イタリアの魅力は、古代遺跡、芸術、ファッションなどなど多岐に渡ります。ピザ、パスタやドルチェなどイタリアの食文化も多くの人を惹きつけています。食文化を支える食材としてチーズの存在は大きいですね。さて、皆さんはイタリア産のチーズを使ったカッサータというスイーツをご存知ですか?

この記事では、イタリアのお菓子「カッサータ」を紹介します。美しい都市が発祥、あるイタリア産チーズを使った華やかな見た目の美味しいお菓子の特徴やユニークな歴史などを知る機会にしましょう。

シチリアのお菓子「カッサータ」

カッサータというお菓子の名前を初めて聞く人もいるかもしれません。カッサータは、イタリアの島シチリアが発祥の伝統菓子です。

地中海最大の島シチリア

イタリア半島の西南、地中海に位置するイタリア領の島がシチリアです。シチリアはSicilyと書き、シシリーと発音します。地中海最大の島として、またシチリアはイタリアのもっとも美しい村として知られています。

地中海に面していることからシチリアには楽園のようなビーチがありますし、美食の島としても有名です。美食の島として、特産品は魚介類、オリーブ、ワイン、ピスタチオ、そしてレモン、オレンジなどの柑橘系フルーツなどが挙がります。そして、シチリアの伝統的な郷土菓子として、パスタ・ディ・マンドルラ、カンノーロ、そして本記事で紹介するカッサータがあります。

シチリアの郷土菓子Cassata

カッサータの正式名称は「カッサータ・シチリアーナ(Cassata Siciliana)」であり、シチリアで生まれた郷土菓子です。もっと言えば、シチリア島の州都であるパレルモが発祥と言われています。パレルモはシチリア最大の街として、パレルモ大聖堂やノルマンニ宮殿などの歴史的建造物と美味しい食を体験するために多くが訪れます。

Aさん
Cassata Siciliana is an Italian cake which is originally from Palermo in Sicily.
訳)カッサータ・シチリアーナは、もともとシチリアのパレルモ発祥のイタリアのケーキです。

リコッタチーズで作るカッサータ

リコッタチーズで作るカッサータ

カッサータの特徴はイタリア産リコッタチーズを使っているところです。他にもいくつかの食材が使われ、カッサータが作られます。

カッサータの食材とは?

カッサータを作るための食材は以下になります。

  • リコッタチーズ
  • スポンジケーキ
  • フルーツの砂糖漬け
  • マジパン

リコッタチーズとは、南イタリア原産のフレッシュチーズで、作るときに出る乳清を再加熱しますが、ミルクの柔かな口当たり、そして豊かな風味を持っています。
マジパンは、アーモンド・砂糖・卵白などを混ぜてペースト状にしたもので、ケーキのデコレーションによく使われます。

カッサータの説明

ここでは、英語で説明されるカッサータを紹介します。

Aさん
Cassata cake is a traditional Sicilian sponge cake filled with sweet ricotta and topped with marzipan and colourful candied fruits.
訳)カッサータケーキは、甘いリコッタチーズを詰め、マジパンと色とりどりの砂糖漬けのフルーツでおおった伝統的なシチリアのスポンジケーキです。

リコッタチーズはricotta、マジパンはmarzipanです。
この英文で、カッサータがどのようなものかイメージができます。多くのカッサータはペパーミントカラーのマジパンでおおわれ、その上にチェリー、オレンジなどの柑橘系、いちご、いちじく、梨などをデコレーションとして置きますので、とてもカラフルな見た目になります。
洗練されたケーキと言うのとは少し違うかもしれません。どちらかというとレトロな雰囲気を持っているのがカッサータであり、逆に伝統を守っている良さを感じます。

アラブ文化の影響を受けたカッサータ

カッサータは長い歴史を持っているケーキです。
シチリア島の州都であるパレルモが発祥と述べましたが、実はアラブ文化の影響を受けたとも言われています。

イスラム期のシチリア

9世紀~11世紀にかけ、シチリアはアラブ・イスラム教徒に支配されていました。最大の都市パレルモもその影響を大きく受けますが、この時代、砂糖、アーモンド、柑橘類の砂糖漬けのスキルが伝わりました。中東のお菓子は多量の砂糖をたっぷり使ったものがありますが、宗教上アルコールがタブーな代わりに嗜好品として甘いお菓子が愛されてきた歴史があります。

Cassataもアラブ由来

このような歴史的背景が、カッサータがアラブ文化の影響を受けたと言われる所以です。
パレルモにはパラティーナ礼拝堂(Capella Palatina)といったアラブ・ノルマン様式の煌びやかな礼拝堂がありますが、これは初代シチリア国王が1140年に完成させた王宮です。

そして、Cassataというイタリア語ですが「ボールのような形をしたケーキ型」という意味のアラビア語が語源だと言われています。

特別なイベントに食べるカッサータ

カッサータはイタリア人にとって、カフェや洋菓子店であるパスティッチェリアなどで日常的に食べるものであるとともに、大切なイベントに出されるケーキでもあります。

イースターの伝統菓子カッサータ

とても華やかなカッサータはお祝いやカトリックの祝日によく食べられるケーキです。そして、キリストの復活祭として多くの国で祝うイースターで必須のお菓子がカッサータです。
イタリア人にとってイースターはパスクア(pasqua)として、宗教的なイベントであり多くの人がお祝いする祝日です。毎年、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日が開催日です。この季節は春らしい陽気になり、家族や親戚で集まり楽しく時間を過ごすことが一般的です。

イースターには復活と平和の象徴である鳩の形をしたコロンバ・パスクワーレというお菓子を食べますが、本記事で紹介しているカッサータも復活祭に欠かせないケーキです。カッサータが持つカラフルなヴィジュアルはイースターにピッタリ、子どもたちも喜ぶでしょう。大人は、キリッと冷えた辛口の白ワインやスパークリングワインと一緒にいただきましょう。

カッサータの種類

カッサータの種類

カッサータにはいくつか異なる種類があります。アイスケーキ風の冷たいカッサータもあります。
最後に、カッサータのバリエーションを紹介しましょう。

カッサータのバリエーション紹介

リコッタチーズ、スポンジケーキ、フルーツの砂糖漬け、マジパンを使ったクラシックなカッサータ・シチリアーナ(Cassata Siciliana)が基本ですが、それ以外に2つバリエーションがあります。

そのひとつは、セミフレッド・カッサータ(Cassata Semifreddo)です。リコッタチーズに替えて、生クリームやアイスクリームを使う点が違いです。ナッツやフルーツを入れて冷凍し、冷やした状態で食べるので特に夏に人気です。全解凍したカッサータをビスケットにつけて食べるのもおすすめです。

もうひとつのカッサータ・アル・フォルノ(Cassata al Forno)は焼くカッサータです。タルト生地にリコッタチーズを詰めて焼きますが、マジパンのコーティングやフルーツの砂糖漬けは使わないことから、見た目はシンプルなカッサータになります。

まとめ

本記事ではイタリアのシチリア島パレルモ発祥、リコッタチーズを使った可愛いケーキ「カッサータ」を紹介しました。英語を勉強していれば英語圏だけでなく海外に興味が湧いてきますし、様々な情報を英語で知ることができます。いつか、地中海を臨みながら、キリッと冷えた辛口の白ワインとともにカッサータを食べるところを想像すればワクワクしますね。