記事で紹介するグラブジャムンもおそらくペルシャで生まれ、インド史上最大のイスラム王朝であるムガル帝国時代(1526年〜1858年)にインドに伝わったと言われています。

グラブジャムンってどんなお菓子?

ここで、グラブジャムンってどんなお菓子なの?という声が聞こえてきそうですね。さっそく、伝統菓子グラブジャムンについて紹介しましょう。

まんまるのドーナツ・グラブジャムン

グラブジャムンは可愛い丸い形のお菓子です。
ヒンドゥー語で、グラブジャムンのグラブはバラ、そしてジャムンはプラムを意味します。そのことから、グラブジャムンという名前は、プラムに見立てた丸い形をした可愛いお菓子のことを言います。

シロップに漬けて仕上げるグラブジャムン

ころりんと丸めた生地を揚げただけのドーナツ状態がグラブジャムンではありません。ここからもうひと行程あるのですが、それが揚げた後にバラから抽出された水で香りをつけた甘いシロップに漬けるというものです。それでこそ、グラブジャムンの出来上がりとなるのです。

世界一甘いお菓子と言われるグラブジャムン

ところで、グラブジャムンは「世界一甘いスイーツ」と言われています。ここで、作り方を紹介し、グラブジャムンの味を一緒に想像してみましょう。

グラブジャムンの作り方

グラブジャムンは、ミルク味のボールを油で揚げてシロップに漬けたお菓子です。
では、グラブジャムンの作り方を簡単に紹介しましょう。ドーナツ生地は、弱火で絶えずかき混ぜることで得られる固形乳から作られます。この固形乳と小麦粉、砂糖、ベーキングパウダー、カルダモンパウダーを加えます。カルダモンとは、ショウガ科の多年草の果実を乾燥させたスパイスで、香りの王様、スパイスの女王と言われています。爽やかな香り、ピリッとした辛味が特徴です。
この生地を丸めてボール状にして油で揚げると、揚げられた生地は素晴らしい黄金色に変わっていきます。周りがカリカリになるまで揚げ、次に、その揚げたて熱々のドーナツをシロップに浸したら、フライパン全体を弱火で1〜2分煮ます。そうすることで、ドーナツがシロップを吸収し、柔らかくなります。

世界一甘いスイーツ・グラブジャムン

グラブジャムンは温かいまま、夏には冷やして、または室温でいただきます。バラの花びらやアーモンドスライスを上に添え、綺麗にプレゼンテーションすることもよくあります。
さて、グラブジャムンが世界一甘いと言われる理由は、このシロップにあります。シロップは水と砂糖を同じ量で煮詰めて作るため、かなり甘いことが想像できます。激甘なことから、生粋のインド人でも食べない人がいるとか?(笑)ゆえに、グラブジャムンが世界一甘いスイーツと言われているのです。

グラブジャムンを食べてみると?

一口大のグラブジャムンを口に入れると、シロップの甘さがジュワ~っと広がります。そして、口のなかでとろける食感になります。甘さの正体はシロップであり、口の中でどんなことが起こるか想像できませんか?インドの人々は辛いものはしっかり辛く、甘いものはより甘く食べる傾向があります。グラブジャムンがインド国民に人気なことが理解できますね。

グラブジャムンってどんなときに食べるの?

グラブジャムンってどんなときに食べるの?

グラブジャムンは伝統のお菓子ということを述べました。インド名物でもありますが、実際にどのようなシーンで食べられているのかみてみましょう。

お祝いに定番のお菓子・グラブジャムン

グラブジャムンは結婚式、誕生日や宗教的なお祭りといったあらゆるお祝いの場には欠かせない定番のスイーツです。グラブジャムンが無ければ、インドのお祭りは完成しないと言われているほどです。また、食後のデザートとしてもよく出されます。夏はクルフィ(インドの伝統的なアイスクリーム:牛乳を煮詰めて凍らせた氷菓)と一緒に、一方冬には暖かいグラブジャムンなど、その季節にあった食べ方のバリエーションがあります。年間通して、インドではグラブジャムンが食べられていることが分かりますね。

グラブジャムンは日本で食べられる?

インドの国民的スィーツであり、激甘のグラブジャムン。インドに行かなくても日本で食べることができるのでしょうか?

インドの有名なお菓子の会社Haldiram’s

インドで有名なお菓子の会社にHaldiram’s(ハルディーラムス)がありますが、この会社のチェーン店はインドのあちこちで見かけられます。インドのお菓子なら、ここで買えば間違いなし、と言われるくらいです。
Haldiram’sは1937年、ラジャスタン州ビーカーネールでお菓子とデザートのお店として設立され、今ではファストフードチェーンレストランとして多くの人に利用されています。なお、Haldiram’sが扱うお菓子やスナックは400点以上にも渡ると言われています。

日本でも購入可能なグラブジャムン

日本でも、グラブジャムンを購入することができるのかが気になるところです。
実は、大手インターネットサイトではグラブジャムンを扱っています。それも上で紹介した、お菓子とデザートのお店として設立したHaldiram’sの商品です。
グラブジャムンは缶詰の状態で売られています。缶のパッケージにはGulab Jamunという文字、そしてグラブジャムンの写真が載っています。価格は例えば、1缶(1kg)が1,700円程度からです。
缶を開けると、シロップにひたひたに浸かったグラブジャムンがゴロゴロと16こ入っています。
このように、インドに行かなくてもグラブジャムンを手軽に日本で食べてみることができます。

グラブジャムンを食べた感想

最後に、グラブジャムンを食べた人の感想を紹介しましょう。かなりの甘さが特徴のグラブジャムンを衝撃的な甘さとする表現は当然ですが、楽しい感じで「期待を裏切らない甘さ」、虫歯がうずき出すような甘さ、頭痛になるほど体にさえ影響があるかのような激甘さ、カロリー爆弾などなど、甘さを訴える感想が数々見られます。これらの感想を読むだけでも激甘が伝わってきますね。ちなみに、グラブジャムン100g当たりのカロリーは410kcalです。

まとめ

本記事ではインドの代表的なお菓子「グラブジャムン」を紹介しました。ミルクのボールを揚げてシロップに漬けたお菓子を知ることになりましたが、インドに行ったことがない方にも、少しインドの世界、そしてスイーツ文化をイメージしていただけたでしょうか?

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