アメリカのショッピングモールに入ると、たびたびスパイシーで甘い香りがしてきます。実はこれ、ほとんどが「シナモンロール」の香りなのをご存知でしょうか。シナモンロールは、アメリカでは朝ごはんやおやつに食べられるシナモンの香りが心地よいスイーツです。コーヒーのおともに、手軽なエネルギー摂取にもぴったりなシナモンロール。ここでは、そんなシナモンロールがアメリカでどのように食べられているか、どんなレシピで作ることができるかなどご紹介していきます。
「シナモンロール」はどんな食べ物?
シナモンロールは、シナモンと砂糖が中に巻き込まれた甘いパンです。通常、ふわふわで柔らかい生地が使用されており、その中にシナモンとバター、砂糖を混ぜたフィリングを巻き込んで焼きます。焼き上がった後、アイシング(砂糖やバター、ミルクなどを混ぜた甘いペースト)をかけることが一般的です。温かいままで食べることが多いですがもちろん常温で食べても美味しいです。アメリカでは、朝食はもちろんおやつとして人気があります。
シナモンロールは、実は北欧の伝統的なパン「カンネルブッラ」が起源とされており、アメリカだけでなく、世界中で親しまれています。シナモンの香りが特徴的で、甘さが控えめなものから、アイシングがたっぷりの甘いものまで、バリエーションも豊富です。
「シナモンロール」の起源は?歴史を紐解こう
シナモンロールの起源は、ヨーロッパのスカンジナビア地方にあると考えられています。特に、スウェーデンやフィンランドでは伝統的なシナモン風味のパンが古くから食べられていました。シナモンロールの祖先にあたるパンは、スウェーデンの「カンネルブッラ(Kanelbullar)」や、フィンランドの「カルダモンパン」などと言われています。
起源と歴史
シナモンロールの起源は、スウェーデンの「カンネルブッラ」に遡ります。このパンは、シナモンと砂糖を巻き込んだパンです。地元スウェーデンでは「カンネルブッラの日」というシナモンロールを祝う日も存在します(10月4日)。
シナモンロールがアメリカに伝わったのは、19世紀末から20世紀初頭に移民がもちこんだと言われています。アメリカでは、この伝統的なパンが進化し、甘いアイシングを使った「シナモンロール」として親しまれるようになりました。
20世紀初頭、アメリカではシナモンロールが広まり、特に1950年代には、「シナボン(Cinnabon)」というシナモンロールのチェーン店が登場し、全国的に人気を博しました。このチェーンは、特に甘くて大きなシナモンロールを提供し、アメリカをはじめ世界中でシナモンロールの人気をさらに高めました。現地のモールや空港で見かけることがあり、小腹を空かせたお客さんで混み待っています。
今日では、シナモンロールは世界中で愛されるお菓子となり、アイシングやナッツ、フルーツなど、さまざまなアレンジが加えられるようになっています。また、パン屋やカフェなどで手軽に購入できるようになり、家庭でも簡単に作れるキットやレシピも流通しています。
「シナボン」の爆発的な成功
さきほどお話に挙げた「シナボン」についてもう少し深掘りしてみましょう。アメリカのシナモンロールチェーン「シナボン(Cinnabon)」は、1975年に創業されました。面白いことに、シナボンの設立者であるリチャード・カーメン(Richard C. Karmann)は、当初シナモンロールを小さなレストランで提供しようと思っていたのですが、予想以上に人気が出たため、瞬く間にアメリカ全土に広がりました。シナボンの成功の一因は、シナモンロールを大きくて甘く、さらにアイシングたっぷりにしたことです。これが「シナモンロール」という食べ物のアメリカらしい新しいスタイルとして大きな注目を集めました。特に、アメリカのショッピングモール内で見かけることが多く、モールでショッピングを楽しんでいる人々にとっては、シナモンロールが手軽に楽しめるおやつとして人気を博しています。
シナモンロールと映画
シナモンロールは映画やテレビ番組でも登場することがあります。例えば、アメリカの映画「メリーに首ったけ(There’s Something About Mary)」では、登場人物がシナモンロールを食べるシーンがあり、シナモンロールの甘い香りが人々を引き寄せる要素として描かれています。このように、シナモンロールは、甘い美味しさだけでなく、物語の中でもユニークな役割を果たしています。
巨大シナモンロールのギネス記録
シナモンロールはその大きさでも注目されたことがあります。例えば、2017年にはアメリカのアーカンソー州で、直径4.2メートルの世界最大のシナモンロールが作られ、ギネス世界記録に認定されました。このシナモンロールは、通常のシナモンロールとは比較にならないほど巨大で、数百人が一度に食べることができる規模でした。このような巨大シナモンロールが作られる背景には、地元のイベントやコミュニティ活動としての意味もあり、地元の人々が集まって一緒に楽しむ機会として特別な意味を持ちました。
「シナモンロール」のレシピ
ここでは、シナモンロールの簡単なレシピをご紹介します。こちらは、ホームベーカリーや手でこねる方法でも作れるシンプルで美味しいシナモンロールのレシピですので、是非試してみて下さい。
【材料(8〜10個分)】
生地:
- 強力粉 250g
- 砂糖 30g
- ドライイースト 5g
- 塩 ひとつまみ
- 牛乳 150ml(ぬるま湯でも可)
- 卵 1個
- バター(無塩) 50g(溶かしておく)
シナモンフィリング:
- シナモン 大さじ1
- 砂糖 50g
- バター(無塩) 30g(室温で柔らかくしておく)
アイシング(お好みで):
- 粉糖 50g
- 牛乳 小さじ2〜3
- バニラエッセンス 数滴(お好みで)
【作り方】
1. 生地を作る
- ボウルに強力粉、砂糖、ドライイースト、塩を入れて混ぜます。
- 別のボウルで牛乳、卵、溶かしたバターを混ぜ合わせます。
- 液体の材料を粉類に加え、全体がなじむように混ぜます。
- 生地がまとまったら、台の上に移し、10〜15分間しっかりこねてなめらかな生地にします。
- ボウルに戻し、ラップをして温かい場所で約1時間発酵させます。生地が2倍の大きさになるまで発酵させましょう。
2. シナモンフィリングを作る
- シナモンと砂糖を混ぜ合わせておきます。
- バターを室温で柔らかくしておきます。
3. 生地を成形する
- 発酵が終わった生地を台の上に取り出し、麺棒で長方形に伸ばします(約30×20cm)。
- 伸ばした生地に柔らかくしたバターを塗り、シナモンと砂糖のフィリングを均等に振りかけます。
- 生地を手前から巻いていき、巻き終わりを軽く押さえて閉じます。
- 巻き終わった生地を8〜10等分に切り分けます。
4. 焼く
- 予熱したオーブン(180℃)で、シナモンロールを約15〜20分焼きます。表面がきつね色になったらOKです。
5. アイシングを作る(お好みで)
- 粉糖と牛乳を混ぜて、滑らかなアイシングを作ります。必要に応じてバニラエッセンスを加えても良いです。
- 焼き上がったシナモンロールにアイシングをかけて、出来上がりです。
- お好みで砕いたナッツをかけてもOKです。
「シナモンロール」は気軽に食べられるエナジーチャージスイーツ
アメリカでは、「シナモンロール」は日常的によく目にするソウルフードです。モールでショッピングに疲れた際に、そのスパイシーかつ甘い香りを嗅ぐと一気に食欲を高めてくれます。ヨーロッパとアメリカでは甘さやサイズ感も異なるものの、シナモン好きにはたまらない一品です。ぜひ、旅行の際に体を甘さで癒したい際はシナモンロールを食べてエナジーチャージしてみて下さい。
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