エルサレム旧市街とは、元はパレスチナ、現在はイスラエルに位置する街です。街全体が世界遺産に登録された理由や、文化的背景にはどのようなものがあるのでしょうか。世界的な観光名所として有名なエルサレムの旧市街について英語を交えながら解説をします。

エルサレム旧市街とは?

エルサレム旧市街の主要スポット

エルサレム旧市街は、パレスチナ、イスラエルに位置する歴史的な地区で、1981年にユネスコの世界遺産に登録されました。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という三大宗教にとって聖地であり、数千年の歴史を持つ文化的、宗教的な遺産が集まる場所です。

エルサレム旧市街の壁の歴史

エルサレム旧市街の城壁は、長い歴史の中で何度も建設と破壊を繰り返してきました。
紀元前11世紀以前、エルサレムはエブス人の本拠地であり、堅固な城塞都市でした。ダビデ王がこの地を征服し、「ダビデの町」として知られるようになりました。「ダビデ町」は現在の旧市街の南東に位置していたと考えられています。
ダビデの息子ソロモン王は都市の壁を拡張し、紀元前440年頃にはネヘミヤがバビロンから戻り、市壁を再建しました。西暦41〜44年にはユダヤの王アグリッパ1世が「第三の壁」を築きました。

中世に入ると、市壁はたびたび破壊と再建を繰り返します。1219年にアイユーブ朝のアル=ムアッザム・イーサーがその市壁を完全に破壊し、1229年には神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の支配下に置かれます。1239年に再建された壁も、イーサーの息子アン=ナースィル・ダウドによって再び破壊されました。1243年にはキリスト教勢力がエルサレムを奪還し市壁を修復しますが、翌年ホラズム軍による攻撃で再び崩壊しました。

現在の城壁はオスマン帝国のスレイマン1世が1538年に建設したもので、全長約4.5km、高さ5〜15m、厚さ3mに及びます。この城壁には43の見張り塔と11の門があり、うち7つの門が現在も開放されています。

英語での説明:

The walls around Jerusalem’s Old City were built and broken many times.

Before 1100 BC, it was a strong city of the Jebusites. King David took over and it became “David’s City.” King Solomon expanded the walls. Around 440 BC, Nehemiah built them again. From 41-44 AD, King Agrippa I built another wall.

In the Middle Ages, Ayyubids and Khwarazmians broke the walls. They were also fixed many times by Christian groups.

The current walls were built in 1538 by Suleiman from the Ottoman Empire.

They are about 4.5 km long, 5-15 meters tall, and 3 meters thick. There are 43 watchtowers and 11 gates. Today, 7 gates are open.

エルサレム旧市街が世界遺産に登録された理由

エルサレム旧市街が世界遺産に登録された背景には、以下のような重要な要素があります。

宗教的な聖地としての価値

ユダヤ教: 嘆きの壁(西の壁)は第二神殿の名残であり、ユダヤ教徒にとって最も神聖な場所です。
キリスト教: 聖墳墓教会はイエス・キリストが十字架にかけられ、埋葬されたとされる地で、巡礼の中心地です。
イスラム教: 岩のドームとアル=アクサー・モスクは、ムハンマドが昇天したとされる聖地で、イスラム教徒にとって第三の聖地です。

歴史的・文化的な意義

エルサレムは紀元前1000年頃から歴史に登場し、多くの帝国の支配を受けながら文化が形成されました。
旧市街は4つの区(ユダヤ人地区、キリスト教徒地区、イスラム教徒地区、アルメニア人地区)に分かれており、それぞれの文化が交差しています。

エルサレム旧市街の主要スポット

エルサレム旧市街の主要スポット

エルサレム旧市街は観光スポットとして賑わいを見せています。各宗教の象徴的とも言える主要スポットを紹介します。

嘆きの壁

嘆きの壁は、エルサレム旧市街にあるユダヤ教で最も神聖な場所の一つで、ヘロデ大王が紀元前20年頃に再建した第二神殿の西側の外壁の一部です。
神殿にはモーセが神から授かった法律の石板の入った「契約の櫃(ひつ)」が納められており、聖地となりました。
神殿は70年にローマ軍により破壊されましたが、この壁だけが残され、ユダヤ人が祈りを捧げる特別な場所となっています。

英語での説明:

The Western Wall is a very holy place for Jewish people. It is in the Old City of Jerusalem. It is part of the western wall of the Second Temple, which King Herod rebuilt around 20 BC.
The Romans destroyed the temple in 70 AD, but this wall remained. It is a special place where Jewish people go to pray.

聖墳墓教会

キリスト教徒にとって、最も重要な巡礼地のひとつです。イエス・キリストが十字架にかけられたゴルゴダの丘と、彼が埋葬された墓があるとされています。330年代にコンスタンティヌス帝の命により建設されました。
教会内にはイエスの聖骸に香油を塗ったと言われている赤大理石の板やその埋葬の様子が描かれている絵画があります。

英語での説明:

This church is one of the most important places for Christians to visit. It is believed to be the place where Jesus Christ was crucified (on Golgotha Hill) and where he was buried.

In the 330s, order of Emperor Constantine built the church.

岩のドーム

エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地で、691年に建設されました。ムハンマドが天に昇ったとされる「聖なる岩」を覆う形で建てられ、黄金のドームが特徴的なイスラム建築の傑作です。ユダヤ教ではアブラハムが息子イサクを捧げようとした場所ともされています。

英語での説明:

This is a very important holy place for Muslims in the Old City of Jerusalem. It was built in 691 AD. It covers the “Sacred Rock,” which is believed to be the place where Prophet Muhammad ascended to heaven. There is a golden dome and it is a beautiful example of Islamic architecture. Jewish people also believe it is the place where Abraham tried to sacrifice his son Isaac.

エルサレム旧市街の観光ポイント

エルサレム旧市街の観光ポイント

ダマスカス門

旧市街北側にある城門の1つで、かつてはそこからシリアやダマスカスに行けたことからその名がつきました。

オリーブ山

旧市街を一望できる展望スポットで、聖書にも登場する歴史的な丘です。この近辺は古くからオリーブ畑になっていたため、オリーブ山と言われるようになりました。

ヴィア・ドロローサ

ラテン語で「苦しみの道」という意味で、イエスが十字架を背負って歩いたとされる道です。14の中継地点が設けられています。

エルサレム旧市街を訪れる際の注意点

エルサレム旧市街を訪れる際の注意点

宗教的な礼儀:聖地では服装に注意し、特にモスクや教会では肌の露出を控えましょう。

治安情報:エルサレムは政治的な緊張が続く地域でもあるため、最新の治安状況を確認してください。

入場規制:宗教施設によっては特定の宗教以外の人々は立ち入りが制限されています。

まとめ

エルサレム旧市街は、世界三大宗教の聖地として、歴史と文化が融合する非常に興味深い場所です。様々な紛争により破壊と再建が繰り返されたことにより、保護の重要性が生じました。それが世界遺産に登録された要因となりました。訪れる際は、それぞれの宗教や文化を尊重し、歴史の息吹を感じながら散策してみてください。英語の表現や英会話を習得してさらに旅行を楽しんでみてください。英会話ならKimini英会話を試してみては?